この記事は「公証役場に行く時間が取れない」と感じている人に向けたものです
会社設立の手続きのなかで、平日の日中に出向く必要があるものがいくつかあります。印鑑証明書の取得、法務局への登記申請、そして公証役場での定款認証。働きながら会社設立の準備をしている人には、この平日の時間がいちばん重い負担です。
このうち定款認証については、事情が変わりました。日本公証人連合会の案内によると、2024年3月1日から、ウェブ会議による電子定款認証が原則化されました。利用者から特段の希望がない限り、ウェブ会議で実施することを原則とする運用になっています。
つまり、公証役場に足を運ばずに定款の認証を受けられるということです。この記事では、認証の流れと費用、そして会社設立を早く進めるためのおすすめの段取りを整理します。
この記事は2026年8月時点で確認できた内容をもとにしています。金額や制度は変わることがあるため、実際の手続きの前に一次情報でご確認ください。
ウェブ会議による認証が原則になりました

日本公証人連合会の案内によると、公証役場は2024年3月1日から、ウェブ会議による電子定款認証を原則化しました。利用者から特段の希望がない限り、ウェブ会議で実施することを原則とする運用です。
以前は、電子定款であっても認証の際に公証役場へ出向くのが一般的でした。会社設立のために平日の日中を半日空ける必要があったわけです。それがウェブ会議で済むようになったのは、働きながら準備する人にとって大きな変化です。

この2つを比較すると、ウェブ会議のほうが明らかに負担が軽いことが分かります。とくに、公証役場が自宅や職場から遠い場合、移動だけで半日が消えます。会社設立の準備は他にもやることが多いので、この半日が浮くのは大きな違いです。おすすめとしては、特段の理由がなければウェブ会議で進めることです。
会社設立の日程を組むうえでも、この違いは効きます。公証役場の受付時間に合わせて半日を確保する必要がなくなったぶん、日程の自由度が上がりました。
認証を受けるまでの流れ

日本公証人連合会の案内にそって、流れを整理します。当日いきなり接続するわけではなく、事前の準備があります。

いちばん大事なのは1つ目です。定款案を事前に送って、適法性を確認してもらう。ここを飛ばして電子署名まで済ませてしまうと、修正が必要になったときにPDFの作り直しと署名のやり直しになります。
おすすめの進め方は、定款案ができた時点ですぐ公証役場に送ることです。確認には日数がかかることがありますし、修正を求められる可能性もあります。早く送るほど、会社設立の日程に余裕ができます。
実質的支配者申告書も必要です。会社の議決権を実質的に支配する人が誰かを申告するもので、暴力団員等でないことの申告も含まれます。会社設立の準備では、この書類も忘れずに用意してください。
当日に必要なものと、手数料の払い方

ウェブ会議の当日に必要なものは、日本公証人連合会の案内によると次のとおりです。
当日に必要なもの
- ✓本人確認の資料(運転免許証、パスポート、マイナンバーカード、住民基本台帳カード、在留カードのいずれか)
- ✓インターネットバンキングまたはクレジットカード(手数料の納付に使います)
- ✓ウェブ会議に接続できる環境(カメラとマイク)
手数料の支払いがインターネットバンキングまたはクレジットカードである点は、事前に確認しておいてください。当日になってどちらも用意できないと、手続きが止まります。
手数料の額は、資本金の額によって変わります。日本公証人連合会の案内では、資本金の額等が100万円未満の場合は3万円、100万円以上300万円未満の場合は4万円、その他の場合は5万円とされています。さらに2024年12月1日から、一定の要件を満たす場合は1万5,000円になりました。

費用を比較しておくと、要件を満たす場合の1万5,000円と、満たさない場合の3万円では1万5,000円の差があります。会社設立の代行手数料の差と同じくらいの金額なので、おすすめとしては要件に当てはまるかを先に確かめることです。
謄本は1枚につき250円です。何枚必要になるかは提出先によって違うので、公証役場に相談しながら決めてください。会社設立のあと、法人口座の開設などで使うことがあります。
出典日本公証人連合会「Q3. 定款の認証に要する費用、株式会社設立の費用等はいくらですか。」
1万5,000円の特例に当てはまるか確かめる

2024年12月1日から始まった特例です。次の要件をすべて満たすと、認証の手数料が3万円から1万5,000円になります。
1万5,000円になる要件
- 資本金の額等が100万円未満であること
- 発起人の全員が自然人であり、かつ、その数が3人以下であること
- 定款に発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける旨の記載または記録があること
- 定款に取締役会を置く旨の記載または記録がないこと
一人で会社設立をする場合、3つ目と4つ目は自然と満たしていることが多いはずです。2つ目も、法人が発起人になっていなければ問題ありません。残るのは、資本金を100万円未満にするかどうかです。
資本金100万円未満というのは、会社設立の実務ではよくある水準です。ただし、資本金は取引先や金融機関から見られる数字でもあります。1万5,000円のために事業の見通しを歪めるのはおすすめしません。あくまで、100万円未満で問題ない場合の話です。
要件を比較して確かめるときのおすすめは、上から順に見ていくことです。資本金の額は自分で決められます。発起人の人数と属性も分かっています。3つ目と4つ目は定款の書き方の問題なので、依頼先に「特例の要件を満たす形で作ってください」と伝えれば済みます。
なお、この特例は株式会社の話です。合同会社には定款認証の手続きそのものがないので、関係ありません。会社設立の費用を比較するとき、この違いは押さえておいてください。
代行に頼むと、この工程がまるごと消えます

ここまでの流れを見て、面倒だと感じたなら、代行に頼むという選択があります。行政書士や司法書士に委任すれば、定款の作成から認証までを引き受けてもらえます。
| サービス | 代行手数料 | 電子定款 | 利用条件 |
|---|---|---|---|
| 会社法人センター 井坂司法書士事務所&行政書士井坂事務所/司法書士・行政書士 | 8,360円(税込) | 対応。電子定款により収入印紙4万円が不要 | 追加料金や税理士契約は不要と明記 |
| freee会社設立 freee株式会社/クラウドツール | 利用料金0円 | 対応。行政書士への委任契約で費用が発生し、freee会計の年間契約で5,000円分を負担 | 電子定款費用の負担を受けるにはfreee会計の年間契約が必要 |
| マネーフォワード クラウド会社設立 株式会社マネーフォワード/クラウドツール | サービス利用料0円 | 対応。通常5,000円、マネーフォワード クラウドの有料プラン契約で無料 | 電子定款を無料にするには有料プラン(ひとり法人・スモールビジネス・ビジネス)の契約が必要 |
| 弥生のかんたん会社設立 弥生株式会社/クラウドツール | 登録および書類作成は無料 | 対応。専門家による電子定款作成5,000円またはオンライン申請のシステム利用料5,000円。弥生会計 Nextの年契約で5,000円分を負担 | 登記まで一貫して同サービスを使う必要がある。途中からの利用は不可。株式会社・合同会社のみ |
| 会社設立ひとりでできるもん 株式会社ユーモアプラス/司法書士・行政書士連携型 | 株式会社 3,850円/合同会社 2,200円(アプリ利用料) | 対応。提携する行政書士が作成代行し、株式会社5,000円〜/合同会社3,000円〜 | 会計ソフト契約の要否は公式サイトに記載なし |
| シルク司法書士事務所 シルク司法書士事務所/司法書士・行政書士 | 株式会社 88,000円(税込)/合同会社 77,000円(税込) | 対応。電子定款で認証する場合は印紙代4万円が不要 | 対応エリアは渋谷区笹塚・幡ヶ谷・初台・代々木上原ほか近隣に限られる |
費用は数千円から1万円台が中心です。紙の定款の収入印紙4万円と比べれば、どの選択肢も安く済みます。会社設立を早く進めたいなら、この工程を人に渡すのは合理的な判断です。
代行の費用を比較すると、数千円のところと1万円台のところがあります。差は、定款の内容についてどこまで相談に乗ってもらえるかに出ることが多いようです。会社設立がはじめてで決めきれない項目が多いなら、相談できる形のほうがおすすめです。
代行に頼んだ場合でも、定款の中身を決めるのは自分です。商号、本店、事業目的、資本金、発起人、決算月。この部分だけは、誰にも代わってもらえません。逆に言えば、ここさえ決めれば、あとは任せられます。
定款の作成から認証まで任せたい方は、無料の相談から始めてみてください。
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登記の申請もオンラインでできます

定款認証がウェブ会議で済むようになった以上、次に気になるのは登記の申請です。こちらもオンラインでできます。
登記・供託オンライン申請システムを使えば、法務局に出向かずに申請できます。法務省の案内では、商業・法人登記のオンライン申請について説明されています。司法書士に代理を頼む場合は、そちらで対応してもらえるのが通常です。
また、デジタル庁の法人設立ワンストップサービスを使うと、設立の登記と設立後の届出をマイナポータル上でまとめて申請できます。マイナンバーカードと電子署名が必要です。
稼働状況を確認してください
2026年8月時点で、法人設立ワンストップサービスの公式サイトに、一部手続の新規申請を控えるよう告知が出ていました。会社設立の日程が決まっている場合は、利用の前に事前に現在の状況を確認してください。
オンラインで進める場合と、窓口で進める場合を比較すると、前者のほうが日程を組みやすくなります。ただし、電子証明書や電子署名の準備が必要になるので、まったく手間がないわけではありません。おすすめは、自分で全部やろうとせず、面倒な部分だけ人に渡すことです。
これらを組み合わせると、会社設立の手続きで平日に出向く必要があるのは、印鑑証明書の取得くらいになります。マイナンバーカードがあればコンビニでも取得できるので、そこも解消できることがあります。
よくある質問

ウェブ会議の当日はどれくらい時間がかかりますか
事前の確認が済んでいれば、当日の接続そのものは短時間で終わるのが一般的です。ただし、公証役場によって運用が異なるので、予約のときに所要時間を聞いておくと予定が立てやすくなります。会社設立の準備で忙しい時期なので、この確認はしておく価値があります。
ウェブ会議での認証は、選ばなければいけませんか
原則としてウェブ会議で行う運用ですが、利用者から特段の希望がある場合は別の方法が案内されることもあります。対面のほうが安心だという方は、予約のときに相談してみてください。おすすめは、まず公証役場に事情を伝えて、どう進められるかを聞いてみることです。
遠方の公証役場でも認証を受けられますか
定款認証は、本店の所在地を管轄する法務局に所属する公証人が行うことになります。ウェブ会議であっても、この管轄の考え方は変わりません。日本公証人連合会のサイトから、全国の公証役場を探せます。
内容に間違いが見つかったらどうなりますか
事前の確認の段階で見つかれば、直してから署名すればよいだけです。電子署名を付けたあとに直すことになると、PDFの作り直しと署名のやり直しになります。だからこそ、事前確認を飛ばさないことが大事です。
合同会社でも認証は必要ですか
いいえ。合同会社には定款認証の手続きがありません。定款は作りますが、公証人の認証を受ける必要はないので、この章の手続きは不要です。ただし紙で作れば収入印紙4万円がかかる点は株式会社と同じなので、電子定款にする意味はあります。
まとめ|出向かずに済む手続きが増えました

電子定款の認証は、2024年3月1日からウェブ会議で行うのが原則になりました。会社設立の手続きで公証役場に出向く必要は、基本的になくなっています。
この記事で押さえたこと
- 公証役場は2024年3月1日からウェブ会議による電子定款認証を原則化した。
- 事前に定款案と実質的支配者申告書を送り、適法性を確認してもらう。
- 当日は本人確認の資料と、ネットバンキングまたはクレジットカードが必要。
- 資本金100万円未満で4つの要件を満たすと、手数料は1万5,000円。
- 登記の申請もオンラインでできる。合同会社に定款認証の手続きはない。
運用と金額は2026年8月時点で確認できたものです。公証役場によって案内が異なることがありますので、実際の手続きの前に日本公証人連合会と管轄の公証役場にご確認ください。判断に迷う点は、行政書士や司法書士にご相談ください。
公証役場に行かずに済むぶん、日程が組みやすくなりました
ウェブ会議による認証が原則になったことで、会社設立の手続きで平日に出向く場面はかなり減りました。残るのは印鑑証明書の取得と、登記の申請くらいです。登記もオンラインで申請できますし、司法書士に代理してもらえば行く必要もありません。
とはいえ、事前の準備はこれまでどおり必要です。定款案と実質的支配者申告書を送り、内容を確認してもらい、日時を予約する。この段取りを早めに始めておくことが、会社設立を予定どおりに進めるコツです。
認証の運用は公証役場によって案内が異なることがあります。管轄の公証役場に、早い段階で問い合わせておくことをおすすめします。
他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください
この記事のキーワードに「会社設立 おすすめ 比較」を足して検索したときに実際に出てきたサイトです。掲載の順番は優劣を示すものではありません。内容は各サイトの公開時点のものなので、料金や条件は、リンク先で最新の表示をご確認ください。
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yayoi-kk.co.jp - 公的個人認証サービス ポータルサイト
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e-teikan.online - 創業融資ガイド|自分でやる?代行がいい?電子定款の作成と認証
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chiyoda-tax.or.jp - 経営サポートプラスアルファ|自分で電子定款は作成できる?
必要なものと作り方をまとめています。
keiei-support-plus-a.com - 税理士ドットコム|電子定款を作成しよう!自分で申請する手順
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