この記事は「資本金を振り込むと聞いたが、どこに、いつ、どうやるのか分からない」人に向けたものです
会社設立の手続きで、資本金の払込みという工程があります。会社はまだ存在していないので、会社の口座に振り込むことはできません。では、どこに払い込むのか。発起人(合同会社なら社員)の個人口座です。
ここで大事なのが順番です。定款を作成した日より後の日付で入金する必要があります。先に入れてしまうと、払込みの証明として使えず、やり直しになります。会社設立の準備で急いでいるときほど、この順番を間違えやすいところです。
この記事では、払込みの手順と、証明書の作り方を整理します。自分で会社設立を進める人はもちろん、代行に頼む場合でも自分でやる工程なので、知っておく価値があります。
この記事は2026年8月時点で確認できた内容をもとにしています。金額や制度は変わることがあるため、実際の手続きの前に一次情報でご確認ください。
どこに払い込むのか

会社設立の登記が終わるまで、会社は存在していません。したがって、法人口座もありません。資本金は発起人(合同会社なら社員)の個人口座に払い込みます。
一人で会社設立をする場合は、自分の口座に自分で入金する形になります。自分のお金を自分の口座に入れるだけなので、実質的にはお金が動いていないように見えますが、記録を残すことが目的です。
複数の発起人がいる場合は、代表者となる人の口座に、それぞれが振り込む形にするのが一般的です。誰がいくら出資したかが記録に残るように、それぞれが自分の名義で振り込んでください。
使う口座について
- 発起人(または社員)の個人名義の口座を使う
- 普通預金の口座で構わない
- 新しく作る必要はなく、既存の口座で問題ない
- ネットバンキングの口座でも構わない(記録が印刷できること)
- 会社設立後に法人口座へ移すので、一時的に置いておくだけ
なお、発起人が法人である場合は扱いが変わります。この記事では、発起人が個人であることを前提にしています。法人が発起人になる場合は、司法書士に確認してください。定款認証の手数料が1万5,000円になる特例も、発起人の全員が自然人であることが要件のひとつになっています。
口座を新しく作る必要はありません。すでに持っている口座で構いません。ただし、他の入出金が多い口座だと、記帳のページに関係のない取引が混ざって見づらくなります。取引の少ない口座を使うほうが、書類が見やすくなります。
ネットバンキングと通帳のある口座を比較すると、書類の作り方が少し違います。通帳なら該当ページをコピーするだけですが、ネットバンキングは画面を印刷することになります。どちらでも構いませんが、印刷した紙に口座名義が出ているかは確認してください。
会社設立のおすすめとしては、あまり使っていない口座を選ぶことです。難しく考える必要はありません。
いつ払い込むのか|順番が肝心です

ここがいちばん大事なところです。資本金は、定款を作成した日より後の日付で入金する必要があります。
理由は、払込みが定款の内容にもとづいて行われたことを示す必要があるからです。定款ができる前に入金しても、その定款にもとづく払込みだとは言えません。

会社設立を急いでいると、準備のつもりで先に資金を移してしまうことがあります。これをやると、入金し直すことになります。同じ金額をもう一度動かせるならよいのですが、資金に余裕がないと困ります。
日付の証拠として使われるのは、通帳に記帳された日付です。振込の操作をした日ではなく、口座に反映された日が基準になります。金融機関の営業時間外に操作すると、翌営業日の扱いになることがあるので、余裕をもって行ってください。
代行に頼んでいる場合は、依頼先から「入金してください」という指示があるはずです。その指示が来るまで待ってください。自己判断で先に動かさないことが大事です。
株式会社と合同会社を比較すると、合同会社には定款認証がないぶん、工程がひとつ少なくなります。定款を作ったらすぐ払い込めるので、日程が組みやすいと言えます。おすすめの段取りは、定款が完成したその日に入金してしまうことです。
なお、株式会社の場合、定款の認証を受けた後に払い込むよう案内されることもあります。依頼先や公証役場の指示に従ってください。会社設立のおすすめとしては、迷ったら確認することです。
いくら払い込むのか

払い込む金額は、定款に定めた資本金の額です。発起人が複数いる場合は、それぞれの出資の額を定款に記載しているので、その内訳どおりに払い込みます。
振込にするか、現金の預入にするかですが、振込のほうが記録が残りやすいという利点があります。誰から誰へいくら移動したかが明細に出るためです。
一人で会社設立をする場合、自分の口座に自分で入れるので、振込でも預入でも記録としては同じです。ただし、通帳に「振込」として記載されるほうが、あとで見たときに分かりやすくなります。
複数の発起人がいる場合は、それぞれが自分の名義で振り込んでください。代表者がまとめて入金してしまうと、誰がいくら出資したかが記録から読み取れなくなります。
払込みで気をつけること
- 定款に定めた金額と一致させる
- 発起人が複数なら、それぞれの名義で振り込む
- 振込にすると、名義と金額が明細に残る
- 入金後に引き出しても構わないが、記帳のページは残しておく
- 同じ口座に他の入金がある場合、どれが払込みか分かるようにしておく
金額を比較して確認するときは、定款の記載と入金額を1円単位で突き合わせてください。おすすめは、入金の前に定款を開いて金額を声に出して読むことです。桁を間違えると、書類を作り直すことになります。
4つ目について補足します。払い込んだあと、そのお金を事業に使っても構いません。資本金は会社の元手なので、使うためのお金です。ただし、通帳の記帳のページは書類として必要なので、写しを取ってから使ってください。
通帳の写しと、払込証明書

入金が済んだら、書類を作ります。登記申請の添付書類になるものです。
用意する書類
- 通帳の表紙の写し
- 通帳の表紙の裏(口座番号と名義が分かるページ)の写し
- 入金が記帳されたページの写し
- 払込みがあったことを証する書面(払込証明書)
ネットバンキングを使っている場合は、通帳がありません。この場合は、口座名義、口座番号、金融機関名、入金の記録が分かる画面を印刷します。取引明細のページと、口座情報のページの両方が必要になります。
払込証明書は、代表者が作成する書類です。払い込まれた金額の総額、払込みがあった株式の数(株式会社の場合)などを記載して、会社の実印を押します。法務局のサイトに申請書の様式と記載例が公開されているので、それを参考にしてください。
これらの書類は、通常はまとめて綴じます。綴じ方や契印の仕方も、法務局の記載例に示されています。記載例を先に見ることが案内されているので、書類を作る前に確認してください。
自分で作る場合と代行に頼む場合を比較すると、手間の差はそれほど大きくありません。記載例があるので、それに沿って作れば済みます。おすすめとしては、記載例を印刷して手元に置きながら作ることです。
会社設立を代行に頼んでいる場合は、通帳の写しを渡せば、あとは依頼先が作ってくれることが多いはずです。自分でやる場合は、記載例に沿って作ることになります。
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つまずきやすいところ

実際につまずきやすいところを挙げます。どれも事前に知っていれば避けられるものです。
4つ目は意外とやりがちです。入金したらすぐ通帳を記帳して、写しを取ってください。そのあとで使うぶんには問題ありません。
印刷は、画面をそのまま印刷する形で構わないのが通常です。スクリーンショットを貼り付けた書類でもよいとされることもありますが、提出先の判断によります。心配なら、法務局に電話で確認してから作成してください。
また、ネットバンキングの場合は画面を印刷することになりますが、印刷したときに口座名義が表示されているかを確認してください。取引明細だけでは、誰の口座か分からないことがあります。

つまずきを避けるおすすめの方法は、入金する前に一度チェックリストを見返すことです。定款の日付、金額、名義。この3つを確認してから振込のボタンを押せば、やり直しはほぼ起きません。
会社設立の日程が決まっているなら、この工程で手戻りが出ると響きます。おすすめの進め方としては、定款ができた日にすぐ入金して、その日のうちに記帳することです。
払い込んだお金はどうなるのか

登記が終わって法人口座が開設されたら、発起人の個人口座に入っている資本金を法人口座に移します。
この移動は、会計上は資本金の払込みの完了を示す処理になります。個人の口座に置いたままにしないでください。会社のお金と個人のお金が混ざったままだと、帳簿がすぐに分からなくなります。
ただし、法人口座の開設には時間がかかることがあります。その間に事業の支払いが発生したら、個人の口座から立て替える形になります。この場合も、日付・金額・内容の記録を忘れずに残してください。
会計ソフトを使っているなら、この一連の流れも記録に残せます。会社設立の直後に会計ソフトを立ち上げて、法人口座を連携させておけば、以後の管理は楽になります。
移す方法は、個人の口座から法人の口座へ振り込むだけです。この取引は会計上、資本金の入金として処理します。会計ソフトを使っていれば、勘定科目の候補が出てくるはずです。分からなければ、税理士に聞いてください。最初の1回だけの処理なので、正しくやっておきたいところです。
なお、資本金として払い込んだお金は、事業のために使えます。設備を買う、仕入れをする、家賃を払う。すべて資本金から出せます。口座に置いておかなければならないお金ではありません。
移すタイミングは、法人口座が使えるようになってからで構いません。急ぐ必要はありませんが、放置すると個人の口座で会社のお金を管理し続けることになります。おすすめは、口座ができた週のうちに移すことです。
会社設立のおすすめの段取りとしては、法人口座が開設されたらすぐ資本金を移し、そこから事業の支払いを始めることです。
出典国税庁「法人税基本通達 第1節 繰延資産の意義及び範囲等」
よくある質問

口座にすでに資本金以上の残高がある場合はどうしますか
残高があるだけでは払込みの証明になりません。定款の作成日より後の日付で、あらためて入金する必要があります。いったん引き出して入れ直す、あるいは別の口座から振り込むといった方法が取られます。
振込手数料は誰が負担しますか
発起人が自分の口座から振り込む場合、その手数料は振り込む人の負担になるのが通常です。金額は数百円程度なので、大きな問題にはなりません。なお、この手数料も会社設立にかかった費用として、創立費に含められる場合があります。領収書や明細は取っておいてください。
発起人が複数いる場合、まとめて振り込んでよいですか
それぞれが自分の名義で振り込むのが望ましい形です。誰がいくら出資したかが記録に残るためです。代表者がまとめて入金すると、内訳が読み取れなくなります。
現金を持参して預け入れてもよいですか
預入でも記録は残ります。ただし、誰が入れたかが明細に出ないことがあります。複数の発起人がいる場合は、振込のほうが記録として明確です。会社設立の書類を作るうえでは、振込のほうが分かりやすいでしょう。
払い込んだお金をすぐ使ってもよいですか
通帳の写しを取ったあとなら、使って構いません。資本金は事業のための元手なので、使うためのお金です。ただし、写しを取る前に引き出すと書類が作れなくなるので、順番には気をつけてください。
まとめ|定款を作ってから入金する

資本金の払込みは、順番さえ守れば難しい工程ではありません。定款を作成した日より後の日付で、発起人の個人口座に入金する。これだけです。
この記事で押さえたこと
- 会社はまだ存在しないので、発起人(社員)の個人口座に払い込む。
- 定款を作成した日より後の日付で入金する。先に入れるとやり直し。
- 発起人が複数なら、それぞれが自分の名義で振り込む。
- 入金したらすぐ記帳して、通帳の写しを取る。
- 登記が終わって法人口座ができたら、資本金を移す。
手続きの内容は2026年8月時点で確認できたものです。運用は変わることがありますので、実際の手続きの前に法務局の案内と申請書の記載例をご確認ください。判断に迷う点は、司法書士にご相談ください。
順番さえ守れば、難しい工程ではありません
資本金の払込みは、定款を作ってから入金する。これだけ守れば、あとは通帳の写しを取るだけの作業です。難しいところはありません。
つまずくのは、順番を知らずに先に入金してしまったときです。会社設立を急いでいると、準備のつもりで先に資金を移してしまうことがあります。定款ができるまで待ってください。
代行に頼む場合でも、この工程は自分でやります。依頼先から指示があるはずなので、そのとおりに進めてください。自己判断で先に動かないことが大事です。
他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください
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