この記事は「登記が終わったけれど、次に何をすればいいのか分からない」人に向けたものです
会社設立の情報を調べると、登記までの話が中心になっています。ところが、登記が完了してからやることのほうが数は多く、期限も短いところがあります。
たとえば健康保険・厚生年金保険の新規適用届は、日本年金機構の案内によると事実発生から5日以内とされています。登記完了の通知を待っていると、うっかり過ぎてしまう長さです。
この記事では、会社設立後にやることを期限の短い順に並べます。抜けやすいところも書いておくので、チェックリストとして使ってください。
この記事は2026年8月時点で確認できた内容をもとにしています。金額や制度は変わることがあるため、実際の手続きの前に一次情報でご確認ください。
登記完了の直後にやること

登記が完了したら、まず登記事項証明書と印鑑証明書を取得します。これがないと、ほとんどの手続きが進みません。
登記事項証明書は法務局の窓口、郵送、オンラインで請求できます。印鑑証明書は、印鑑カードを取得してから請求します。印鑑カードは登記が完了してから交付されるので、この順番になります。
最初に取っておくもの
- ✓印鑑カード(法務局で交付を受ける)
- ✓印鑑証明書(複数通)
- ✓登記事項証明書(複数通)
通数の目安としては、それぞれ3通ほどあれば当面は足ります。有効期限を求められることもあるので、あまり先の分まで取っておく必要はありません。
請求のときには、会社の商号と本店を正確に伝える必要があります。登記が完了した内容と一字一句合っていないと、該当なしとされることがあります。
どちらも複数通取っておくことをおすすめします。税務署、年金事務所、金融機関、それぞれで原本の提出や提示を求められることがあるためです。
証明書には手数料がかかります。窓口請求とオンライン請求では金額が異なるとされているので、通数が多いならオンラインを検討してください。法務局の案内で確認できます。
登記が完了したかどうかは、法務局に確認するか、登記事項証明書が取れるかどうかで分かります。申請してから完了までは数日から2週間程度かかるとされています。

この流れを見て分かるとおり、会社設立の手続きは登記で終わりではありません。むしろ、ここからが実務の始まりです。他の会社の進め方と比較しても、この順番はおおむね共通しています。
会社設立のおすすめの段取りとしては、登記申請のときに完了予定日を聞いておくことです。そこから逆算して、次の手続きの予定を組めます。
5日以内|健康保険・厚生年金保険

会社設立後の手続きのなかで、いちばん期限が短いのがこれです。
日本年金機構の案内によると、健康保険・厚生年金保険の新規適用届の提出期限は事実発生から5日以内とされています。法人の事業所は、代表者一人だけでも強制適用の対象になります。
年金事務所に出すもの
- ✓健康保険・厚生年金保険 新規適用届
- ✓健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届
- ✓健康保険 被扶養者(異動)届(扶養する家族がいる場合)
- ✓登記事項証明書(添付書類として求められることがあります)
役員報酬を出さない場合は、加入の扱いが変わることがあります。報酬がゼロなら被保険者にならないという整理になりますが、判断は年金事務所に確認してください。
扶養する家族がいる場合は、被扶養者の届出も一緒に出します。所得の要件があるので、該当するかどうかを確認してから提出してください。
5日以内という期限は短いので、登記が完了する前から書類を準備しておくのが現実的です。様式は日本年金機構の公式サイトからダウンロードできます。
会社設立の代行サービスのなかには、この手続きまで代行してくれるところがあります。設立だけを扱うところと比較して、費用は上がりますが手間は減ります。どちらがおすすめかは、自分の時間の余裕で決めてください。
なお、期限を過ぎたからといって受け付けてもらえないわけではありませんが、正当な理由なく届出をしない場合には罰則の規定があるとされています。会社設立のおすすめとしては、早めに動くことです。
2か月以内|税務署への届出

税務署には、法人設立届出書をはじめとする複数の書類を出します。期限がそれぞれ違うので、まとめて確認しておいてください。

このなかで、提出を忘れると影響が大きいのが青色申告の承認申請書です。期限を過ぎると、その事業年度は青色申告ができません。
法人設立届出書には、定款の写しを添付するのが一般的です。設立時の株主名簿や設立趣意書を求められることもあります。所轄の税務署の案内で、添付書類を確認しておいてください。
青色申告では、欠損金の繰越控除など複数の特典があるとされています。会社設立の初年度は赤字になることも多いので、この申請を出しておく意味は大きいところです。
源泉所得税は、役員報酬や給与から天引きして納める税金です。原則は毎月の納付になるので、事務の手間がかかります。特例を使えるかどうかを、最初に確認しておいてください。
4つ目の納期の特例は、給与の支払いを受ける者が常時10人未満である場合に使えるとされています。毎月の納付が年2回にまとまるので、事務の負担が減ります。
会社設立の代行サービスを比較するときは、この税務署への届出まで含まれるかどうかも見てください。設立の登記だけを扱うところと、設立後の税務まで見るところでは、おすすめできる相手が変わります。
提出は窓口・郵送のほか、e-Taxでもできます。会社設立のおすすめの進め方としては、まとめて一度に出すことです。何度も足を運ぶ必要がなくなります。
都道府県と市町村への届出

法人住民税と法人事業税に関する届出は、都道府県税事務所と市町村役場に出します。
提出期限は自治体によって異なります。設立から15日以内、1か月以内など、地域によって違うので、本店所在地の自治体の案内を確認してください。
都道府県税事務所には法人事業税と法人住民税の道府県民税、市町村役場には法人住民税の市町村民税に関する届出を出すのが基本の形です。窓口が2つに分かれている点が、税務署への届出と違うところです。
東京都23区内に本店を置く場合は、都税事務所への届出だけで済むとされています。区役所への届出は不要という扱いです。これも地域差のひとつです。
添付書類としては、定款の写しと登記事項証明書を求められるのが一般的です。税務署に出すものと同じなので、まとめて用意しておくと効率的です。
法人住民税の均等割は、赤字でも課税されます。会社設立の初年度から発生するので、資金計画に入れておいてください。金額は資本金と従業員数によって決まります。
支店や事業所を複数の自治体に置く場合は、それぞれの自治体に届出が必要になります。本店だけなら1か所で済みますが、事業を広げると増えていきます。
eLTAXを使えば、複数の自治体への届出をまとめて電子的に行えます。会社設立のおすすめの選択としては、最初からこれを使えるようにしておくことです。
人を雇うときの労働保険

従業員を雇う場合は、労働保険の手続きが必要になります。役員だけの会社なら、この手続きは基本的に不要です。
厚生労働省の案内によると、労働者を一人でも雇用すれば、労災保険の適用事業になるとされています。パートやアルバイトも含みます。
労災保険の保険料は全額が会社の負担です。雇用保険は会社と労働者で分担します。人件費を計算するときは、この保険料も含めて見ておいてください。
雇用保険については、加入の要件があります。週の所定労働時間や雇用の見込み期間によって判断されるので、詳しくはハローワークにご確認ください。
労働条件の明示も義務です。雇い入れのときに、賃金や労働時間などの条件を書面で示す必要があります。最初の一人を雇うときから発生する義務なので、雛形を用意しておいてください。
また、就業規則の作成義務は常時10人以上の労働者を使用する場合に生じるとされています。会社設立の直後は該当しないことが多いものの、人が増えたときに必要になります。
役員だけの会社と、人を雇う会社を比較すると、手続きの量がはっきり違います。会社設立の段階で人を雇う予定があるなら、その分の準備も見込んでおいてください。
このあたりは社会保険労務士の専門分野です。人を雇う予定があるなら、会社設立の段階で相談しておくことをおすすめします。
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役所以外にもやることがあります

届出だけで終わりではありません。事業を動かすために必要なことが、まだ残っています。
役所以外でやること
- ✓法人口座の開設(審査に時間がかかることがあります)
- ✓会計ソフトの契約と初期設定
- ✓役員報酬の額を決めて、株主総会や取締役会の議事録を残す
- ✓個人名義で契約していたものを法人名義に変更する
- ✓クレジットカードや決済サービスの法人契約
- ✓許認可が必要な業種は、その申請
- ✓社会保険の手続きに使う口座の指定
2つ目の会計ソフトは、最初の取引が発生する前に用意しておくのが理想です。あとからまとめて入力するより、日々記録するほうがはるかに楽です。
1つ目の法人口座は、審査に時間がかかることがあります。会社設立の直後に申し込んでも、すぐに使えるとは限りません。早めに動いてください。
3つ目の役員報酬は、期限があります。国税庁の案内によると、定期同額給与として損金に算入するには、会計期間開始の日から3か月を経過する日までに決める必要があるとされています。会社設立の初年度なら、設立から3か月以内です。
6つ目の許認可は、業種によっては事業を始められるかどうかを左右します。建設業、飲食業、人材派遣業、古物商など、許可や登録が要る業種は多くあります。会社設立の前に確認しておくのが本来の順番です。
4つ目の名義変更も忘れがちです。個人で契約していた通信回線やソフトウェアを法人で使うなら、名義を変えておいたほうが経費の処理が明確になります。
7つ目の口座の指定は、社会保険料の納付に使います。法人口座が開くまでは手続きが進まない部分もあるので、ここでも口座開設の早さが効いてきます。
会社設立のおすすめの進め方としては、この一覧を紙に書き出して、終わったものから消していくことです。頭のなかだけで管理すると、抜けます。
よくある質問

期限を過ぎてしまいました
まずは各機関に連絡して、受け付けてもらえるか確認してください。多くの届出は、期限を過ぎても受け付けてもらえます。ただし、青色申告の承認申請のように、期限を過ぎるとその年度は適用されないものもあります。
期限を過ぎたことに気づいたら、放置しないでください。早く出すほど影響は小さくなります。
全部自分でできますか
できます。書類の様式は各機関の公式サイトからダウンロードできますし、記入例も公開されています。ただし手間と時間はかかります。事業の準備で忙しい時期なので、どこまで自分でやるかは考えどころです。
誰に依頼できますか
税務署への届出は税理士、社会保険と労働保険は社会保険労務士、登記は司法書士が扱います。会社設立の代行サービスのなかには、設立後の手続きまで見てくれるところもあります。比較して選んでください。
どれから手をつければいいですか
期限の短い順です。年金事務所(5日以内)、税務署(2か月以内、青色申告は3か月以内など)、自治体(自治体による)という順番になります。法人口座は審査に時間がかかるので、これも早めに動いてください。
まとめ|期限の短い順に並べて片づける

会社設立後の手続きは数が多く、期限もばらばらです。期限の短い順に並べて、上から片づけてください。
この記事で押さえたこと
- まず印鑑カード・印鑑証明書・登記事項証明書を複数通取る。
- 健康保険・厚生年金保険は事実発生から5日以内。
- 法人設立届出書は設立の日以後2か月以内。
- 青色申告の承認申請は期限を過ぎるとその年度に適用されない。
- 役員報酬は設立から3か月以内に決める必要がある。
- 法人口座は審査に時間がかかるので早めに申し込む。
期限と要件は2026年8月時点で確認できたものです。制度は変わりますので、実際の提出の前に日本年金機構・国税庁・厚生労働省・自治体の案内をご確認ください。個別の判断は専門家にご相談ください。
期限の短いものから順に片づけてください
全部を一度にやろうとすると、どこかが抜けます。期限の短いものから順に、ひとつずつ片づけてください。
登記事項証明書と印鑑証明書は、いろいろな手続きで必要になります。登記が完了したら、まとめて複数通取っておくと後が楽です。
手続きの内容と期限は変わることがあります。実際に提出する前に、各機関の公式サイトで最新の案内をご確認ください。判断に迷うところは、税理士や社会保険労務士にご相談ください。
他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください
この記事のキーワードに「会社設立 おすすめ 比較」を足して検索したときに実際に出てきたサイトです。掲載の順番は優劣を示すものではありません。内容は各サイトの公開時点のものなので、料金や条件は、リンク先で最新の表示をご確認ください。
- マネーフォワード クラウド会社設立|設立後にやることの優先順位
設立後の手続きを優先順位の順に説明しています。
biz.moneyforward.com - GMOあおぞらネット銀行 起業応援ナビ|会社設立後にやること完全ガイド
手続きの一覧と期限、優先順位を示しています。
gmo-aozora.com - SoVa|株式会社と合同会社の設立費用の違い
設立時と設立後の両方の費用を会社形態で比べています。
sovagroup.co.jp - 淀川パートナーズ|会社設立後どこに何を提出するのか
提出先別に必要書類を一覧にした記事です。
yodogawa-partners.or.jp - 弥生|会社設立後にやることは?必要な手続きと提出書類一覧
提出先ごとに必要書類を整理しています。
yayoi-kk.co.jp - ベンチャーサポート|会社設立後のやることリスト
登記後の書類と手続きを順に確認できます。
vs-group.jp - 小谷野税理士法人|会社設立後の提出書類と手続き一覧
登記後に必要な届出をまとめた一覧です。
koyano-cpa.gr.jp - 仙台市雇用労働相談センター|法人設立後に必要な社会保険
設立後の社会保険手続きと注意点を解説しています。
sendai-elcc.mhlw.go.jp - freee|会社設立後の手続きとやることリスト
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