この記事は「会社設立に印鑑が3本必要と言われたが、本当に全部要るのか」と思っている人に向けたものです
会社設立の準備を進めると、印鑑の話が出てきます。代表者印、銀行印、角印の3本セット。通販サイトでは数千円から数万円の商品が並びますが、全部が必須というわけではありません。
しかも、事情が変わっています。オンラインで登記を申請する場合、登記所への印鑑の提出は任意になりました。法務省の案内によると、令和3年2月15日からの運用です。書面で申請する場合は従来どおり必要です。
この記事では、印鑑が何本必要なのかを、使う場面から整理します。会社設立の費用を抑えたい人にとっては、ここも見直しの余地があるところです。
この記事は2026年8月時点で確認できた内容をもとにしています。金額や制度は変わることがあるため、実際の手続きの前に一次情報でご確認ください。
3本の印鑑には、それぞれ役割があります

会社設立のおすすめの進め方としては、商号が固まった時点で発注することです。印鑑がないと登記の申請に進めません。
まず、それぞれの印鑑が何に使われるのかを整理します。役割が分かれば、必要かどうかも判断できます。
このうち、登記に関わるのは代表者印だけです。銀行印は金融機関との関係、角印は取引先との慣行の話で、どちらも登記の手続きには出てきません。
つまり、会社設立の手続きそのものに必要なのは代表者印だけということになります。3本セットが必須という説明は、正確ではありません。
ちなみに、ゴム印(住所や会社名が入ったスタンプ)を4本目として案内しているセットもあります。これは書類に住所と会社名を書く手間を省くためのもので、印鑑としての役割はありません。あると便利ですが、会社設立に必須のものではありません。おすすめとしては、書類を手書きする機会が多いかどうかで判断してください。
それでも3本セットが売られているのは、実務でどれも使う場面があるからです。順に見ていきましょう。
3本を比較すると、法的な位置づけがそれぞれ違うことが分かります。代表者印は商業登記規則に定めのあるもの、銀行印は金融機関との契約上のもの、角印は取引の慣行によるもの。同じ「印鑑」という言葉でくくられていますが、根拠がまるで違います。
会社設立のおすすめとしては、まず代表者印を確実に用意し、銀行印と角印は必要に応じて足すという考え方です。ただし、セットで買うほうが単品より安いことが多いので、そこは価格を見て判断してください。
出典法務省「オンラインによる印鑑の提出又は廃止の届出について(商業・法人登記)」
オンライン申請なら、印鑑の提出は任意です

ここが大きな変化です。法務省の案内によると、令和3年2月15日から、登記の申請をオンラインで行う場合は、登記所への印鑑の提出が任意になりました。
一方、登記の申請を書面で行う場合は、申請書に登記所に提出している印鑑を押印する必要があるため、従来どおり印鑑を提出することになります。オンラインか書面か、で扱いが分かれます。

ただし、印鑑を提出しないと印鑑証明書を取得できません。法人の印鑑証明書は、法人口座の開設や不動産の取引、許認可の申請で求められることがあります。この点は考えておいてください。
この改正は、押印の見直しという流れのなかで行われたものです。法務省は、申請書や添付書面の押印の要否についても案内を出しています。会社設立の手続きは、こうした形で少しずつ簡素化されてきました。おすすめの進め方としては、最新の案内を確認したうえで、自分に必要なものだけをそろえることです。
また、オンラインによる印鑑の提出は、オンラインによる登記の申請と同時に行う場合に限りできるとされています。印鑑の提出だけを単独でオンラインで行うことはできません。
オンライン申請と書面申請を比較すると、オンラインのほうが準備するものが違います。印鑑は要らなくなるかわりに、電子証明書が必要になります。どちらが楽かは、電子証明書を用意できるかどうかで決まります。会社設立の進め方として、この点も比較しておいてください。
会社設立のおすすめとしては、当面は印鑑証明書が必要な場面があるので、代表者印は作っておくという判断が無難です。任意になったからといって、まったく不要になるわけではありません。
出典法務省「商業登記規則が改正され,オンライン申請がより便利になりました(令和3年2月15日から)」
代表者印には大きさの決まりがあります

登記所に提出する印鑑には、大きさの決まりがあります。法務局の案内によると、次のとおりです。
提出する印鑑の決まり
辺の長さが1センチメートルの正方形に収まるもの、または辺の長さが3センチメートルの正方形に収まらないものであってはならないとされています(商業登記規則第9条第3項)。また、印鑑は照合に適するものでなければならないとされています(同規則第9条第4項)。
言い換えると、1辺1cmの正方形より大きく、1辺3cmの正方形より小さいものということです。市販の法人印鑑は、この範囲に収まるように作られています。
一般的なサイズとして、実印は16.5mmから18mm、銀行印は16.5mm前後、角印は21mmから24mmが標準的だと紹介されています。通販で法人印鑑を買えば、まず問題になることはありません。
「照合に適するもの」という要件もあります。ゴム印のように変形するものや、印影が不鮮明なものは適しません。会社設立で使う印鑑は、この点でも市販の法人印鑑を選んでおくのが確実です。
素材やデザインについては、法律上の決まりはありません。読みにくい書体を選ぶと照合に適さないとされる可能性はありますが、市販の法人印鑑であれば通常は問題になりません。おすすめは、通販サイトで「会社設立向け」として売られている商品から選ぶことです。
なお、印鑑の提出は登記申請と同時に行っても差し支えないとされています。会社設立の段取りとしては、登記申請のときにまとめて出す形で問題ありません。
銀行印は必要か

法人口座を開設するときに、金融機関へ届け出る印鑑が必要になります。これを銀行印と呼びます。
代表者印を銀行印として兼用することもできます。ただし、紛失や盗難のリスクを考えると、分けて管理したほうが安心だと紹介されています。代表者印は重要な契約に使うものなので、日常的に持ち歩く銀行印と分けるという考え方です。
最近は、オンラインで口座を開設できる金融機関もあります。この場合、印鑑を使わない形の手続きになることもあります。申し込む金融機関の案内を確認してください。
印鑑の管理についても決めておいてください。誰がどこに保管するか、使うときの手順はどうするか。一人社長なら自分だけの話ですが、従業員を雇うようになれば決めておく必要があります。会社設立の直後にルールを作っておくと、あとで整える手間がありません。
会社設立のおすすめとしては、法人口座を開く予定の金融機関に、印鑑が必要かどうかを先に確認することです。必要なら作る、不要なら作らない。それだけの話です。
兼用と分ける場合を比較すると、費用の差は数千円程度です。一方、紛失したときの手続きの手間は明らかに違います。会社設立のおすすめとしては、この数千円でリスクを分散できるなら分けておくほうがよい、という判断になります。
なお、複数の金融機関に口座を持つ場合でも、銀行印は1本で構いません。それぞれに同じ印鑑を届け出る形になります。
角印は必要か

角印は、請求書や見積書、領収書に押す印鑑です。会社名だけを彫った四角い印鑑で、社印とも呼ばれます。
法的に必須のものではありません。請求書に印鑑がなくても、法律上は有効です。ただし、取引先によっては押印を求められることがあります。慣行の問題です。
角印が必要になりやすい場面
- 取引先の経理が、押印のある請求書を求める
- 紙の書類でやりとりする業種である
- 官公庁や大企業との取引がある
- 見積書や納品書を紙で出す機会が多い
逆に、請求書を電子で発行する事業なら、角印の出番はほとんどありません。電子の請求書に角印の画像を入れることもできますが、これも慣行の話です。
会社設立の直後で、取引先がまだ決まっていない場合は、判断が難しいところです。おすすめとしては、必要になってから作るという考え方です。作成には数日かかりますが、急ぐ場面はあまりありません。
角印を使う場面があるかどうかは、業種によってはっきり分かれます。おすすめの確かめ方は、同じ業種の会社から受け取った請求書を見てみることです。角印が押されているなら、自分も必要になる可能性が高いと考えてよいでしょう。
ただし、3本セットで買うほうが単品で買うより安いことが多いので、価格を見て判断してください。数千円の差なら、まとめて買っておくという選択も合理的です。
会社設立の準備で必要なものを確かめたい方は、無料の相談から始めてみてください。
無料で相談してみる※ 弊社調べによるものです。掲載内容および順位は定期的に変わります。本サイトは広告およびアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。
出典法務省「申請書、各添付書面等の押印の要否について(商業・法人登記)」
いつ作るのか、いくらかかるのか

印鑑には会社名を彫るので、商号が決まらないと発注できません。会社設立の段取りとしては、商号を決めた時点で発注するのが正しい順番です。

費用は、素材とサイズによって幅があります。3本セットで数千円から数万円まで、通販サイトにさまざまな商品が並んでいます。会社設立の費用全体から見れば、大きな金額ではありません。
安いものは合成樹脂や柘、高いものは象牙やチタンといった素材です。実務上、素材によって効力が変わることはありません。長く使うものなので、耐久性で選ぶという考え方もあります。
即日発送に対応している通販サイトもあります。会社設立を急いでいる場合は、この点も確認してください。ただし、彫刻の内容を確定させるには商号が決まっている必要があります。
通販サイトの価格を比較するときは、送料と納期も見てください。本体価格が安くても、送料や特急料金を足すと逆転することがあります。会社設立の日程が決まっているなら、納期のほうが重要になる場面もあります。
会社設立のサービスによっては、印鑑をセットで案内しているところもあります。まとめて頼めるなら、手間が減ります。
よくある質問

個人の実印を会社の印鑑として使えますか
会社の印鑑は会社の名義で作るのが一般的です。個人の実印をそのまま使うと、会社と個人の区別がつきにくくなります。会社設立をした以上、会社と個人は別人格です。印鑑も分けておくほうが、あとの管理が楽になります。
印鑑を変えたくなったらどうしますか
改印の届出をします。登記所に提出している印鑑を変える場合は、改印届書を提出します。金融機関の銀行印を変える場合は、それぞれの金融機関で手続きをします。手間がかかるので、最初に納得のいくものを作っておいてください。
印鑑を紛失したらどうなりますか
速やかに改印の手続きをしてください。悪用されると重大な問題になります。代表者印と銀行印を分けておけば、片方を紛失しても影響を限定できます。この点でも、分けて管理するほうが安心です。
オンライン申請にすれば印鑑はまったく要りませんか
登記の申請には不要ですが、印鑑を提出しないと法人の印鑑証明書を取得できません。法人口座の開設や許認可の申請で求められることがあります。会社設立の直後は、代表者印を作っておくのが無難です。
出典法務省「オンラインによる印鑑の提出又は廃止の届出について(商業・法人登記)」
まとめ|必須は代表者印。あとは使う場面しだいです

会社設立で必要な印鑑は、使う場面から逆算して決めてください。3本セットが必須というわけではありません。
この記事で押さえたこと
- ✓登記に関わるのは代表者印だけ。銀行印と角印は登記の手続きに出てこない。
- ✓オンライン申請なら、登記所への印鑑の提出は任意(令和3年2月15日から)。
- ✓ただし印鑑を提出しないと、法人の印鑑証明書を取得できない。
- ✓提出する印鑑は、1辺1cmの正方形に収まらず、3cmの正方形に収まるもの。
- ✓印鑑は商号が決まってから発注する。作成に数日かかることがある。
制度と要件は2026年8月時点で確認できたものです。制度は変わりますので、実際の手続きの前に法務局と法務省の案内をご確認ください。判断に迷う点は、司法書士にご相談ください。
使う場面から逆算して決めてください
印鑑は「3本セットだから3本買う」ものではありません。使う場面があるかどうかで決めてください。会社設立の直後は、代表者印さえあれば動けることが多いはずです。
とはいえ、法人口座の開設で銀行印を求められることはありますし、請求書に角印を押す慣行のある業種もあります。事業の内容に合わせて判断してください。
印鑑の作成には数日から1週間かかることがあります。会社設立の日程を組むときは、商号を決めた時点で発注しておくと余裕ができます。
他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください
この記事のキーワードに「会社設立 おすすめ 比較」を足して検索したときに実際に出てきたサイトです。掲載の順番は優劣を示すものではありません。内容は各サイトの公開時点のものなので、料金や条件は、リンク先で最新の表示をご確認ください。
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