この記事は「決算はいつ、何をすればいいのか、見通しが立たない」人に向けたものです
会社設立をすると、1年に一度、決算と申告がやってきます。ところが初年度は、いつ何をすればよいのかが分かりません。気づいたら期限が迫っていた、ということも起こります。
決算月が決まれば、その後のスケジュールは自動的に決まります。申告と納付は、原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内です。ここから逆算すれば、何をいつまでにやるべきかが見えてきます。
この記事では、決算月を軸にした1年の流れを整理します。会社設立の初年度を迎える方が、見通しを立てるための地図としてお使いください。
この記事は2026年8月時点で確認できた内容をもとにしています。金額や制度は変わることがあるため、実際の手続きの前に一次情報でご確認ください。
申告と納付は、決算月の2か月後まで

まず押さえる一点はこれです。法人税の申告と納付は、原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内に行います。
3月決算なら5月末まで、9月決算なら11月末まで。この2か月のあいだに、決算書を作り、申告書を作り、税額を計算して納める必要があります。
つまり、決算月が決まった瞬間に、毎年のいちばん忙しい2か月がいつになるかも決まっているということです。会社設立のときに決算月を選ぶ意味は、ここにもあります。事業の繁忙期とこの2か月が重ならないようにしておけば、毎年の負担がずいぶん違います。
地方税(法人住民税・法人事業税)についても、同じ時期に申告と納付があります。消費税の課税事業者なら、消費税の申告と納付も必要です。2か月のあいだに、複数の申告が重なります。

この2か月は、思ったより短いものです。資料がそろっていないと、あっという間に期限が来ます。会社設立の初年度は勝手が分からないので、なおさら余裕を見てください。

おすすめの段取りとしては、決算月に入った時点で準備を始めることです。期が終わってから動き出すのでは遅すぎます。
決算までの準備は、期中から始まります

決算の作業は、決算月が来てから始めるものではありません。毎月の記帳が土台になります。
期中にやっておくこと
- 毎月、口座とカードの明細を確認して仕訳を確定させる
- 領収書をその都度登録する
- 売掛金と買掛金の残高を確認する
- 月次の損益を眺めて、事業の状況を把握する
- 分からない取引をメモしておき、税理士に確認する
これができていれば、決算月が来たときの作業は残高の確認と、決算特有の処理だけになります。逆に、記帳を溜めていると、まず数か月分の入力から始めることになります。
会社設立の直後は取引が少ないので、毎月の記帳も軽く済みます。この時期に習慣をつけておくと、事業が育ってからも回ります。
売掛金と買掛金の残高確認も、毎月やっておくと決算が楽になります。取引先ごとの残高が合っているかを見るだけです。ずれていれば、請求漏れや入金漏れが見つかることもあります。会社設立の直後は取引先が少ないので、この確認も数分で済みます。
会計ソフトに口座とカードを連携させておけば、明細は自動で取り込まれます。あとは科目を確認するだけです。会社設立のときにこの仕組みを作っておくことをおすすめします。

この表を印刷して、目につくところに貼っておくのもおすすめです。会社設立の初年度は、何がいつ来るのかが分からないことが不安のもとになります。見える化しておくだけで、気持ちが楽になります。
5つ目も大事です。判断に迷う取引は、そのときにメモしておいてください。決算のときにまとめて思い出そうとすると、何の取引だったか分からなくなります。
決算月に入ったらやること

決算月に入ったら、期中の記帳とは別に確認すべきことがあります。決算特有の処理につながる部分です。
1つ目は、在庫を持つ事業では避けられない作業です。期末の日付で数える必要があるので、その日に作業する段取りをしておいてください。
3つ目と4つ目は、期をまたぐ取引の処理です。どの期の損益に入れるかで、税額が変わります。会社設立の初年度は判断に迷うところなので、税理士に確認するのが確実です。
固定資産についても補足します。一定の金額以上のものを買った場合、その年に全額を費用にせず、耐用年数にわたって分けて費用にすることになります。これが減価償却です。会社設立の初年度にパソコンや設備を買っているなら、この処理が必要かどうかを確認してください。
これらの確認をしておくと、決算書の作成がスムーズになります。逆に、確認せずに進めると、あとから修正することになります。
決算特有の処理と、期中の処理を比較すると、判断が必要な場面が多いのが決算のほうです。期中は取引をそのまま記録すればよいのですが、決算では「どの期に入れるか」を考える必要があります。ここが初年度でつまずくところです。
おすすめの進め方としては、決算月の初めにこのリストを見返して、自分の事業に当てはまるものを洗い出すことです。すべての項目が必要とは限りません。
決算書と申告書を作る

決算の作業は、大きく2段階に分かれます。決算書を作る段階と、申告書を作る段階です。
たとえば、交際費のうち一定額を超える部分は税務上の費用として認められないことがあります。会計上は費用として計上していても、税額の計算では足し戻す。こうした調整を積み重ねて課税所得を出すのが申告書の役割です。会社設立の初年度は、こうした調整があること自体を知らない人も多いところです。
この2つは別のものです。決算書ができれば申告書が自動でできる、というわけではありません。会計上の利益と、税法上の所得は一致しないためです。
申告書の作成は、会社設立の初年度でつまずきやすいところです。別表の種類が多く、どれを作るべきかの判断も必要です。初年度だけでも税理士に頼む価値があるのは、この部分です。
会計ソフトによっては、申告書の作成まで対応しているものもあります。プランによって使えないこともあるので、契約の内容を確認してください。
決算書と申告書の作成を比較すると、決算書は会計ソフトがあればほぼ自動でできます。一方、申告書は判断が入ります。おすすめの分担としては、決算書までは自分で作り、申告書は税理士に頼むという形です。
申告は、e-Taxやeltaxを使って電子的に行えます。窓口に行かずに済むので、一人で事業を回すなら早めに設定しておくとよいでしょう。
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納税資金を用意しておく

申告と同時に納付があります。決算月の2か月後に、まとまった資金が出ていくことになります。
この時期に納めるもの
- 法人税
- 地方法人税
- 法人住民税(均等割は赤字でもかかります)
- 法人事業税・特別法人事業税
- 消費税(課税事業者の場合)
このうち、法人住民税の均等割は赤字でもかかります。会社設立の初年度が赤字になることは珍しくありませんが、この分は納める必要があります。
消費税は、課税事業者になると金額が大きくなることがあります。売上に対する消費税から仕入れに対する消費税を差し引いた額を納めるので、事業の内容によっては法人税より大きくなることもあります。
納税資金を確保するおすすめの方法は、売上が入るたびに一定割合を別口座に移しておくことです。決算の直前に慌てて用意するより、日ごろから積み立てておくほうが確実です。
納付の方法も選べます。金融機関の窓口、口座振替、電子納税、クレジットカード納付など。会社設立の直後に、どの方法を使うかを決めておくと、納付の時期に慌てません。電子納税なら、窓口に行く必要がありません。
また、資金が足りない場合の分割納付などの制度もありますが、延滞税がかかることがあります。会社設立の直後は資金が読みにくい時期なので、早めに見通しを立てておいてください。
納税資金の目安を早めに知るおすすめの方法は、期の途中で試算表を作ってみることです。会計ソフトなら数クリックで出せます。利益の見込みが分かれば、税額のおおよそも見当がつきます。
決算の見込みは、期の後半には立てられます。税理士に頼んでいれば、この時期に税額の見込みを出してもらえます。
決算のあとにもやることがあります

申告と納付が終われば、その期は完了です。ただし、そのあとにやっておくとよいことがあります。
決算のあとにやること
- 決算書と申告書の控えを保管する(法人には帳簿書類の保存義務があります)
- 株主総会(合同会社なら社員総会など)で決算を承認する
- 株式会社なら決算公告を行う(合同会社には義務がありません)
- 次期の予算や見通しを立てる
- 税理士との契約内容を見直す
1つ目は法律上の義務です。帳簿や書類には保存期間が定められています。電子データで受け取ったものは、電子帳簿保存法の要件に沿った保存が必要になります。
3つ目は株式会社の義務です。合同会社には決算公告の義務がありません。会社設立のときに会社形態を選ぶ理由のひとつが、ここにもあります。
5つ目もおすすめです。1年やってみて、どこに時間がかかったか、どこを任せたいかが見えてきます。年に一度、契約の範囲を見直す機会にしてください。
決算書は、金融機関に提出する資料にもなります。融資を申し込むときには、直近の決算書を求められるのが通常です。会社設立から1期分の決算ができれば、融資の相談もしやすくなります。この意味でも、決算をきちんとやっておく価値があります。
また、決算が終わった直後は、次の1年の計画を立てるのに適した時期です。数字を見たばかりなので、判断の材料がそろっています。
会社設立の初年度を終えたら、この振り返りをぜひやってみてください。2期目からの動き方が変わります。
よくある質問

申告期限を延ばせますか
一定の要件のもとで、申告期限の延長が認められる場合があります。ただし、納付については別の扱いになることがあります。詳しくは税務署にご確認ください。会社設立の初年度から使う制度ではないかもしれませんが、選択肢として知っておいてよいでしょう。
赤字でも申告は必要ですか
必要です。利益が出ていなくても、決算をして申告する義務があります。また、法人住民税の均等割は赤字でもかかります。青色申告の承認を受けていれば、欠損金を繰り越せる扱いもあります。
初年度は自分で申告できますか
できないわけではありませんが、別表の作成や税務調整の判断が必要になるため、相当な時間がかかります。会社設立の初年度は、税理士に見てもらうことをおすすめします。一度流れを見ておけば、2期目以降の判断もしやすくなります。
決算の作業はどれくらい時間がかかりますか
記帳が済んでいるかどうかで大きく変わります。毎月きちんと入力していれば、確認と決算特有の処理だけで済みます。溜めていると、まず数か月分の入力から始めることになります。毎月30分の作業が、決算の負担を決めます。
まとめ|決算月から逆算すれば見通せます

決算と申告の流れは、決算月から逆算すれば見通せます。会社設立の初年度でも、地図があれば慌てずに進められます。
この記事で押さえたこと
- 法人税の申告と納付は、原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内。
- 決算の作業は期中の記帳が土台。毎月やっておけば決算は軽くなる。
- 決算月には、在庫・固定資産・未払い未収・前払い前受けを確認する。
- 決算書と申告書は別のもの。申告書の作成は初年度のつまずきどころ。
- 納税は決算月の2か月後。均等割は赤字でもかかる。
制度と期限は2026年8月時点で確認できたものです。制度は変わりますので、実際の手続きの前に国税庁と自治体の案内をご確認ください。個別の判断は税理士にご相談ください。
決算月から逆算すれば、見通しは立ちます
決算と申告は、決算月から逆算すれば時期が決まります。決算月の翌日から2か月以内に申告と納付。この一点を押さえておけば、あとは埋めていくだけです。
初年度は勝手が分からないので、税理士に見てもらうことをおすすめします。一度流れを見ておけば、2期目以降は自分でも進めやすくなります。
毎月の記帳を溜めないことが、結局はいちばんの近道です。月末に30分の作業を続けていれば、決算の負担は驚くほど軽くなります。
他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください
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