この記事は「会社設立の登記を自分で出せるなら、司法書士に頼まずに済ませたい」人に向けたものです
会社設立の費用を見積もると、登録免許税と定款認証の費用に加えて、司法書士の報酬が数万円から10万円台で乗ってきます。この報酬を払わずに済むのか、済ませてよいのかが、この記事のテーマです。
先に答えを書くと、会社設立の登記は代表者本人が申請できます。そのうえでこの記事では、自分で申請する方法を3つに分けて比較し、法務局の手続案内の使い方、司法書士に頼んだほうがよい場面を順に整理します。「不要」と言い切るのではなく、自分の場合にどちらがおすすめかを決める材料をそろえることが目的です。
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会社設立には司法書士は必要ですか?|本人申請は認められています

法務省の「株式会社の設立手続(発起設立)について」は、登記の申請は書面(持参または郵送)またはオンラインですることができると説明しています。書面で申請する場合は、申請人の代表者または代理人が申請書を作り、本店の所在地を管轄する登記所に出します。
つまり、会社の代表者が自分で申請書を作って出すことは、はじめから想定されています。司法書士に頼まなければ会社設立ができない、という決まりはありません。
一方で、報酬を受けて他人の登記申請を代わりに行うのは司法書士の仕事です。行政書士やクラウドサービスが手伝えるのは定款や書類の作成までで、申請そのものは本人か司法書士が行います。家族や知人に頼んで申請してもらう場合も、扱いを法務局に確かめてからにしてください。

この記事では「司法書士 不要」を、本人申請を選ぶことと読み替えて比較を進めます。次の章から、本人が申請する方法を具体的に見ていきます。費用だけで決めず、方法と手間をあわせて比較するのがおすすめです。
自分で登記申請する3つの方法を比較する

本人が会社設立の登記を申請する方法は、大きく分けて3つあります。法務局のサイトには、株式会社の設立登記について、それぞれの案内ページが用意されています。

オンライン申請は、マイナンバーカードの電子証明書で電子署名をして、申請用総合ソフトから送信する方法です。電子署名をすると、就任承諾書に添える印鑑証明書や、設立時取締役の本人確認証明書など、一部の添付書類が不要になります。
QRコード付き書面申請は、申請用総合ソフトで申請書を作って送信し、そのあと印刷した申請書と添付書面を登記所に出す方法です。法務局は、電子証明書を持っていなくても簡単・正確に申請書を作れると案内しています。注意したいのは、データを送信しただけでは受付にならないこと。登記所が申請書を受け取った時点で受付になります。
書面申請は、法務局の様式と記載例を使って申請書を作り、窓口に持参するか郵送する方法です。郵送の場合は、書類が届いた日が受付の日になるため、設立日にこだわりがあるなら届く日を逆算する必要があります。
おすすめの選び方は、マイナンバーカードとICカードリーダライタがそろっているならオンライン、そろっていないならQRコード付き書面申請、ソフトを入れたくないなら書面申請、という順です。
出典法務局「株式会社の設立の登記をしたい方(QRコード付き書面申請)」
オンライン申請に必要なものと、つまずきやすい準備

法務局の「株式会社の設立登記をしたい方(オンライン申請)」(2026年2月2日更新)では、代表取締役本人がマイナンバーカードを使って申請する流れが10の手順で示されています。準備として挙がっているのは次のものです。

つまずきやすいのは、パソコンの環境です。登記・供託オンライン申請システムの利用環境のページでは、申請用総合ソフトの環境としてWindows 11、Microsoft Edge か Google Chrome、.NET Framework 4.8.1、Adobe Acrobat Reader DCが挙がっています。Mac しか持っていない場合は、QRコード付き書面申請も同じソフトを使うので、書面申請を選ぶことになりがちです。
手順の後半には、登録免許税の電子納付と、添付書面・印鑑届書の提出があります。オンラインで送ったら終わり、ではありません。送信後にもやることが残ると分かっていれば、慌てずに済みます。
定款を自分で電子定款にする場合も、マイナンバーカードと読み取り機が要ります。電子定款を自分で作るか頼むかの比較は電子定款は自分で作るべきか代行に頼むべきかにまとめています。準備にかかる手間を含めて、自分で申請するのがおすすめかどうかを判断してください。
出典法務局「株式会社の設立登記をしたい方(オンライン申請)」
法務局の手続案内を予約して使う

司法書士に頼まない場合の相談先が、法務局の登記手続案内です。多くの法務局で予約制になっています。たとえば新潟地方法務局のページ(2026年10月15日更新)では、次のように案内されています。
| 方法 | 予約 | 案内の内容(新潟地方法務局の例) |
|---|---|---|
| 対面 | 電話で事前予約 | 商業・法人登記は本局の法人登記部門で対応 |
| 電話 | 事前予約 | 予約日時に法務局の担当者から電話。対応していない局もある |
| ウェブ | 法務局手続案内予約サービスで前日(開庁日)正午まで | Cisco Webex Meetings を使用。1回20分以内 |
利用できるのは原則として申請人本人です。やむを得ない事情がある場合は、親族や会社の従業員なども使えることがあり、予約のときに申し出ます。司法書士などの有資格者は使えません。
手続案内でしてもらえないこと
- 申請書や添付書類の作成(自分で作り、自分で集めます)
- 個別の事情に沿った助言、申請書類の事前の確認
- 登記原因や法律行為が有効かどうかの判断
- 申請内容の整合性や、登記が完了することの保証
ここが大事な点です。手続案内は「書き方を教えてもらう場」で、「書類を見て間違いを直してもらう場」ではありません。申請後の審査は登記官が行い、必要に応じて訂正や書類の追加を求められます。
20分を有効に使うには、質問を箇条書きにして持っていくのがおすすめです。様式のどの欄で迷っているのか、添付書面のどれが自分に要るのか。具体的に聞くほど、答えも具体的になります。会社の形・資本金・役員の人数を書いたメモを手元に置いておくと、説明が短く済みます。書類の下書きができた段階で予約を入れ、記載例との違いを質問する使い方もおすすめです。
自分で申請すると時間がかかる工程

法務局は商業・法人登記の申請書様式と記載例を公開しています。それを見ながら作れば、会社設立の書類はそろえられます。ただ、時間がかかるのは書き写す作業ではなく、自分の会社に合わせて読み替える作業です。
手順の順番そのものは、会社設立を自分でやる手順で一つずつ確かめられます。この記事では、そのうちどこで時間を使うかに絞って見ています。

反対に言えば、書類が少なく平日に動ける人なら、本人申請のハードルはそれほど高くありません。一人で設立し、出資は現金だけ、取締役会も置かないという形なら、自分で申請する方法も十分おすすめできます。司法書士が不要かどうかの比較は、この「時間の使いどころ」を自分で引き受けられるかどうかの比較でもあります。
司法書士に頼んだほうがよい場合|期限・変更登記・不備のリスク

本人申請ができるとしても、司法書士に頼むのがおすすめな場面ははっきりあります。判断の軸は3つです。
1. 期限があるとき。株式会社の設立の登記は、設立時取締役等の調査が終わった日か、発起人が定めた日のいずれか遅い日から2週間以内にしなければなりません(会社法第911条第1項)。設立日を決めている、取引先との契約日が迫っている、といった事情があるなら、補正で日程がずれるリスクを減らす価値は大きくなります。
2. 設立後も登記が続くとき。会社法第915条は、登記した事項に変更が生じたら2週間以内に変更の登記をするよう定めています。登記を怠ったときは、第976条で100万円以下の過料の対象になります。役員の任期、本店の移転、目的の追加と、会社設立のあとにも登記は続きます。変更登記まで見て士業を選ぶで触れているように、設立のときから相談先を持っておく考え方もあります。
3. 不備のリスクが重いとき。出資者が複数いる、現物出資がある、許認可が必要な業種で事業目的の書き方が許認可に影響する。こうした条件では、書類の誤りがあとの手続きに響きます。

自分でやらないほうがいい典型例は自分でやらないほうがいい場合で詳しく比較しています。頼むと決めたら、依頼先の確かめ方は評判の良い司法書士を会社設立で選ぶにはを参考にしてください。
費用で比べる|自分で申請する場合と司法書士に頼む場合

費用の比較で使える物差しが、日本司法書士会連合会の報酬アンケート(2024年3月実施)です。発起人2名・資本金500万円の株式会社を発起設立し、書類の作成から定款認証の手続き、登記申請の代理までを任せた設例で、有効回答932件の平均は107,887円でした。
同じアンケートの分布を見ると、回答が多いのは10万円台(207件)で、8万円台から11万円台に回答の約6割が集まっています。5万円未満と答えたのは932件中19件でした。「全部おまかせ」の設例なので、範囲を絞った依頼ならこれより低くなることがあります。


2つを並べると、差は報酬から印紙代の4万円を引いたおよそ6万8,000円です(報酬を平均額と仮に置いた場合)。自分で電子定款を作れば印紙代は浮きますが、そのぶんカードリーダーなどの準備が要ります。合同会社なら定款認証がなく、登録免許税も最低6万円なので、本人申請の負担は株式会社より軽くなります。
この差額を、自分の時間と補正のリスクに見合うと考えるかどうか。会社設立で司法書士が不要かどうかの比較は、最後はここに行き着きます。報酬の内訳の比べ方は会社設立を士業に頼むときの費用と流れ、自分でやる場合の費用の全体は自分で会社設立する費用で比較しています。
自分で申請するか頼むかを決めかねているなら、無料の相談で会社設立の費用と手間の見通しを確かめてみてください。
無料で相談してみる※ 弊社調べによるものです。掲載内容および順位は定期的に変わります。本サイトは広告およびアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。
出典日本司法書士会連合会「報酬アンケート結果(2024年(令和6年)3月実施)」
まとめ|会社設立に司法書士が不要かは、条件を当てはめて決めるのがおすすめ

会社設立の登記は本人が申請できます。そのうえで、自分の条件を当てはめて、司法書士に頼むかどうかを決めましょう。
この記事で押さえたこと
- ✓登記の申請は書面(持参・郵送)またはオンラインででき、代表者本人が出せる
- ✓本人申請はオンライン・QRコード付き書面・書面の3通り。QRコード付きは電子証明書が不要
- ✓法務局の手続案内は予約制。書き方は聞けるが、書類の事前確認や個別の助言はない
- ✓設立の登記は原則2週間以内。設立後の変更登記も2週間以内で、怠ると過料の対象
- ✓報酬アンケートの平均は107,887円。電子定款なら印紙代4万円が浮き、差はそのぶん縮む
司法書士に関する記事の全体は会社設立 おすすめ 司法書士から比較できます。行政書士との違いは会社設立は司法書士と行政書士のどちらに頼むのかにまとめました。
制度と金額は2026年10月時点で確認できたものです。法務局の案内や申請用総合ソフトの利用環境は変わることがあるため、申請の前に管轄の法務局のページで確かめてください。登記の個別の判断は、法務局の手続案内か司法書士にご確認ください。
司法書士が要るかどうかは、法律ではなく、あなたの時間と条件で決まります
登記は自分で出せます。法務局は様式も記載例も、予約制の手続案内も用意しています。それでも頼む人が多いのは、期限と不備のリスクを手放したいからです。
まずは自分の会社の条件(会社の形、資本金、出資者の数、許認可の有無、希望する設立日)を書き出してみてください。この記事の表に当てはめれば、自分で申請するのがおすすめか、頼んだほうがよいかの見当がつきます。
迷ったら、司法書士に見積もりだけ取ってみるのも一つの手です。報酬と自分の手間を並べて比較すれば、答えは自然に出てきます。
他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください
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- 鮎澤パートナーズ|法人設立登記の流れ6ステップ
法人設立登記の流れを6段階で示し、必要書類・費用・オンライン申請の方法をまとめた記事
ayusawa-partners.jp - ベンチャーサポート|法人登記はオンライン申請できる?
法人登記のオンライン申請のメリットとデメリット、実際の流れを説明した記事
vs-group.jp - 日本司法書士会連合会|司法書士総合相談センター一覧
各司法書士会が設けている相談センターの一覧。会社設立の前に話を聞く場所を探せる
shiho-shoshi.or.jp - 税理士ドットコム|会社設立は税理士と司法書士どちらに頼むのがいいか
会社設立を税理士と司法書士のどちらに頼むかという相談への専門家の回答
zeiri4.com - ベンチャーサポート|司法書士に依頼すべき人・自分で進めてよい人
判断基準を費用の面から整理しています。
vs-group.jp - 司法書士法人まちたま|自分でやる場合と依頼した場合の費用の比較
自力と依頼の費用差を具体的に示しています。
machida-legal.com - PRONIアイミツ|司法書士に依頼するメリット・デメリット
司法書士に手続きを任せる利点と注意点を整理し、自分で進める場合との違いを解説
imitsu.jp - 法務局|合同会社の設立の登記をしたい方(QRコード付き書面申請)
合同会社の設立登記を、QRコード付きの書面で本人が申請する手順の案内
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電子証明書がなくても申請用総合ソフトで申請書を作り、印刷して提出する方法の案内
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法務局の手続案内(対面・電話・ウェブ)の予約方法と、案内で扱えない範囲を説明したページ
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大阪府内の司法書士が所属する司法書士会。相談窓口と会の取り組みを掲載
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