この記事は「印鑑の通販サイトを開いたが、選択肢が多すぎて決められない」人に向けたものです
会社設立の準備で印鑑を買おうとすると、選ぶ項目の多さに驚きます。素材、サイズ、書体、彫刻の内容、ケースの有無。それぞれに何種類も選択肢があり、価格も数千円から数万円まで幅があります。
先に結論を書いておくと、効力に差はありません。安い印鑑でも高い印鑑でも、登記所に受理されれば同じように使えます。差が出るのは、耐久性と、偽造されにくさと、押し心地くらいです。
この記事では、それぞれの項目をどう決めるとよいかを比較します。会社設立の準備でここに時間をかけすぎないよう、判断の基準をお伝えします。
この記事は2026年8月時点で確認できた内容をもとにしています。金額や制度は変わることがあるため、実際の手続きの前に一次情報でご確認ください。
効力に差はありません

会社設立のおすすめの選び方としては、長く使うものなので欠けにくい材質を選ぶことです。値段だけで決めると、作り直しになることがあります。
最初に押さえておきたいのがここです。印鑑の素材や価格によって、法的な効力が変わることはありません。
登記所に提出する印鑑については、法務局の案内で要件が示されています。辺の長さが1センチメートルの正方形に収まるもの、または辺の長さが3センチメートルの正方形に収まらないものであってはならないとされ、あわせて照合に適するものでなければならないとされています。
この2つを満たしていれば、素材が合成樹脂でも象牙でも同じように受理されます。高い印鑑を買ったから登記が通りやすい、といったことはありません。
通販サイトの商品説明を読むと、素材の希少性や縁起の良さが書かれていることがあります。これらは商品としての付加価値の話であって、会社設立の手続きには関係しません。判断の材料として重く見る必要はありません。
では何が違うのか。実務的には、耐久性、偽造されにくさ、押し心地、そして見た目です。長く使うものなので、耐久性で選ぶという考え方はあります。
価格で変わること・変わらないこと
- 変わらない:法的な効力、登記所での受理のされ方
- 変わる:素材の耐久性(欠けにくさ、摩耗しにくさ)
- 変わる:印影の細かさ(偽造されにくさに関係します)
- 変わる:押したときの感触と見た目
- 変わる:ケースや保証の有無

会社設立の費用を抑えたいなら、標準的な素材のセットで十分です。おすすめとしては、まず予算を決めて、その範囲で選ぶという進め方です。
サイズをどう決めるか

サイズは、登記所に提出する印鑑については決まりがあります。1辺1cmの正方形に収まらず、1辺3cmの正方形に収まること。この範囲であれば自由です。
一般的なサイズとして、実印は16.5mmから18mm、銀行印は16.5mm前後、角印は21mmから24mmが標準的だと紹介されています。市販の法人印鑑セットは、この寸法で作られていることがほとんどです。

代表者印と銀行印でサイズを変えるのは、見分けやすくするためです。同じサイズだと、押すときに間違えることがあります。分けて管理するなら、サイズも変えておくと安心です。
なお、角印には登記所の要件が適用されません。登記所に提出するのは代表者印だけだからです。角印のサイズは自由に決められますが、標準的な21mmから24mmを外れると、請求書に押したときにバランスが悪くなることがあります。
角印が大きいのは、請求書などに押したときに見栄えがするためです。会社名を全部彫るので、小さいと読みにくくなります。
会社設立のおすすめとしては、標準的なサイズのセットを選ぶことです。特別な理由がなければ、ここで悩む必要はありません。
出典法務省「オンラインによる印鑑の提出又は廃止の届出について(商業・法人登記)」
素材をどう決めるか

素材は価格に直結する要素です。通販サイトでは、いくつかの区分で商品が並んでいます。

表のとおり、区分によって価格帯が分かれます。おすすめの決め方は、この表を見て予算に合う区分を選び、その中から好みで決めることです。素材の細かい違いを調べ始めると、会社設立の準備が止まってしまいます。
どれを選んでも効力は同じです。差が出るのは、何年使えるか、欠けにくいかという点だけです。会社が続くかぎり使うものなので、耐久性を重く見る人は上の区分を選びます。
ただし、樹脂系でも普通に使っていれば何年も使えます。会社設立の直後に費用を抑えたいなら、安い区分で始めて構いません。あとから作り直すこともできます(改印の手続きは必要です)。
素材の耐久性がどれくらい違うかは、使い方によっても変わります。毎日何十回も押すなら差が出ますが、月に数回なら樹脂系でも長く持ちます。自分の使う頻度を想像してから決めてください。
なお、印鑑の費用は創立費または開業費として計上できる場合があります。会社設立の準備でかかった費用なので、領収書は忘れずに保管しておいてください。
おすすめの決め方としては、予算を先に決めて、その範囲でいちばん耐久性のあるものを選ぶことです。素材の名前で悩むより、価格帯で絞るほうが早く決まります。
出典国税庁「法人税基本通達 第1節 繰延資産の意義及び範囲等」
書体をどう決めるか

書体も選ぶ項目のひとつです。通販サイトでは、いくつかの書体が用意されています。
一般に、法人の実印には読みにくい書体が選ばれる傾向があります。文字が複雑に絡み合っていると、印影から彫り起こすのが難しくなるためです。偽造されにくさを重く見る考え方です。
一方、角印は読みやすい書体が選ばれることが多いようです。請求書に押したときに、会社名が読めるほうが自然だからです。使う場面によって、求められるものが違います。
書体を選ぶときの考え方
- 代表者印・銀行印:読みにくい書体を選ぶことが多い(偽造されにくさを重視)
- 角印:読みやすい書体を選ぶことが多い(会社名が読めるほうが自然)
- 登記所の要件:照合に適するものであること
- 極端に不鮮明なもの、変形するものは避ける
代表者印の彫刻内容についても補足します。外周に会社名、内側に役職名を入れる形が一般的で、この2つの円を組み合わせた形から「二重丸印」「回転印」などと呼ばれることがあります。会社名が長い場合は文字が小さくなるので、プレビューで確認しておいてください。
4つ目に注意してください。法務局の案内では、印鑑は照合に適するものでなければならないとされています。あまりに崩れた書体や、線が細すぎるものは避けたほうが無難です。市販の法人印鑑であれば、この点は考慮されています。
会社設立のおすすめとしては、通販サイトの既定の書体から選ぶことです。プレビューを表示してくれるサイトが多いので、実際の印影を見てから決められます。
書体の比較で迷ったら、通販サイトのプレビュー機能を使ってください。実際の印影を画面で確認できます。おすすめは、3つほど表示させて見比べることです。文字数によって見え方が変わるので、自分の会社名で確かめるのがいちばん確実です。
彫刻する文字も決める必要があります。代表者印は外周に会社名、内側に「代表取締役印」(合同会社なら「代表社員印」)とするのが一般的です。
価格の考え方と、どこで買うか

法人印鑑は、通販サイトで買うのが一般的です。実店舗のはんこ屋で作ることもできますが、価格と選択肢の面では通販が有利です。
購入先を選ぶときに見る点
- 3本セットの価格(単品より安いことが多い)
- 納期(即日発送に対応しているか)
- 送料(本体価格と合わせた総額で比べる)
- 印影のプレビューがあるか
- 保証の有無(欠けたときの作り直しなど)
2つ目の納期は、会社設立の日程が決まっているなら重要です。作成に数日から1週間かかることがあります。即日発送に対応しているサイトもありますが、その場合も彫刻の内容を確定させる必要があります。
価格は3本セットで数千円から数万円まで幅があります。会社設立の実費が十数万円から二十数万円であることを考えると、印鑑の数千円の差は大きくありません。ここで時間をかけすぎないほうがよいところです。
会社設立のサービスによっては、印鑑をセットで案内しているところもあります。まとめて頼めるなら、手間が減ります。価格が特別に設定されていることもあるので、比較してみてください。
保証の内容も比較しておくとよいでしょう。欠けたときの作り直しや、彫刻ミスの対応。長く使うものなので、こうした保証があるサイトのほうが安心です。ただし、保証があるぶん価格が上がることもあるので、そこは天秤にかけてください。
おすすめの進め方としては、商号が決まった時点で通販サイトを開いて、その日のうちに発注してしまうことです。悩む時間より、早く手元に届くことのほうが役に立ちます。
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ゴム印は要るのか

3本セットに加えて、ゴム印を4本目として案内しているセットもあります。会社名、住所、電話番号などが入ったスタンプです。
これは印鑑ではなく、書類に会社の情報を書く手間を省くための道具です。法的な効力を持つものではありません。登記にも使いません。
必要かどうかは、書類を手書きする機会があるかどうかで決まります。紙の書類に会社名と住所を何度も書く場面があるなら、あると楽になります。逆に、書類がほぼ電子なら出番はありません。
会社設立の直後は、税務署や年金事務所への届出で紙の書類を書く場面があります。この時期だけを考えれば、あると便利です。ただし、それだけのために買うかどうかは判断が分かれるところです。
なお、ゴム印には「分割式」と呼ばれる形もあります。会社名、住所、電話番号などを別々のパーツにしておき、必要な組み合わせで押せるものです。住所が変わっても、その部分だけ作り直せます。おすすめの選び方としては、移転の可能性があるならこの形を検討することです。
住所が変わると作り直しになる点にも注意してください。バーチャルオフィスを使っている場合や、近いうちにオフィスを移す予定がある場合は、急いで作らないほうがよいかもしれません。
会社設立のおすすめとしては、まず3本を用意して、ゴム印は必要を感じてから足すという順番です。
よくある質問

安い印鑑を選んで問題ありませんか
登記所の要件を満たしていれば問題ありません。効力に差はありません。差が出るのは耐久性と偽造されにくさだけです。会社設立の費用を抑えたいなら、安い区分から選んで構いません。
印鑑を作るのは会社設立の前と後、どちらですか
商号が決まってからなら、会社設立の前に作って構いません。むしろ、書面で登記を申請する場合は申請時に代表者印が必要になるので、前に作っておく必要があります。順番としては、商号を決める、印鑑を発注する、定款を作る、登記を申請する、という流れです。作成に数日から1週間かかるので、早めに動いてください。
代表者印と銀行印を兼用してもよいですか
兼用できます。ただし、紛失や盗難のリスクを考えると分けたほうが安心だと紹介されています。数千円の差でリスクを分散できると考えれば、分けておく価値はあります。
あとから角印だけ追加できますか
できます。単品でも売られています。ただし、3本セットのほうが単価は安いことが多いようです。会社設立の段階で全部そろえるか、必要になってから足すかは、予算と使う見込みで判断してください。
印鑑が欠けたらどうなりますか
印影が変わってしまうと、照合ができなくなります。作り直して、改印の届出をすることになります。耐久性のある素材を選ぶ意味は、ここにあります。長く使う前提なら、少し良い素材を選ぶのも合理的です。
出典法務省「オンラインによる印鑑の提出又は廃止の届出について(商業・法人登記)」
まとめ|標準的なもので十分です

会社設立で作る印鑑は、素材・サイズ・書体を選びますが、効力に差はありません。市販の会社設立向けセットから、予算に合うものを選べば十分です。
この記事で押さえたこと
- ✓効力に差はない。要件を満たせば、素材や価格に関係なく受理される。
- ✓登記所に出す印鑑は、1辺1cmの正方形に収まらず、3cmの正方形に収まるもの。
- ✓実印16.5〜18mm、銀行印16.5mm前後、角印21〜24mmが標準的。
- ✓代表者印・銀行印は読みにくい書体、角印は読みやすい書体が選ばれる傾向。
- ✓商号が決まったらすぐ発注する。作成に数日から1週間かかることがある。
要件と一般的な寸法は2026年8月時点で確認できたものです。制度は変わりますので、実際の手続きの前に法務局の案内をご確認ください。判断に迷う点は、司法書士にご相談ください。
迷ったら、標準的なもので構いません
印鑑選びで悩む時間は、正直なところもったいないところです。市販の会社設立向けセットから、予算に合うものを選べば十分です。効力に差はありません。
強いて言えば、長く使うものなので耐久性のある素材を選ぶ意味はあります。ただし、数千円のものでも何年も使えます。会社設立の費用全体から見れば、大きな差ではありません。
それより、商号を決めたらすぐ発注することのほうが大事です。作成に数日かかるので、登記の直前に慌てないようにしてください。
他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください
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