この記事は「会計ソフトは契約したけれど、何から入力すればいいのか分からない」人に向けたものです
会社設立が終わり、会計ソフトも契約した。ところが管理画面を開いてみると、どこから手をつければよいのか分かりません。設立前に払ったお金はどう扱うのか。役員報酬はいつ決めるのか。口座はいつ連携させるのか。順番が分からないまま、領収書だけが溜まっていく。よくある状態です。
実は、最初の1か月にやることは決まっています。順番どおりに片付ければ、そのあとは毎月30分ほどの作業になります。立ち上げの1か月をどう使うかで、初年度の負担が決まります。
この記事では、会社設立の直後に会計ソフトを立ち上げる手順を、おすすめの順番で示します。制度に関わる部分は一次情報へのリンクを添えているので、あわせてご確認ください。
この記事は2026年8月時点で確認できた内容をもとにしています。金額や制度は変わることがあるため、実際の手続きの前に一次情報でご確認ください。
立ち上げの順番はこれです

会社設立の直後にやることを、順番に並べます。上から順に片付けてください。

所要時間の目安を書いておくと、基本情報の登録が15分、口座とカードの連携が各10分、創立費の入力が1時間ほど、役員報酬の設定が30分。合わせて2時間程度です。会社設立の手続きに比べれば軽い作業なので、登記が終わった週のうちに片付けてしまうことをおすすめします。
この順番にする理由は、あとの工程ほど前の工程に依存しているからです。口座がなければ連携できませんし、創立費の登録には領収書が要ります。役員報酬は期限があるので、忘れないうちに決めてしまいます。
よくある失敗は、この順番を無視して領収書の入力から始めてしまうことです。口座が連携していない状態で手入力を続けると、口座ができたあとに明細が二重に取り込まれ、重複した仕訳を消す作業が発生します。会社設立の直後は入力したくなる気持ちがありますが、まず器を作ってから中身を入れてください。
おすすめは、登記が完了して登記事項証明書が取れたその日に、法人口座の申し込みをすることです。口座がないと何も始まりません。会社設立のあと、いちばん最初に動くべきところです。
法人口座とカードを連携させる

会計ソフトの威力がいちばん出るのが、ここです。法人口座とクレジットカードを連携させると、入出金の明細が自動で取り込まれます。あとは科目を確認するだけになります。
連携させておきたいもの
- 法人の普通預金口座(メインで使うもの)
- 法人クレジットカード(経費の支払いをここにまとめる)
- 電子マネーや決済サービス(事業で使うもの)
- 売上の入金口座(メイン口座と別にしている場合)
重要なのは、事業のお金と個人のお金を混ぜないことです。会社設立をした以上、法人と個人は別人格です。個人の口座で会社の経費を払うと、あとで役員貸付金や立替金の処理が必要になり、手間が増えます。
法人カードは、口座の開設より先に作れないことが多いので、順番としては口座が先です。口座ができるまでのあいだに払った経費は、立替として記録しておいて、あとで精算してください。日付・金額・内容のメモを忘れずに残しておきましょう。
カードについても補足します。法人カードを作ると、経費の支払いが1枚にまとまるので、明細がそのまま経費の一覧になります。現金で払うと領収書を1枚ずつ登録することになるので、手間がまるで違います。会社設立のあと、口座と一緒に申し込んでおくことをおすすめします。
なお、設立直後は法人としての信用情報がないため、カードの審査が通りにくいことがあります。その場合は、代表者個人の信用で発行されるタイプのカードから始めるという方法もあります。いずれにせよ、事業用の支払いを1か所にまとめることが目的です。
なお、法人口座の開設には審査があり、会社設立の直後は時間がかかることがあります。事業の実態を示す資料(Webサイト、契約書、請求書など)を用意しておくと話が早く進みます。金融機関ごとの違いについては、法人口座のカテゴリーの記事で詳しく扱っています。
設立にかかった費用を創立費として登録する

会社設立の前に払ったお金も、創立費として会社の費用にできます。登録免許税、定款認証の手数料、司法書士や行政書士への報酬、印鑑の作成費。これらをまとめて入力します。
創立費は繰延資産として計上でき、税務上は任意償却が認められていると解説されています。つまり、設立1期目が赤字なら償却せずに置いておき、利益が出た年にまとめて償却するという使い方ができます。
創立費として集めておきたい領収書
- 定款の作成・認証にかかった費用の領収書
- 登録免許税の納付を示すもの
- 司法書士・行政書士・クラウドサービスへの支払いの領収書
- 会社の印鑑を作った費用の領収書
- 設立の打ち合わせにかかった交通費の記録
会社が成立した日を境に、それより前が創立費、それより後で営業開始前が開業費という整理になります。細かく分けきれない場合は、設立の手続きに直接かかったものを創立費としておくのが実務的です。金額の大きいものは税理士に確認してください。
入力の順番としては、金額の大きいものから登録していくと進みが分かりやすくなります。登録免許税、定款認証の手数料、士業への報酬。この3つでほとんどの金額を占めるはずです。あとは細かい交通費や書籍代を足していきます。
おすすめの進め方は、会社設立の準備を始めた時点で封筒をひとつ用意して、関係しそうな領収書を全部そこに入れておくことです。捨ててしまったものは戻りません。
出典国税庁「法人税基本通達 第1節 繰延資産の意義及び範囲等」
役員報酬を決めて登録する

会社設立の直後に決めなければいけないもののひとつが、役員報酬です。法人税の計算上、役員報酬は原則として設立から3か月以内に決めて、その事業年度は同じ額を払い続ける形になります。
途中で自由に増減できるものではないので、初年度の売上の見通しを立ててから決める必要があります。高くしすぎると資金繰りが苦しくなり、低くしすぎると個人の生活が回りません。
役員報酬をゼロにするという選択もあります。設立初年度は売上が立たない見込みで、生活は個人の貯蓄でまかなうという場合です。この場合は社会保険の扱いが変わることがあるので、年金事務所や税理士に確認してください。会社設立の直後は、こうした個別の事情が判断に効いてきます。
どこが最適かは、売上の見通しと家族構成によって変わります。ここは税理士に相談する価値がいちばん高いところです。会社設立のときに無料相談だけ受けておくのもおすすめです。
金額を決めるときに見ておきたいのが、社会保険料の負担です。役員報酬を出すと、健康保険と厚生年金の保険料がかかります。会社負担分と個人負担分の両方があるので、報酬の額面に対して実際の負担はもっと大きくなります。会社設立の初年度の資金繰りを考えるうえで、ここは外せない要素です。
役員報酬を出すと、給与支払事務所等の開設届出書が必要になります。開設の事実があった日から1か月以内に、所轄の税務署へ提出します。源泉徴収した所得税の納付も始まります。
期限が重なります
設立から3か月のあいだに、役員報酬の決定、青色申告の承認申請、給与支払事務所等の開設届出が集中します。会社設立の直後は事業の立ち上げで忙しい時期ですが、この3つはカレンダーに入れておいてください。
出典国税庁「A2-7 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出」
毎月の記帳を回す

立ち上げが済んだら、あとは毎月の作業です。口座とカードが連携していれば、明細は自動で取り込まれています。やることは確認と修正だけです。
月末にやること
- 取り込まれた明細に、正しい勘定科目が当たっているか確認する。
- 現金で払った経費の領収書を登録する。
- 売掛金・買掛金がある場合は、その計上を確認する。
- 残高が通帳と合っているか確認する。
- 月次の損益を眺めて、事業の状況を把握する。
月次の損益を見るときのおすすめは、売上と、いちばん大きな費用の2つだけをまず見ることです。細かい科目を全部追いかけようとすると続きません。会社設立の初年度は、売上がどう伸びているかと、何にいちばんお金が出ているかが分かれば十分です。
5つ目を飛ばさないでください。数字を見ないまま1年が過ぎると、決算のときにはじめて赤字だと知ることになります。会社設立をした以上、数字を読むのは経営者の仕事です。月に一度、5分でも眺める習慣をつけてください。
おすすめのやり方は、月末の決まった日に予定として入れてしまうことです。「毎月末日の夕方に30分」と決めておけば、溜まりません。溜めてしまうと、思い出しながらの作業になって何倍も時間がかかります。
慣れてくると、月末の作業は15分ほどで終わるようになります。自動仕訳のルールを設定しておけば、同じ取引先からの入金や、同じ内容の支払いは自動で科目が当たるようになるからです。最初の数か月で丁寧にルールを作っておくと、あとが本当に楽になります。

つまずきやすいところ

会社設立の初年度に、実際につまずきやすいところを挙げます。
3つ目については、会社設立のときの資本金の決め方が効いてきます。1,000万円未満にしていれば、設立1期目と2期目は免除の対象になりうるとされていますが、特定新規設立法人に該当する場合など他の要件でも扱いが変わります。心配なら税理士に確認してください。
1つ目の立替については、精算の方法も決めておいてください。まとめて1回で精算するのか、月ごとに精算するのか。会社設立の直後は立替が多くなりがちなので、金額が膨らむ前に精算しておくほうが管理しやすくなります。
4つ目は、会計ソフトが対応しているかどうかで手間が変わります。契約の前に、電子帳簿保存法への対応を確かめておくのがおすすめです。
立ち上げでつまずいたら、無料の相談で聞いてみてください。
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よくある質問

会計ソフトはいつから記録を始めればよいですか
会社の成立日、つまり登記を申請した日からです。それより前の支出は創立費として扱います。設立ツールから情報が引き継がれる場合は、事業年度の開始日が自動で入っていることもあります。念のため確認してください。
会計ソフトの初期設定で、最初にやっておくとよいことはありますか
勘定科目の整理です。既定の科目は数が多く、自分の事業で使わないものがほとんどです。よく使う10個ほどを決めて、それだけで回すようにすると入力が速くなります。会社設立の直後は取引の種類も少ないので、この段階で整理しておくのがおすすめです。あわせて、消費税の設定と、事業年度の開始日が正しいかも確認しておいてください。
口座ができるまでの数週間分は、どう入力しますか
発起人や代表者が立て替えた形で記録します。口座ができたら、その立替分を精算する仕訳を入れます。日付・金額・内容のメモを忘れずに残しておいてください。あとから思い出すのは大変です。
税理士にはいつ相談すればよいですか
役員報酬を決める前がおすすめです。設立から3か月以内という期限があり、あとから変えにくいためです。次によいのは、青色申告の承認申請の期限が来る前。決算の直前まで待つと、選べたはずの選択肢がなくなっています。
記帳を自分でやると決めたのに、続けられなくなったらどうしますか
途中から記帳代行を頼めます。会計ソフトのデータを共有できる事務所を選べば、移行の手間は小さく済みます。溜めてから頼むと、まとめて直す費用がかかることがあるので、手に負えないと感じたら早めに相談するのがおすすめです。
まとめ|立ち上げの1か月で、初年度の負担が決まります

会社設立の直後に会計ソフトを立ち上げる手順を、順番に見てきました。最初の1か月を丁寧にやれば、そのあとは軽い作業が続くだけになります。
この記事で押さえたこと
- 順番は、基本情報 → 口座 → カード → 創立費 → 役員報酬 → 毎月の記帳。
- 登記が完了したら、その日のうちに法人口座を申し込む。
- 事業のお金と個人のお金を混ぜない。混ぜると処理が増える。
- 役員報酬は設立から3か月以内。給与支払事務所等の開設届出も忘れずに。
- 月末に30分と決めて、溜めない。月次の損益を眺める習慣をつける。
制度の内容は2026年8月時点で確認できたものです。税務の取扱いは個別の事情で変わりますので、実際の処理は税理士にご確認ください。国税庁の案内もあわせてご覧いただくと確実です。
最初の1か月だけ、少しだけ丁寧にやってください
会計ソフトの立ち上げは、最初の1か月が勝負です。口座を連携させ、創立費を登録し、役員報酬を決める。ここまで済ませてしまえば、あとは月末に30分の作業が続くだけになります。
逆に、立ち上げを後回しにすると、領収書が溜まり、口座の履歴が増え、決算の直前に数か月分をまとめて入力することになります。会社設立の直後は忙しいものですが、ここだけは先に片付けておくことをおすすめします。
分からないところが出てきたら、決算を待たずに税理士へ相談してください。早いほど直すのが簡単です。
他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください
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