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株式会社の機関設計は一人でも成り立ちます|取締役会を置かない形がおすすめな理由

株式会社の機関設計は一人でも成り立ちます|取締役会を置かない形がおすすめな理由|会社設立のおすすめ比較

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この記事は「株式会社にするなら取締役は何人必要なのか」が気になっている人に向けたものです

株式会社で会社設立をすると決めたあと、次に出てくるのが機関設計の話です。取締役は何人置くのか、取締役会は必要なのか、監査役は要るのか。ひな形を見ても、どれを選べばよいのか判断がつきません。

結論から言えば、一人で会社設立をするなら、取締役1名で、取締役会を置かない形がもっとも一般的です。これは手続きが軽いというだけでなく、定款認証の手数料が1万5,000円になる特例の要件にも関わってきます。

この記事では、機関設計の選択肢を整理し、それぞれの手間と費用を比較します。会社設立のおすすめの形を、判断できるようにまとめました。

この記事は2026年8月時点で確認できた内容をもとにしています。金額や制度は変わることがあるため、実際の手続きの前に一次情報でご確認ください。

株式会社は取締役1名から作れます

取締役1名の株式会社を示したイラスト

かつては、株式会社を作るには取締役3名と監査役1名が必要でした。いまは違います。取締役1名だけの株式会社を設立できます。一人で会社設立をする人にとっては、大きな違いです。

この場合、その1名が取締役であり代表取締役になります。株主も自分ひとりということが多く、いわゆる一人会社の形になります。会社設立のおすすめとしては、まずこの形を検討するのが素直な進め方です。

取締役1名・取締役会なしもっとも軽い形。株主総会と取締役だけで運営できます。一人で会社設立をする場合の標準的な選択です。
取締役3名以上・取締役会あり取締役会を置く場合は取締役が3名以上必要になり、監査役などの設置も関わってきます。外部から出資を受ける段階になってから検討する形です。

どちらを選ぶかで、定款の書き方が変わります。取締役会を置くなら、定款にその旨を記載します。置かないなら記載しません。この記載の有無が、あとで説明する定款認証の特例に関わってきます。

会社法の条文はe-Gov法令検索で読めます。機関設計の選択肢は複数あるので、込み入った形にする場合は司法書士に相談するのがおすすめです。

機関設計という言葉はいかめしく聞こえますが、要は「誰がどんな役割で会社を動かすか」を決めることです。一人で会社設立をするなら、答えは最初から決まっています。自分がひとりで決めて動かす。であれば、そのとおりに定款を書けばよいだけです。おすすめは、難しく考えずにもっとも軽い形を選ぶことです。

なお、合同会社にはこの機関設計という考え方がありません。出資した社員が業務を執行する形が基本です。この点でも、合同会社のほうが構造が単純だと言えます。

出典デジタル庁「e-Gov法令検索 会社法」

取締役会を置かない形が、費用でも有利になります

機関設計と定款認証手数料の関係を示したイラスト

2024年12月1日から、株式会社の定款認証の手数料に特例ができました。次の要件をすべて満たすと、3万円が1万5,000円になります。

1万5,000円になる要件

  • 資本金の額等が100万円未満であること
  • 発起人の全員が自然人であり、かつ、その数が3人以下であること
  • 定款に発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける旨の記載または記録があること
  • 定款に取締役会を置く旨の記載または記録がないこと

4つ目に注目してください。取締役会を置かないことが、手数料が半額になる要件のひとつになっています。一人で会社設立をする場合、取締役会を置く理由はほとんどないので、この要件は自然と満たせます。

3つ目の「発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける」というのは、発起設立のことです。設立時に発行する株式を発起人が全部引き受ける形で、これも一人での会社設立では標準的な方法です。

残るのは資本金を100万円未満にするかどうかです。この1点を除けば、一人で会社設立をする人はほぼ要件を満たします。会社設立の費用を抑えたいなら、機関設計を軽くしておくことがそのまま費用の削減につながります。

この特例と、機関設計を軽くすることの関係を比較しておくと、判断がしやすくなります。取締役会を置くと定款認証は3万円のままですが、置かなければ他の要件しだいで1万5,000円になります。取締役会を置くつもりがないなら、費用の面でも自然とおすすめの形に落ち着くということです。

ただし、資本金は取引先や金融機関から見られる数字でもあります。1万5,000円のために事業の見通しを歪めるのはおすすめしません。100万円未満で問題ない場合に限った話です。

出典日本公証人連合会「会社の定款手数料の改定」

株式の譲渡制限をつけるかどうか

株式の譲渡制限について示したイラスト

機関設計とあわせて決めるのが、株式に譲渡制限をつけるかどうかです。譲渡制限とは、株式を譲り渡すときに会社の承認が必要とする定めのことです。

小さな会社では、譲渡制限をつけるのが一般的です。知らない人が株主になることを防げますし、役員の任期を伸ばせるという利点もあります。

株式の譲渡制限がある会社なら、取締役の任期を最長10年まで伸ばせるとされています。任期が満了するたびに重任の登記が必要で、登録免許税は1件につき1万円(資本金の額が1億円以下の会社の場合)。2年ごとと10年ごとでは、20年間の登記の回数が5倍違います。

任期2年と10年の違い
役員の任期を2年にした場合と10年にした場合(20年間の比較、2026年8月時点)。

株式の譲渡制限をつけない場合と比較すると、つけたほうが小さな会社には向いています。譲渡制限がないと、株式が自由に譲渡されて知らない人が株主になる可能性があります。会社設立の段階では想像しにくいことですが、相続などの場面で実際に起こりえます。おすすめは、特別な理由がなければつけておくことです。

任期を長くすればよいとは限りません

任期を10年にすると、途中で役員を交代させたい場合に、任期の途中での解任という形になります。正当な理由なく解任すると、損害賠償の問題になることがあります。一人社長なら10年で問題ありませんが、複数の役員がいる場合は慎重に決めてください。

出典国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」

発行可能株式総数と、株式の数の決め方

発行可能株式総数の決め方を示したイラスト

株式会社では、資本金の額とは別に、株式を何株発行するかを決めます。ここでつまずく人が多いので、考え方を整理します。

決めるのは主に2つです。設立時に発行する株式の数と、発行可能株式総数。後者は、将来的に発行できる株式の上限を定めるものです。設立のときに定款に記載していない場合は、会社の成立までに定款を変更して定めることとされています。実務では、最初から定款に入れておくのが一般的です。

1株あたりの価額は自由に決められます。資本金100万円で100株を発行すれば1株1万円、1,000株を発行すれば1株1,000円です。株数が多いほど、将来の株式の分配や譲渡がしやすくなります。

発行可能株式総数は、設立時に発行する株式の数より多く設定しておきます。将来の増資に備えるためです。ただし、株式の譲渡制限がある会社では、公開会社のような上限の制約はないとされています。ここも定款の書き方に関わるので、依頼先に相談しながら決めてください。

株数の決め方を比較しておくと、100株にした場合は1株あたりの価額が大きくなり、1,000株にすると細かく分けられます。将来的に共同経営者や従業員へ株式を渡す可能性があるなら、細かく分けられるほうが便利です。おすすめの目安としては、1株の価額が1万円前後になる株数です。

一人で会社設立をする場合、正直なところ株数はどう決めてもあまり困りません。ただし、将来的に共同経営者を入れる可能性があるなら、分けやすい数にしておくと後で楽になります。100株や1,000株といったきりのよい数が使われることが多いようです。

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出典法務局「商業・法人登記の申請書様式」

監査役は必要か

監査役の要否を示したイラスト

監査役は、取締役の職務執行を監査する機関です。会社設立の段階で置くかどうかを決めます。

取締役会を置かない小さな会社では、監査役を置かないのが一般的です。一人で会社設立をする場合、監査する相手も自分になってしまうので、置く意味がほとんどありません。

監査役を置くと、その人の就任承諾書や印鑑証明書が必要になり、登記事項も増えます。手続きが増えるだけで、小さな会社にとっての利点は限られます。

一方、外部から出資を受ける場合や、取引先から求められる場合には、機関設計を整えることが求められることがあります。この場合は司法書士に相談しながら決めてください。

機関設計の選び方
会社設立時の機関設計の選択肢(2026年8月時点)。

3つの形を比較すると、下にいくほど関わる人が増え、そのぶん手続きが重くなります。会社設立の直後は関わる人が少ないので、いちばん上で足ります。事業が育ってから、必要になった機関を足していく。この順番がおすすめです。

会社設立のおすすめとしては、いちばん上の形から検討してください。必要になってから足せばよいものです。

出典日本司法書士会連合会「日本司法書士会連合会」

あとから変えられるもの、変えにくいもの

設立時の決定事項の変えやすさを示したイラスト

会社設立の時点で決めることのなかには、あとから変えやすいものと、変えにくいものがあります。分けて考えると気が楽になります。

比較的変えやすいもの
機関設計(取締役会の設置、監査役の設置)。定款変更と登記が必要ですが、必要になった段階で対応できます。
変えられるが費用がかかるもの
商号、事業目的、本店所在地。登記事項の変更の登記は1件につき3万円、本店移転は1箇所につき3万円の登録免許税がかかります。
変えにくいもの
決算月。株主総会の決議と届出が必要で、初年度の期間の扱いにも影響します。
実質的に変えられないもの
設立日。登記を申請した日が設立日になります。

この分類で見ると、会社設立の段階でとくに慎重に決めたいのは、商号・事業目的・本店・決算月の4つだということが分かります。機関設計はあとから足せるので、最初は軽い形で構いません。

事業目的については、いま始める事業と1〜2年のうちに始める見込みのある事業まで入れておくのがおすすめです。あとから追加すると、登録免許税と司法書士の報酬がかかります。

決算月についても補足します。変えるには株主総会の決議と、税務署などへの届出が必要です。手続きそのものは難しくありませんが、変更した年の事業年度が短くなるなど、扱いが少し複雑になります。会社設立のときに、自分の事業の繁忙期を考えて決めておくのがおすすめです。

本店の定款記載を最小行政区画(市区町村)までにしておくと、同じ市区町村内での移転では定款の変更が不要になります。登記は必要ですが、株主総会の決議が不要になるので手間が減ります。

出典国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」

よくある質問

機関設計についてのよくある質問のイラスト

家族を役員に入れたほうがよいですか

役員報酬を分散させたい、といった理由で家族を役員にする例はあります。ただし、実態のない役員報酬は税務上の問題になることがあります。実際に業務に関わっているかどうかが見られます。会社設立の段階で決める前に、税理士に相談することをおすすめします。

取締役の任期は途中で変えられますか

定款を変更すれば変えられます。株主総会の特別決議が必要です。ただし手続きの手間があるので、会社設立のときに考えて決めておくほうが楽です。一人社長なら長め、複数の役員がいるなら短めというのが一般的な考え方です。

あとから取締役会を置くことはできますか

できます。定款を変更して登記すれば設置できます。取締役が3名以上必要になるなど、要件を満たす必要があります。最初から置く必要はないので、必要になってからで構いません。

合同会社には機関設計がないのですか

株式会社のような機関設計の考え方はありません。出資した社員が業務を執行する形が基本で、そのうち会社を代表する人を代表社員とします。構造が単純なぶん、決めることも少なくなります。会社設立の手続きを軽くしたいなら、この点も合同会社の利点です。

出典法務局「よくあるご質問等<商業・法人登記関係>」

まとめ|一人なら、いちばん軽い形で構いません

機関設計のまとめイラスト

株式会社の機関設計は、一人で会社設立をするなら取締役1名・取締役会なし・監査役なしがもっとも一般的です。手続きが軽く、費用の面でも有利になります。

この記事で押さえたこと

  • 取締役1名だけの株式会社を設立できる。一人会社の形が標準的。
  • 取締役会を置かないことは、定款認証が1万5,000円になる要件のひとつ。
  • 株式の譲渡制限をつけると、取締役の任期を最長10年まで伸ばせるとされている。
  • 監査役は、取締役会を置かない小さな会社では置かないのが一般的。
  • 機関設計はあとから変えられる。商号・事業目的・本店・決算月のほうが慎重に決める。

制度と金額は2026年8月時点で確認できたものです。制度は変わりますので、実際の手続きの前に法務局・公証役場の案内をご確認ください。機関設計の判断に迷う場合は、司法書士にご相談ください。

出典法務省「商業・法人登記のオンライン申請について」

小さく作って、必要になったら足してください

機関設計は、あとから変えられます。最初から取締役会を置く必要はありません。会社が大きくなり、役員が増え、外部から出資を受ける段階になってから足せばよいものです。

会社設立の時点では、いちばん軽い形で始めるのがおすすめです。手続きも費用も抑えられますし、定款認証の特例にも当てはまりやすくなります。

役員の任期や、株式の譲渡制限については、この記事でも触れましたが、判断に迷う点は司法書士に相談してください。設立のときに決めておくと、あとの登記の回数が減ります。

他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください

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この記事の編集体制
合同会社FIELDの関連会社である会計事務所および税理士法人と内容を確認しながら編集しています。各サービスの料金・条件は、公式サイトの表示を確認できた範囲のみ掲載しています。
記載している金額・期間・制度は2026年8月時点で確認できたものです。制度は変わることがあるため、手続きの前に法務局・公証役場・税務署などの一次情報をあわせてご確認ください。判断に迷う点は、税理士・司法書士・行政書士などの専門家や所管の官庁にご相談ください。

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