この記事は「会社名は決めたが、この名前で登記できるのか不安」という人に向けたものです
会社設立の準備で、最初に決めるのが商号、つまり会社の名前です。思い入れのある名前を考えたのに、登記できないと言われたら困ります。使える文字の決まりや、同じ名前の会社がすでにないかを確かめておく必要があります。
決まりそのものは多くありません。会社の種類を商号に入れること、使える文字の範囲、同一住所に同一商号がないこと。この3つを押さえれば、まず問題は起きません。
ただし、登記できるかどうかと、商売でうまくいくかどうかは別の話です。この記事では、決まりの確認に加えて、実務で困らないための観点も整理します。会社設立の準備として読んでみてください。
この記事は2026年8月時点で確認できた内容をもとにしています。金額や制度は変わることがあるため、実際の手続きの前に一次情報でご確認ください。
商号には会社の種類を入れます

まず、いちばん基本的な決まりです。商号のなかに、会社の種類を入れる必要があります。株式会社なら「株式会社」、合同会社なら「合同会社」です。
位置は前でも後ろでも構いません。「株式会社◯◯」でも「◯◯株式会社」でも登記できます。前に付けるのを前株、後ろに付けるのを後株と呼ぶことがあります。
実務では、書類の並び順や、五十音順の名簿での位置が変わるという違いはあります。ただし、それが事業に影響することはほとんどありません。会社設立の準備で悩む時間があるなら、名前そのものを考えることに使ってください。
どちらを選んでも効力は同じです。好みと、口に出したときの語感で決めて構いません。会社設立のおすすめとしては、実際に声に出して読んでみることです。
なお、合同会社は「合同会社◯◯」または「◯◯合同会社」となります。株式会社と同じ考え方です。

他の会社の種類(合資会社、合名会社)も同様です。会社設立の段階で会社形態が決まっていれば、この点で迷うことはありません。
使える文字が決まっています

商号に使える文字には範囲があります。一般に案内されているのは次のとおりです。
商号に使える文字
- 漢字
- ひらがな・カタカナ
- ローマ字(大文字・小文字)
- アラビア数字(0〜9)
- 一部の符号(アンパサンド、アポストロフィー、コンマ、ハイフン、ピリオド、中点など)
符号については、使い方に決まりがあることがあります。商号の先頭や末尾には使えない符号もあります。(ピリオドは省略を示すものとして末尾に使えるとされています。)
逆に、使えない文字もあります。ローマ数字や、機種依存文字、記号の一部などです。凝った名前を考えている場合は、事前に確認しておいてください。
また、空白の扱いにも決まりがあります。ローマ字で複数の単語を並べる場合に単語の間に空白を入れることは認められていますが、日本語のあいだに空白を入れることは通常認められていません。
読みにくい文字を使うと、登記できても実務で困ることがあります。取引先が入力できない、フォントによって表示が崩れる、といった問題です。名刺やWebサイト、請求書のシステムで正しく扱えるかも考えておいてください。
細かい点は法務局に確認するのが確実です。会社設立を代行に頼んでいるなら、依頼先が確認してくれます。おすすめは、候補を2つか3つ用意しておくことです。

候補を2つ3つ用意しておくのがおすすめの進め方です。ひとつに固執すると、使えない文字が含まれていたときに一から考え直すことになります。会社設立の日程が決まっているなら、なおさら余裕を持っておいてください。
なお、銀行でないのに「銀行」、保険会社でないのに「保険」といった、業種を誤認させる文言は使えないとされています。この点も注意してください。
同一住所に同一商号は登記できません

かつては、同じ市区町村内で似た商号を登記できないという制限がありました。いまは、同一の本店所在地に同一の商号がある場合に登記できないという形になっています。
つまり、同じ住所でなければ同じ名前の会社があっても登記自体はできます。ただし、これは登記の可否の話であって、他の法律の問題がないという意味ではありません。
調べ方としては、法務省が案内しているオンライン登記情報検索サービスを使う方法があります。会社設立の直前に慌てて調べるより、商号を決める段階で確かめておくほうが安全です。
とくに、バーチャルオフィスやレンタルオフィスを本店にする場合は注意が必要です。同じ住所に多数の会社が登記されているので、同一商号にあたる可能性が他より高くなります。
なお、登記できたとしても、他社の商標を侵害しないかは別の確認が必要です。商標登録されている名称と同じ、または似た名前で事業をすると、警告を受けることがあります。心配な場合は、特許情報プラットフォームなどで検索してみてください。
バーチャルオフィスの事業者に聞けば、その住所に同じ商号の会社がないかを確認してもらえることもあります。会社設立の準備の段階で問い合わせてみてください。
調べ方を比較すると、オンラインの検索サービスを使う方法と、法務局の窓口で調べる方法があります。オンラインなら自宅から確認できるので、会社設立の準備を進めながら何度でも試せます。おすすめは、候補を出すたびに調べることです。
なお、有名な企業と紛らわしい商号は、不正競争防止法などの問題になることがあります。登記できるかどうかとは別に、この点も考慮してください。
出典法務省「オンライン登記情報検索サービスを利用した商号調査について」
実務で困らないための確認

登記できるかどうかとは別に、実務で困らないための観点があります。会社設立のあと、何年も使い続ける名前です。
実務での確認事項
- 声に出して読めるか。電話で名乗る場面があります。
- 聞いて書き取れるか。取引先に伝えるときに、何度も説明することになりませんか。
- 長すぎないか。請求書や名刺に収まりますか。
- ドメインが取れるか。会社設立のあとにWebサイトを作る予定なら、先に確認してください。
- 検索したときに埋もれないか。一般的な単語だけの名前は、検索で見つけてもらいにくくなります。
1つ目と2つ目は、実際に何度も経験する場面です。読み方が定まらない名前や、同音異字の多い名前は、そのたびに説明することになります。
4つ目も先に確認しておいてください。会社設立をしてからドメインが取れないと分かると、屋号とWebサイトの名前が食い違うことになります。商号を決めるのと同時に、ドメインの空きも調べるのがおすすめです。
5つ目は事業によります。地域名や業種名だけの名前は、検索で他社に埋もれやすくなります。逆に、造語なら検索で見つけてもらいやすくなります。
他社の商号と比較してみるのも参考になります。同じ業種の会社がどんな名前を付けているかを見れば、業界での通りやすさが分かります。おすすめは、取引先候補の会社名をいくつか並べてみることです。
これらは登記の要件ではありませんが、事業を続けるうえでは効いてきます。会社設立の準備で、少し時間をかける価値のあるところです。
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あとから変えると費用がかかります

商号は登記事項です。変更するには登記が必要で、費用がかかります。
国税庁の税額表によると、登記事項の変更の登記は1件につき3万円とされています。これに司法書士に頼む場合の報酬が加わります。
商号を変えると必要になること
- 定款の変更(株主総会の特別決議)
- 変更の登記(登録免許税1件につき3万円)
- 税務署などへの異動の届出
- 法人口座の名義変更
- 会社の印鑑の作り直し(商号が彫られているため)
- 名刺、Webサイト、契約書のひな形の作り直し
5つ目と6つ目は、登記の費用とは別にかかります。印鑑には会社名が彫られているので、商号が変われば作り直しです。3本セットならその分の費用がかかります。
変更にかかる費用を比較すると、登記の3万円より、印鑑や名刺の作り直しのほうが手間としては大きいことがあります。会社設立の時点で作ったものが全部使えなくなるためです。おすすめは、最初に納得のいく名前にすることです。
取引先への通知も必要になります。契約書の名義変更、請求書の宛名の変更、支払先の登録変更。相手にも手間をかけることになります。
だからこそ、会社設立のときに納得のいく名前を決めてください。「とりあえずこれで」と決めると、あとで費用と手間を負うことになります。
名前を考えるときの手がかり

決まりは分かったが、そもそも名前が思いつかない。そういう場合の手がかりをいくつか挙げます。
どれが正解ということはありません。会社設立の段階で、どの方向で考えるかを決めると、候補が絞りやすくなります。
実務的には、候補を5つほど出してから絞るのがおすすめです。ひとつに固執すると、使えない文字が含まれていたときに困ります。候補を複数持っておけば、確認で引っかかっても次に進めます。
また、家族や知人に読んでもらうのも有効です。自分では読めると思っていた名前が、他の人には読めないことがあります。
4つの手がかりを比較すると、それぞれ長所と短所があります。おすすめの選び方としては、事業をどこまで広げるつもりかで決めることです。ひとつの事業に絞るなら事業内容から、広げる可能性があるなら理念や造語から考えるほうが、あとで名前が合わなくなりません。
会社設立は一度きりですが、その名前は何年も使います。数日かけて考える価値はあります。
よくある質問

英語の会社名も登記できますか
ローマ字を使った商号は登記できます。ただし、会社の種類(株式会社など)は日本語で入れる必要があります。「◯◯株式会社」の◯◯部分をローマ字にする形になります。英語表記だけの商号は登記できません。
登記した商号とは別に、屋号や略称を使えますか
使えます。契約書などの正式な書類では登記した商号を使いますが、日常的なやりとりで略称を使うことは問題ありません。ただし、取引先が混乱しないよう、正式名称も併記しておくのがおすすめです。
別の住所に同じ商号の会社があっても大丈夫ですか
登記の要件としては、同一の本店所在地に同一の商号がなければ登記できます。ただし、有名な企業と紛らわしい場合は別の法律の問題になることがあります。会社設立の前に、その名前で検索してみることをおすすめします。
商号を決めるのに、どれくらい時間をかけるべきですか
一律の答えはありませんが、あとから変えると数万円と手間がかかることを考えると、数日かける価値はあります。候補を出して、読み上げて、検索して、ドメインを調べる。この工程を経れば、納得して決められるはずです。
出典法務省「オンライン登記情報検索サービスを利用した商号調査について」
まとめ|3つの決まりと、4つの実務確認

商号の決まりは多くありません。会社の種類を入れること、使える文字の範囲、同一住所に同一商号がないこと。この3つです。
この記事で押さえたこと
- 商号には会社の種類(株式会社など)を入れる。位置は前でも後ろでもよい。
- 使えるのは漢字・かな・ローマ字・アラビア数字と一部の符号。
- 同一の本店所在地に同一の商号があると登記できない。事前に調べる。
- 読みやすさ、伝えやすさ、長さ、ドメインの空きも確認しておく。
- 変更には登記が必要で、登録免許税は1件につき3万円。印鑑の作り直しも必要。
制度と金額は2026年8月時点で確認できたものです。使える文字の細かい取扱いは法務局にご確認ください。判断に迷う点は、司法書士にご相談ください。
決めたら、変える前提で考えないでください
商号は登記事項なので、変えるには登記が必要です。登録免許税は1件につき3万円、これに司法書士の報酬が加わります。そのうえ、名刺もWebサイトも印鑑も作り直しです。
だからこそ、会社設立のときに納得のいく名前を決めてください。読みやすいか、伝えやすいか、ドメインは取れるか。この3つを確かめておけば、あとで困りません。
事業目的の決め方については、同じカテゴリーの別の記事で扱っています。商号と一緒に決める項目なので、あわせてご覧ください。
他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください
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vs-group.jp - 司法書士法人まちたま|自分でやる場合と依頼した場合の費用の比較
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