この記事は「電子定款で4万円浮くと聞いたけれど、自分でできるのか知りたい」人に向けたものです
会社設立の費用を調べると、決まって出てくるのが電子定款の話です。紙の定款には収入印紙が4万円かかるが、電子定款なら不要。4万円は大きな金額なので、自分でやってみようと思うのは自然なことです。
ところが、自分で電子定款を作るには準備が要ります。電子証明書付きのマイナンバーカード、ICカードリーダライタ、そして電子署名ができるPDFソフト。これらをゼロからそろえると、4万円の節約分がかなり削られます。
この記事では、自分で作る場合と代行に頼む場合を、費用と手間の両面から比較します。会社設立が一度きりなのか、それとも今後も法人を作る予定があるのか。そのあたりでもおすすめは変わります。
この記事は2026年8月時点で確認できた内容をもとにしています。金額や制度は変わることがあるため、実際の手続きの前に一次情報でご確認ください。
電子定款で4万円が不要になる理由

定款は印紙税法上の第6号文書にあたり、収入印紙が4万円必要です。ところが電子データで作った定款には、収入印紙を貼るという行為がありません。これが電子定款で4万円が不要になる理由です。
国税庁の印紙税額の一覧表を見ると、第6号文書の税額は4万円と記載されています。あわせて、株式会社または相互会社の定款のうち公証人法の規定により公証人が保存するもの以外のものは非課税とする注記もあります。紙で作れば原本に4万円、電子で作れば0円。これが会社設立の費用でいちばん分かりやすい差です。

会社設立の費用を比較するときに、この4万円は最初に押さえておきたい項目です。代行手数料の数千円を比較する前に、電子定款かどうかを確かめる。おすすめの順番はこちらです。
なお、合同会社には定款認証の手続きがありませんが、定款そのものは作る必要があり、紙で作れば収入印紙4万円がかかります。合同会社だから電子定款は関係ない、ということではありません。ここは会社設立の比較記事でも見落とされがちなところです。
出典国税庁「No.7141 印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書まで」
自分で作るために必要なもの

自分で電子定款を作る場合、次の3つが必要になります。ひとつでも欠けると電子署名ができません。
3つ目がいちばんつまずきやすいところです。「PDFにできれば署名できる」わけではありません。署名の機能を持つソフトが必要で、そのソフトが公証役場や法務局の要求する形式に対応している必要があります。
マイナンバーカードの電子証明書については、公的個人認証サービスのポータルサイトに説明があります。署名用電子証明書の暗証番号(6桁から16桁)も必要になるので、忘れている場合は先に確認しておいてください。
この3つを比較してみると、費用がかかるのは2つ目と3つ目だけだと分かります。マイナンバーカード自体は多くの人が持っていますし、電子証明書の追加も無料です。会社設立のために新たに出費が必要なのは、カードリーダとソフトの部分ということになります。
なお、スマートフォンをカードリーダの代わりに使える仕組みも広がっています。おすすめの確かめ方は、使う予定のソフトやサービスの動作環境のページを見て、スマートフォンでの読み取りに対応しているかを確認することです。対応していれば、カードリーダの出費は不要になります。
暗証番号を間違え続けるとロックされます
署名用電子証明書の暗証番号は、一定回数間違えるとロックされます。解除には市区町村の窓口に行く必要があります。会社設立を急いでいるときにこれが起きると、日程が崩れます。作業を始める前に、暗証番号を確認しておいてください。
出典地方公共団体情報システム機構「公的個人認証サービス ポータルサイト」
自分で作る場合の費用を計算する

では、自分で作った場合に4万円がどこまで残るのかを計算してみます。すでに持っているものがあるかどうかで、結果はかなり変わります。

有料のPDFソフトを新たに契約すると、4万円の節約分はほとんど残りません。法務省が提供するPDF署名プラグインを使う無料の組み合わせもあると紹介されていますが、設定に手間がかかります。
一方、すでにマイナンバーカードとカードリーダを持っていて、署名できるソフトも使える環境なら、追加の出費はゼロです。この場合は4万円がまるごと残るので、自分で作る意味は十分にあります。
ここまでを比較すると、判断の分かれ目がはっきりします。機材を持っていない人にとって、自分で作る選択は「4万円を節約するために2万円ほど使い、さらに半日を費やす」というものになります。おすすめできるのは、機材をすでに持っている人か、今後も使い道がある人です。
会社設立を今後も繰り返す予定がある人、たとえば複数の法人を作る予定がある人にとっても、機材をそろえる価値はあります。2社目からは追加の出費なしで電子定款を作れるからです。
出典法務省「ファイル形式(従来型)の商業登記電子証明書の取得方法」
代行に頼む場合の費用

電子定款の作成を代行してもらう場合、費用は数千円から1万円台です。会社設立のサービスの多くが、この形を用意しています。
| サービス | 代行手数料 | 電子定款 | 利用条件 |
|---|---|---|---|
| 会社法人センター 井坂司法書士事務所&行政書士井坂事務所/司法書士・行政書士 | 8,360円(税込) | 対応。電子定款により収入印紙4万円が不要 | 追加料金や税理士契約は不要と明記 |
| freee会社設立 freee株式会社/クラウドツール | 利用料金0円 | 対応。行政書士への委任契約で費用が発生し、freee会計の年間契約で5,000円分を負担 | 電子定款費用の負担を受けるにはfreee会計の年間契約が必要 |
| マネーフォワード クラウド会社設立 株式会社マネーフォワード/クラウドツール | サービス利用料0円 | 対応。通常5,000円、マネーフォワード クラウドの有料プラン契約で無料 | 電子定款を無料にするには有料プラン(ひとり法人・スモールビジネス・ビジネス)の契約が必要 |
| 弥生のかんたん会社設立 弥生株式会社/クラウドツール | 登録および書類作成は無料 | 対応。専門家による電子定款作成5,000円またはオンライン申請のシステム利用料5,000円。弥生会計 Nextの年契約で5,000円分を負担 | 登記まで一貫して同サービスを使う必要がある。途中からの利用は不可。株式会社・合同会社のみ |
| 会社設立ひとりでできるもん 株式会社ユーモアプラス/司法書士・行政書士連携型 | 株式会社 3,850円/合同会社 2,200円(アプリ利用料) | 対応。提携する行政書士が作成代行し、株式会社5,000円〜/合同会社3,000円〜 | 会計ソフト契約の要否は公式サイトに記載なし |
| シルク司法書士事務所 シルク司法書士事務所/司法書士・行政書士 | 株式会社 88,000円(税込)/合同会社 77,000円(税込) | 対応。電子定款で認証する場合は印紙代4万円が不要 | 対応エリアは渋谷区笹塚・幡ヶ谷・初台・代々木上原ほか近隣に限られる |
金額を見ると、3,000円から5,000円程度が多いことが分かります。会計ソフトの年間契約を条件に、この費用を負担してくれるサービスもあります。4万円と比べれば、どの選択肢も圧倒的に安く済みます。
代行に頼む場合の流れは単純です。定款の内容を伝えると、提携する行政書士が電子定款を作成し、公証役場での認証まで手配してくれます。こちらは機材も設定も一切要りません。
代行の形にもいくつか種類があります。会社設立のサービスに含まれているもの、行政書士事務所が電子定款だけを単体で受けているもの、会計ソフトの契約を条件に負担してもらうもの。どれを選んでもおすすめできますが、条件の付き方が違うので比較して選んでください。
会社設立が一度きりなら、この形がおすすめです。機材をそろえて設定して作業する時間を考えると、数千円は安い買い物だと言えます。
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自分で作る場合の手順

自分で作ると決めた場合の手順を、順に見ていきます。順番を間違えると手戻りが発生するので、注意してください。

3つ目の事前チェックを飛ばさないでください。署名を付けたあとに内容を直すと、PDFの作り直しと署名のやり直しになります。先に内容を確定させてから署名するのが鉄則です。
この手順を見て「思ったより面倒だ」と感じたなら、それが答えです。会社設立の準備には、定款以外にも決めることがたくさんあります。おすすめの時間の使い方としては、内容を決めることに集中して、作業の部分は人に渡すことです。
公証役場によって案内が異なることがあるので、作業を始める前に管轄の公証役場に問い合わせておくのがおすすめです。日本公証人連合会のサイトから、全国の公証役場を探せます。
判断のしかた|3つの質問で決まります

自分で作るか代行に頼むかは、次の3つの質問で決まります。
判断のための3つの質問
- 電子証明書付きのマイナンバーカードとICカードリーダを、すでに持っていますか。
- 今後も法人を設立する予定がありますか。
- 設定と作業に半日から1日かけられますか。
3つとも「はい」なら、自分で作る価値があります。ひとつでも「いいえ」があるなら、代行に頼むほうが結果的に安く早く済むことが多いはずです。とくに1つ目が「いいえ」なら、迷う理由はほとんどありません。

もうひとつ比較しておきたいのが、時間の価値です。設定と作業に半日かかるとして、その半日を事業の準備に使ったらどれだけ進むか。会社設立の直後は、やることが山積みです。おすすめの考え方としては、金額だけでなく時間も並べて比べてみることです。
会社設立の費用を抑えるという観点では、どちらを選んでも紙の定款よりは安く済みます。いちばん避けたいのは、面倒だからと紙の定款にしてしまうことです。それだけは、どの選択肢よりも高くつきます。
出典日本公証人連合会「Q3. 定款の認証に要する費用、株式会社設立の費用等はいくらですか。」
よくある質問

合同会社でも電子定款にする意味はありますか
あります。合同会社に定款認証の手続きはありませんが、定款そのものは作ります。紙で作れば収入印紙4万円がかかるので、電子定款にする意味は株式会社と同じです。合同会社の設立費用が6万円で済むという説明は、電子定款が前提になっていることが多い点に注意してください。
スマートフォンだけで作れますか
マイナンバーカードの読み取りはスマートフォンでできることがありますが、定款の作成とPDFへの電子署名にはパソコンが必要になるのが一般的です。作業の内容によって必要な環境が変わるので、使う予定のソフトの案内を確認してください。
電子定款の原本はどこに保管するのですか
認証を受けた電子定款は、公証役場でも保存されます。会社側でもデータを保管しておく必要があります。データを失うと再取得の手続きが必要になるので、複数の場所にバックアップしておいてください。会社設立の書類は、長く保管するものです。
代行に頼むと、内容を自分で決められなくなりますか
そんなことはありません。商号・本店・事業目的・資本金といった中身は、こちらが決めます。代行してもらうのは、PDF化と電子署名、そして公証役場とのやりとりの部分です。内容の相談に乗ってもらえる事務所なら、むしろ自分で作るより中身が良くなることもあります。
まとめ|4万円を確実に浮かせる方法を選ぶ

電子定款にすれば収入印紙4万円が不要になります。自分で作るか代行に頼むかは、機材を持っているかどうかで決まります。
この記事で押さえたこと
- 定款は印紙税法上の第6号文書。紙なら4万円、電子なら不要。
- 自分で作るには、電子証明書付きマイナンバーカード・ICカードリーダ・署名できるPDFソフトが必要。
- 機材をゼロからそろえると、4万円の節約分がかなり削られる。
- 代行なら数千円から1万円台。会計ソフトの契約で負担してもらえる場合もある。
- 合同会社でも定款は作る。紙なら4万円かかるのは同じ。
金額と手順は2026年8月時点で確認できたものです。制度や公証役場の運用は変わることがありますので、実際の手続きの前に日本公証人連合会と管轄の公証役場にご確認ください。判断に迷う点は、行政書士や司法書士にご相談ください。
機材を持っているかどうかで、答えは決まります
電子定款を自分で作るかどうかは、マイナンバーカードとICカードリーダを持っているかどうかでほぼ決まります。持っていれば自分で作る意味がありますし、持っていなければ代行に頼んだほうが安く早く済みます。
会社設立が一度きりなら、数千円で代行に頼んでしまうのがおすすめです。浮いた時間を事業の準備に使うほうが、結果的に得なことが多いはずです。
紙の定款にするという選択だけは、避けたほうがよいでしょう。4万円をそのまま払うことになります。電子定款の費用は、自分で作っても代行に頼んでも4万円より安く済みます。
他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください
この記事のキーワードに「会社設立 おすすめ 比較」を足して検索したときに実際に出てきたサイトです。掲載の順番は優劣を示すものではありません。内容は各サイトの公開時点のものなので、料金や条件は、リンク先で最新の表示をご確認ください。
- 弥生|電子定款とは?自分で作成して署名・認証を受けるやり方
電子定款を自力で作る手順まで踏み込んだ解説です。
yayoi-kk.co.jp - 千代田税理士法人|自分で電子定款を作成するための5ステップ
認証までの流れを5段階で整理しています。
chiyoda-tax.or.jp - 弥生|会社設立手続きは自分でできる?費用と必要な手続き
自力で進める場合の費用と手続きの全体像です。
yayoi-kk.co.jp - 石畠行政書士事務所|電子定款とマイナンバーカード
電子署名の方法を具体的に解説しています。
e-teikan.online - 会社法人センター|自分でやるより3万円以上安い
司法書士事務所による電子定款対応の設立代行の案内です。
kaisha-kakuyasu.com - 公的個人認証サービス ポータルサイト
マイナンバーカードの電子証明書についての公式の案内です。
jpki.go.jp - マネーフォワード|電子定款は自分で作成できる!流れと注意点
無料でのやり方と合同会社での注意点をまとめています。
biz.moneyforward.com - 税理士ドットコム|電子定款を作成しよう!自分で申請する手順
自分で電子定款を作る手順を段階的に解説しています。
zeiri4.com - 小谷野税理士法人|電子定款のメリット・デメリット
機材やソフトなしで作る方法にも触れた解説です。
koyano-cpa.gr.jp - 経営サポートプラスアルファ|自分で電子定款は作成できる?
必要なものと作り方をまとめています。
keiei-support-plus-a.com - 弥生|合同会社の設立費用はいくら?登録免許税と資本金の相場
自分で登記する場合の費用を扱っています。
yayoi-kk.co.jp - ベンチャーサポート|会社設立は自分でできる?流れ・費用・注意点
税理士が自力設立の流れと注意点を解説しています。
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オンラインでの設立登記申請の案内です。法務局の公式ページです。
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