この記事は「合同会社にすると決めたが、手順が分からない」人に向けたものです
会社形態を合同会社に決めたなら、次は手続きです。合同会社の設立は、株式会社より工程がひとつ少なくなります。定款認証がないので、公証役場とのやりとりが発生しません。そのぶん期間も費用も抑えられます。
とはいえ、やることがゼロになるわけではありません。定款は作りますし、資本金の払込みも登記の申請も必要です。株式会社のひな形をそのまま流用すると、項目が合わずに手戻りが出ます。合同会社には合同会社の書き方があります。
この記事では、合同会社の設立手順をおすすめの順番で整理し、必要書類とつまずきやすいところをまとめます。会社設立をこれから進める方の下地としてお使いください。
この記事は2026年8月時点で確認できた内容をもとにしています。金額や制度は変わることがあるため、実際の手続きの前に一次情報でご確認ください。
合同会社の設立は、株式会社より工程がひとつ少ない

まず全体像です。株式会社と合同会社で、工程がどう違うかを並べます。

定款認証がないというのは、単に費用が浮くだけの話ではありません。公証役場に定款案を送って確認してもらい、日程を予約して、認証を受ける。この一連のやりとりが丸ごとなくなります。日数にすると数日から1週間ほどの短縮になります。
そのぶん、合同会社の設立は自分で進めやすい形だと言えます。会社設立を自力でやってみたい人にとって、おすすめしやすい会社形態です。
ただし、定款そのものは作る必要があります。認証がないからといって、いい加減に作ってよいわけではありません。登記の際に法務局へ提出しますし、法人口座の開設や許認可の申請でも使います。
株式会社の手順と比較すると、減るのは認証の1工程だけです。基本事項を決めるところも、資本金を払い込むところも、登記を申請するところも変わりません。会社設立の全体像としては、思っているほど劇的に軽くなるわけではない、というのが正直なところです。
また、紙の定款で作れば収入印紙4万円がかかるのは株式会社と同じです。会社設立の費用を抑えるなら、合同会社でも電子定款にしてください。
出典日本公証人連合会「Q3. 定款の認証に要する費用、株式会社設立の費用等はいくらですか。」
手順1|基本事項を決める

どの会社形態でも同じですが、まず決めることを決めます。合同会社の場合、決める項目は次のとおりです。
合同会社で決めること
- ✓商号(会社名。「合同会社」を商号のなかに入れます)
- ✓本店の所在地
- ✓事業目的
- ✓社員(出資者)の氏名・住所と、出資の額
- ✓業務執行社員と代表社員を誰にするか
- ✓資本金の額
- ✓事業年度(決算月)
株式会社と違うのは、4つ目と5つ目です。合同会社では、出資した人を「社員」と呼びます。従業員という意味ではありません。このうち業務を執行する人が業務執行社員、会社を代表する人が代表社員です。
一人で会社設立をする場合、その人が唯一の社員であり、業務執行社員であり、代表社員になります。肩書きは「代表社員」で、株式会社の「代表取締役」に相当します。名刺の表記もこうなるので、あらかじめ知っておいてください。
商号については、同一の本店所在地に同一の商号がないかを確認する必要があります。法務省が案内しているオンライン登記情報検索サービスを使う方法があります。会社設立の直前ではなく、商号を決める段階で確かめておくのがおすすめです。
決算月も、この段階で決めておきます。自分の事業の繁忙期と決算作業の時期が重ならない月を選ぶのがおすすめです。他社と比較して3月決算を選ぶ必要はまったくありません。むしろ、税理士事務所が混み合う時期を避けたほうが丁寧に見てもらえる、という考え方もあります。
事業目的も、あとから追加すると変更登記が必要になり、登録免許税が1件につき3万円かかります。いま始める事業と、1〜2年のうちに始める見込みのある事業まで入れておいてください。
出典法務省「オンライン登記情報検索サービスを利用した商号調査について」
手順2|定款を作る

合同会社の定款には、目的、商号、本店の所在地、社員の氏名または名称および住所、社員が有限責任社員であること、社員の出資の目的および価額または評価の標準といった事項を定めます。
株式会社の定款とは項目が違うので、株式会社のひな形を流用すると項目が合いません。合同会社用のひな形を使うか、専門家に作ってもらってください。法務局が公開している申請書の様式と記載例も参考になります。
定款を紙で作ると収入印紙4万円がかかります。電子定款にすればこれが不要です。合同会社の設立費用が6万円で済むという説明を見かけますが、これは電子定款が前提になっていることがほとんどです。
電子定款を自分で作るには、電子証明書付きのマイナンバーカード、ICカードリーダライタ、電子署名ができるPDFソフトが必要です。会社設立が一度きりなら、数千円で代行に頼むほうが早く安く済みます。
| サービス | 代行手数料 | 電子定款 | 利用条件 |
|---|---|---|---|
| 会社法人センター 井坂司法書士事務所&行政書士井坂事務所/司法書士・行政書士 | 8,360円(税込) | 対応。電子定款により収入印紙4万円が不要 | 追加料金や税理士契約は不要と明記 |
| freee会社設立 freee株式会社/クラウドツール | 利用料金0円 | 対応。行政書士への委任契約で費用が発生し、freee会計の年間契約で5,000円分を負担 | 電子定款費用の負担を受けるにはfreee会計の年間契約が必要 |
| マネーフォワード クラウド会社設立 株式会社マネーフォワード/クラウドツール | サービス利用料0円 | 対応。通常5,000円、マネーフォワード クラウドの有料プラン契約で無料 | 電子定款を無料にするには有料プラン(ひとり法人・スモールビジネス・ビジネス)の契約が必要 |
| 会社設立ひとりでできるもん 株式会社ユーモアプラス/司法書士・行政書士連携型 | 株式会社 3,850円/合同会社 2,200円(アプリ利用料) | 対応。提携する行政書士が作成代行し、株式会社5,000円〜/合同会社3,000円〜 | 会計ソフト契約の要否は公式サイトに記載なし |
| シルク司法書士事務所 シルク司法書士事務所/司法書士・行政書士 | 株式会社 88,000円(税込)/合同会社 77,000円(税込) | 対応。電子定款で認証する場合は印紙代4万円が不要 | 対応エリアは渋谷区笹塚・幡ヶ谷・初台・代々木上原ほか近隣に限られる |
自分で作る場合と代行に頼む場合を比較すると、費用の差は数千円です。一方、機材をそろえる手間と、書き方を調べる時間の差は小さくありません。会社設立が一度きりなら、代行がおすすめになりやすい理由はここにあります。
金額を見ると、合同会社のほうが株式会社より報酬が安く設定されているサービスがあります。定款認証の代行という工程がないぶん、事務所側の作業も減るためです。おすすめの確かめ方は、見積もりのときに「合同会社です」と最初に伝えることです。
手順3|資本金を払い込む

定款ができたら、資本金を払い込みます。会社はまだ存在していないので、代表社員になる人の個人口座に入金する形です。
順番を間違えないでください
定款を作成した日より後の日付で入金する必要があります。先に入れてしまうと、払込みの証明として使えず、やり直しになります。会社設立を急いでいるときほど、この順番を間違えやすいので注意してください。
入金したら、通帳の表紙、表紙の裏(口座番号と名義が分かるページ)、入金が記帳されたページの写しを取ります。ネットバンキングの場合は、口座名義と入金の記録が分かる画面を印刷します。
複数の社員がいる場合は、それぞれが自分の名義で振り込む形にすると、誰がいくら出資したかが記録に残ります。まとめて代表者が入金してしまうと、証明として使いにくくなることがあります。
資本金の額は自由に決められますが、いくつか金額で扱いが変わる場面があります。事業年度開始の日の資本金が1,000万円以上だと、設立1期目から消費税の納税義務が生じます。会社設立のおすすめとしては、1,000万円未満にしておくのが無難です。
現物出資という方法もあります。パソコンや車などの財産を出資に充てる形です。ただし手続きが複雑になり、価額の証明も必要になります。会社設立をはじめて行うなら、現金だけで出資するほうがおすすめです。
また、資本金は当面の運転資金でもあります。少なすぎると設立してすぐ資金が足りなくなります。おすすめの目安は、数か月分の家賃や仕入れ、役員報酬をまかなえる額です。
手順4|登記を申請する

書類がそろったら、法務局に登記を申請します。申請した日が会社の設立日になります。
合同会社の設立登記で必要になる主な書類
- ✓設立登記申請書
- ✓定款
- ✓代表社員・本店所在地および資本金決定書(必要な場合)
- ✓代表社員の就任承諾書(必要な場合)
- ✓払込みがあったことを証する書面
- ✓資本金の額の計上に関する証明書(現物出資がある場合など)
- ✓印鑑届書(書面申請の場合)
必要な書類は事案によって変わるので、法務局が公開している申請書の様式と記載例を事前に確認してください。様式は法務局のサイトからWordとPDFで入手できます。記載例を先に読むことが案内されています。
登録免許税は資本金の額の1,000分の7で、6万円に満たないときは1件につき6万円です。特定創業支援等事業の証明書を登記申請時に添付すれば、税率が0.35%になり最低額も3万円に下がります。
登記の申請は、登記・供託オンライン申請システムを使えばオンラインでもできます。オンライン申請の場合、登記所への印鑑の提出は任意とされています。書面で申請する場合は、従来どおり印鑑の提出が必要です。
株式会社の登録免許税と比較すると、最低額で9万円の差があります。さらに定款認証の手数料がかからないので、実費の合計では10万円前後の差になります。会社設立の費用を抑えたいという理由で合同会社を選ぶ人が多いのは、この差があるためです。
登記が完了するまでは1週間から10日ほどかかるのが一般的です。完了したら、登記事項証明書と印鑑証明書を取得してください。法人口座の開設や許認可の申請で使います。
合同会社の設立を任せたい方は、無料の相談から始めてみてください。
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出典法務省「商業登記規則が改正され,オンライン申請がより便利になりました(令和3年2月15日から)」
手順5|設立後の届出を出す

登記が終わっても、まだ手続きが残っています。期限が決まっているものがあるので、注意してください。

これらは株式会社でも合同会社でも同じです。会社形態によって届出が減るわけではありません。合同会社は設立が軽い一方、設立後の税務や社会保険の扱いは株式会社と変わらない点を押さえておいてください。
デジタル庁の法人設立ワンストップサービスを使うと、これらの届出をマイナポータル上でまとめて申請できます。マイナンバーカードと電子署名が必要です。2026年8月時点では一部手続の新規申請を控えるよう告知も出ていたので、利用の前に稼働状況を確認してください。
青色申告の承認申請は、期限を過ぎるとその事業年度は青色申告ができません。欠損金の繰越しなどの扱いが変わるので、金額に直結します。登記が終わった日に、カレンダーへ入れておくことをおすすめします。
つまずきやすいところ

合同会社の設立で、実際につまずきやすいところを挙げます。
1つ目は書類だけの話ではありません。名刺や契約書、Webサイトでも「代表社員」という表記になります。取引先から「社長ではないのですか」と聞かれることがあるので、あらかじめ説明できるようにしておくと安心です。
つまずきを避けるためにおすすめしたいのは、法務局の記載例を先に読むことです。様式のページには、記載例を最初に見るよう案内があります。どこに何を書くかが分かれば、書類作成の不安はかなり減ります。
4つ目については、オンラインで申請する場合は印鑑の提出が任意とされています。ただし、法人口座の開設や契約書で会社の実印が必要になる場面はあります。会社設立のおすすめとしては、いずれにせよ作っておくのが無難です。

出典法務省「オンラインによる印鑑の提出又は廃止の届出について(商業・法人登記)」
まとめ|工程が少ないぶん、準備の差が出ます

合同会社の設立は、定款認証がないぶん工程がひとつ少なくなります。そのぶん、自分で進めやすい形です。
この記事で押さえたこと
- 定款認証が不要。公証役場とのやりとりが発生しない。
- 定款そのものは作る。紙なら収入印紙4万円がかかるのは株式会社と同じ。
- 出資者は「社員」、代表者は「代表社員」。株式会社の用語では通らない。
- 資本金は定款の作成日より後の日付で入金する。
- 登録免許税は最低6万円。特定創業支援等事業の証明書があれば3万円。
金額と手順は2026年8月時点で確認できたものです。制度や運用は変わりますので、実際の手続きの前に法務局・年金事務所・税務署の案内をご確認ください。判断に迷う点は、司法書士や税理士にご相談ください。
工程が少ないぶん、準備の差がそのまま出ます
合同会社の設立は工程が少ないので、書類さえそろえば早く終わります。逆に言えば、準備が遅れるとそのまま日程が後ろにずれます。印鑑証明書の取得と会社印鑑の作成は、早めに動いてください。
定款は自分で作ることもできますが、電子定款にするなら機材の準備が要ります。会社設立が一度きりなら、数千円で代行に頼むほうが早く安く済むことが多いはずです。
株式会社との違いや、費用の内訳については、同じカテゴリーの別の記事で扱っています。あわせてご覧いただくと、判断がしやすくなります。
他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください
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