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会社設立の決算月はいつにするか|免税期間・繁忙期・資金繰りの3点で比較する

会社設立の決算月はいつにするか|免税期間・繁忙期・資金繰りの3点で比較する|会社設立のおすすめ比較

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この記事は「決算月を3月にするものだと思っていた」人に向けたものです

会社設立の準備で、決算月を決める場面が来ます。日本の会社は3月決算が多いので、なんとなくそれに合わせようとする人がいます。ただし、3月決算にする理由は、多くの会社にはありません。

決算月は自由に決められます。そして、選び方によって消費税の免税期間の長さ、決算作業の忙しさ、納税のタイミングが変わります。会社設立のときに考えて決めておく価値のある項目です。

この記事では、決算月を決めるときに見るべき3つの点を整理します。あとから変えることもできますが、手続きが必要になるので、最初に決めておくほうが楽です。

この記事は2026年8月時点で確認できた内容をもとにしています。金額や制度は変わることがあるため、実際の手続きの前に一次情報でご確認ください。

決算月は自由に決められます

決算月を自由に決められることを示したイラスト

会社設立のとき、定款に事業年度を定めます。ここで決算月が決まります。3月末にしなければならない、という決まりはありません。どの月の末日にしても構いません。

日本の会社に3月決算が多いのは、国や自治体の会計年度が4月から3月であることや、慣習によるものです。個人の事業者から法人化する場合も、3月に合わせる必要はまったくありません。

国税庁の統計などでも3月決算の法人が多いことが知られていますが、それは大企業や上場企業を含めた話です。小さな会社が同じにする必要はありません。むしろ、混み合う時期を外したほうが、税理士にも丁寧に見てもらえます。

むしろ、3月決算にすると不利になることがあります。税理士事務所がその時期に混み合うためです。決算と申告の対応が手薄になったり、依頼を断られたりすることがあります。

では、何を基準に決めるのか。実務では、次の3つが挙げられます。

決算月を決める3つの観点

  • 消費税の免税期間をなるべく長く取れるか
  • 自分の事業の繁忙期と、決算作業の時期が重ならないか
  • 納税の時期に、資金を用意できるか

個人事業から法人化する場合と比較すると、この自由度は法人ならではです。個人事業主の会計期間は1月から12月と決まっていて、選べません。会社設立をすると、この点だけは自由になります。おすすめは、この自由をきちんと使うことです。

この3つを順に見ていきます。すべてを満たす月がなければ、優先順位をつけて決めることになります。会社設立のおすすめとしては、まず1つ目から検討してください。

出典デジタル庁「e-Gov法令検索 会社法」

観点1|免税期間をなるべく長く取る

消費税の免税期間を示したイラスト

事業年度開始の日の資本金が1,000万円未満の新設法人は、基準期間がないため設立1期目と2期目が消費税の免除の対象になりうるとされています。ただし、特定新規設立法人に該当する場合など他の要件でも扱いが変わります。

ここで大事なのが、1期目の長さです。設立日から最初の決算日までが1期目になるので、決算月の選び方で1期目の長さが変わります。

決算月と1期目の長さ
4月1日に会社設立した場合の、決算月による1期目の長さの違い(2026年8月時点)。

どちらも「2期分」が対象になりうるという点は同じですが、期間の長さがまるで違います。4月1日に設立して3月決算にすれば、1期目が約12か月になり、2期あわせて約24か月になります。

なお、事業年度は1年を超えられません。設立日から最初の決算日までが12か月を超えるような設定はできないので、設立日の前の月というのが実質的な上限になります。この点も押さえておいてください。

つまり、設立日の前の月を決算月にすると、1期目を最長に近づけられるということです。会社設立の日程が決まっているなら、そこから決算月を逆算する形になります。

設立日と決算月の組み合わせを比較してみてください。たとえば10月に会社設立をするなら、9月決算にすれば1期目が約12か月になります。11月決算にすれば1期目は約1か月です。おすすめは前者ですが、繁忙期と重なるなら考え直す余地もあります。

ただし、これは免税の対象になる場合の話です。資本金が1,000万円以上なら、そもそも1期目から納税義務があります。会社設立のおすすめの順番としては、資本金を決めてから決算月を考えることです。

出典国税庁「No.6501 納税義務の免除」

観点2|繁忙期と重ならないようにする

繁忙期と決算月の関係を示したイラスト

決算月が決まると、その後の2か月ほどが決算と申告の作業期間になります。法人税の申告期限は、原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内です。

この期間に事業の繁忙期が重なると、両方に手が回らなくなります。とくに一人社長や少人数の会社では、この負担が大きくなります。

繁忙期を考えるときの見方

  • 売上がいちばん立つ時期はいつか
  • その時期の前後で、準備や後処理に追われる期間はいつか
  • その期間と、決算月の翌月から2か月が重ならないか
  • 税理士に頼む場合、その事務所の繁忙期はいつか

4つ目も見ておいてください。税理士事務所は、3月決算の会社が多いため4月から5月が繁忙期になりがちです。また、個人の確定申告の時期である2月から3月も忙しくなります。この時期を避けると、丁寧に見てもらいやすくなります。

会社設立の直後は取引が少ないので、決算作業もそれほど重くありません。ただし、事業が育つにつれて作業量は増えます。数年先を見て決めておくほうが、あとで変更する手間を避けられます。

繁忙期を避けるおすすめの考え方は、決算の2か月後まで含めて空いている時期を探すことです。決算月そのものではなく、そこから2か月間が作業の期間になります。この期間に商売がいちばん忙しいと、どちらも中途半端になります。

なお、決算月を変更することもできます。ただし手続きが必要なので、最初に考えて決めておくほうが楽です。

出典国税庁「C1-19 青色申告書の承認の申請」

観点3|納税の時期に資金を用意できるか

納税の時期と資金繰りの関係を示したイラスト

決算月の翌日から2か月以内に、法人税と地方税を納めることになります。つまり、決算月の2か月後に、まとまった資金が出ていきます。

この時期に資金が薄いと、納税が苦しくなります。売上の入金が少ない時期や、大きな支払いが重なる時期と重ならないようにしたいところです。

決算から納税まで
決算月から納税までの流れ(2026年8月時点)。

納税資金を確保するおすすめの方法は、売上が入るたびに一定割合を別口座に移しておくことです。決算の直前に慌てて用意するより、日ごろから積み立てておくほうが確実です。

消費税の課税事業者になると、納税額はさらに大きくなります。売上に対する消費税から仕入れに対する消費税を差し引いた額を納めるので、事業の内容によっては法人税より大きくなることもあります。決算月を決めるときは、この可能性も頭に置いておいてください。

また、法人住民税の均等割は赤字でもかかります。利益が出なかった年でも、この分は納める必要があります。会社設立の直後は赤字になることもあるので、この点も見込んでおいてください。

納税の時期と入金の時期を比較して並べてみると、判断しやすくなります。売上の入金が集中する月の2か月ほど前を決算月にすれば、納税の時期に資金が厚くなります。会社設立の直後は読みにくいところですが、業種によっては季節性がはっきりしていることもあります。

決算月を決めるときは、自分の事業の資金の流れを1年分書き出してみてください。入金が多い月と少ない月が見えれば、どこに決算月を置くべきかも見えてきます。

出典地方税共同機構「eLTAX 地方税ポータルシステム」

3つの観点が食い違うとき

決算月を決める優先順位を示したイラスト

3つの観点すべてを満たす月が見つかればよいのですが、食い違うこともあります。その場合は優先順位をつけて決めます。

免税期間を優先する場合設立日の前の月を決算月にします。会社設立の直後で資金が限られているなら、この効果はいちばん大きくなります。ただし、繁忙期と重なる可能性があります。
繁忙期を優先する場合事業が忙しい時期を避けて決算月を置きます。免税期間が短くなることもありますが、毎年続く負担を減らせます。
資金繰りを優先する場合入金が多い時期の後に納税が来るよう配置します。事業の性質によっては、これがいちばん現実的な判断になります。

会社設立の直後という時点で考えると、免税期間の効果がいちばん分かりやすく大きくなります。1期目を長く取れれば、その期間の消費税が変わってくるためです。

一方、繁忙期と資金繰りは毎年続く話です。1回きりの効果と、毎年の負担。どちらを重く見るかで判断が変わります。

3つの観点を比較して重みをつけるとき、会社設立の直後か数年後かで答えが変わります。設立直後は免税期間、軌道に乗ってからは繁忙期と資金繰り。おすすめの決め方としては、当面の3年くらいを見て判断することです。

迷ったら、税理士に相談してください。自分の事業の数字を当てはめて、どの月がよいかを一緒に考えてもらえます。会社設立の無料相談でも、この論点は扱ってもらえることが多いはずです。

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出典ベンチャーサポート税理士法人「会社設立完全ガイド」

決算日は月末でなくてもよい

決算日の設定について示したイラスト

細かい話ですが、決算日は月末でなくても構いません。定款で「事業年度は毎年◯月◯日から翌年◯月◯日まで」と定めれば、月の途中を決算日にすることもできます。

ただし、実務では月末を決算日にするのが一般的です。理由は単純で、月末で締めたほうが計算しやすいからです。給与や家賃、社会保険料といった月次の処理が月末で区切られるためです。

月の途中を決算日にすると、月次の処理を分割することになり、作業が増えます。特別な理由がなければ、月末にしておくのがおすすめです。

なお、事業年度は1年を超えることができません。会社設立の日から最初の決算日までが1年を超えるような設定はできない点に注意してください。

なお、1期目だけは設立日からの期間になるので、定款の記載とは別に実際の期間が決まります。たとえば事業年度を4月1日から3月31日までと定めていても、設立が10月なら1期目は10月から3月までになります。この点を誤解しないでください。

また、定款には「毎年◯月◯日から翌年◯月末日まで」といった書き方をします。会社設立の書類を作るときに、この記載を確認しておいてください。

月末と月の途中を比較すると、月末のほうが圧倒的に扱いやすくなります。給与の締め日、家賃の支払日、社会保険料の納付日。いずれも月単位で動くので、月末で区切ると処理がそろいます。おすすめは、迷わず月末にすることです。

決め方に迷ったら、法務局の申請書の記載例を参考にするか、依頼先の士業に確認してください。標準的な書き方があります。

出典法務局「商業・法人登記の申請書様式」

よくある質問

決算月についてのよくある質問のイラスト

1期目が短くても問題ありませんか

問題ありません。会社設立の日から最初の決算日までが1期目になるので、数か月しかないこともあります。ただし、免税の期間としては短くなります。また、売上が積み上がる前に決算を迎えるので、比較する数字がないまま申告することになります。

設立日と決算月はどちらを先に決めますか

どちらから決めても構いませんが、免税期間を重く見るなら設立日を先に決めて、その前の月を決算月にする形になります。逆に、決算月をどうしても特定の月にしたいなら、そこから設立日を逆算することもできます。会社設立の日程に融通が利くなら、両方を見ながら決めてください。

あとから決算月を変えられますか

変えられます。株主総会の特別決議で定款を変更し、税務署などへ異動の届出をします。登記事項ではないので、登記は不要です。ただし手続きの手間はあるので、会社設立のときに考えて決めておくほうが楽です。

決算月を変えたら届出は必要ですか

必要です。国税庁の案内によると、事業年度を変更した場合は異動事項に関する届出が必要とされています。所轄の税務署へ提出します。地方税についても、都道府県と市区町村への届出が必要になります。

3月決算にする意味はありますか

取引先の多くが3月決算で、期を合わせたほうが都合がよい場合はあります。また、親会社がある場合は合わせることが求められることもあります。そうした事情がないなら、3月にする理由はありません。

出典国税庁「C1-8 異動事項に関する届出」

まとめ|設立日の前の月から考えてみてください

決算月の決め方のまとめイラスト

決算月は自由に決められます。3月にする決まりはありません。免税期間・繁忙期・資金繰りの3点から考えてみてください。

この記事で押さえたこと

  • 決算月は定款で定める。3月にしなければならない決まりはない。
  • 設立日の前の月を決算月にすると、1期目を最長に近づけられる。
  • 決算月の翌日から2か月以内に、法人税と地方税の申告と納付がある。
  • 自分の事業の繁忙期と、税理士事務所の繁忙期の両方を避けたい。
  • 決算日は月末にするのが実務では一般的。

制度と手続きは2026年8月時点で確認できたものです。消費税の免除は他の要件でも扱いが変わりますので、実際の判断は税理士にご確認ください。届出については税務署の案内もあわせてご覧ください。

出典国税庁「No.5100 新設法人の届出書類」

3月にする理由がないなら、3月にしないでください

決算月は自由に決められます。3月決算が多いのは慣習であって、あなたの会社に合っているとは限りません。免税期間、繁忙期、資金繰りの3点から考えてみてください。

とくに会社設立の直後は、免税期間をなるべく長く取れる月を選ぶ意味があります。設立日の前の月を決算月にすると、1期目が最長に近くなります。

決算月の変更については、同じカテゴリーの別の記事で扱っています。あとから変えることもできますが、最初に考えて決めておくほうが手間はかかりません。

他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください

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この記事の編集体制
合同会社FIELDの関連会社である会計事務所および税理士法人と内容を確認しながら編集しています。各サービスの料金・条件は、公式サイトの表示を確認できた範囲のみ掲載しています。
記載している金額・期間・制度は2026年8月時点で確認できたものです。制度は変わることがあるため、手続きの前に法務局・公証役場・税務署などの一次情報をあわせてご確認ください。判断に迷う点は、税理士・司法書士・行政書士などの専門家や所管の官庁にご相談ください。

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