この記事は「会社設立の本を1冊買って自分で手続きを進めたいが、どれを選べばいいか分からない」人に向けたものです
書店の棚には会社設立の本がたくさん並んでいます。表紙の言葉はどれも似ていて、「やさしい」「まるごと」「すべてわかる」と書いてあります。ところが、手続きの本は中身の新しさで価値が大きく変わります。2024年12月には株式会社の定款認証の手数料が改定され、それより前に出た本の金額は今の窓口の金額と合わないことがあります。
そこでこの記事では、会社設立の本を選ぶときの物差しを先に整理し、そのあとで実在を確かめた本を紹介します。紹介する本は、すべて国立国会図書館サーチで書名・著者・出版者・出版年・版を確認したものです。中身を読んでいない本について評価はしません。目次と出版社の紹介文で確かめられる範囲だけを書きます。
本サイトは広告およびアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。ただし、この記事で紹介する本はどれも提携や広告とは関係がなく、売上の順位も使っていません。
この記事は2026年10月時点で確認できた内容をもとにしています。金額や制度は変わることがあるため、実際の手続きの前に一次情報でご確認ください。
会社設立の本を選ぶ前に決めておく3つのこと

会社設立の本は、どれを買っても大きく外れることは少ない分野です。それでも「買ったのに使えなかった」という声が出るのは、本を選ぶ前に自分の条件を決めていないことが多いからです。先に次の3つを決めておくと、比較がぐっと楽になります。
本選びの前に決める3つ
- 株式会社と合同会社のどちらで会社設立をするか。決めていないなら、両方を並べて比較している本を選びます。
- 定款の作成から登記の申請まで自分でやるのか、一部を専門家に頼むのか。全部自分でやるなら、書式や記載例が多い本がおすすめです。
- 設立後の届出や税金、会計まで1冊で見たいのか。設立の手続きだけでよいなら、薄い本でも足ります。
1つ目がいちばん大事です。株式会社と合同会社では、定款認証の有無も登録免許税の最低額も違います。合同会社の手続きを知りたいのに株式会社中心の本を買うと、半分以上が使えないということが起こります。
2つ目は、本に求める細かさを決めます。会社設立を自分でやると決めた人には、定款の記載例や登記申請書の書式が載った本が向きます。反対に、手続きは代行サービスに任せるつもりで、全体の流れだけ知りたい人には、図解中心の入門書のほうがおすすめです。
3つ目は、ページ数の目安になります。会社設立の本には、設立の手続きだけを扱う160ページ台の本から、設立後の経理や税金まで扱う300ページ近い本まであります。厚い本が良い本というわけではありません。自分が使う範囲が載っているかどうかで比較してください。
この3つを決めたら、書店やネット書店で候補を探す前に、国立国会図書館サーチで書名を検索してみるのがおすすめです。同じ書名の本が版ごとに並ぶので、最新の版がどれかがすぐに分かります。
発行年と版を見る|改訂が続いている本がおすすめな理由

会社設立の本で最初に見るのは、奥付の発行年と版です。小説や経営の名著と違い、手続きの本は制度が変わると古くなります。登記の様式、定款認証の手数料、オンライン申請の扱いは、ここ数年でも変わってきました。
その点で安心材料になるのが、改訂が続いている本です。国立国会図書館サーチで確かめると、会社設立の本には、毎年の版を出しているものや、何度も改訂を重ねているものがあります。
| 書名 | 出版者 | 最新の版 | 改訂の続き方 |
|---|---|---|---|
| 『よくわかる 株式会社のつくり方と運営 ’26~’27年版』 | 成美堂出版 | 2026年8月 | 2006年から毎年の版を確認 |
| 『はじめて社長になるときに読む本 8訂版』 | エーエスシー(発売 星雲社) | 2026年5月(8訂版) | 2009年の初版から8回目の版 |
| 『らくらく株式会社設立&経営のすべてがわかる本 改訂3版』 | あさ出版 | 2026年2月(改訂3版) | 2006年の初版から改訂 |
| 『合同会社設立・登記・運営がまるごとわかる本 第2版』 | 日本法令 | 2023年4月(第2版) | 2019年の初版から改訂 |
| 『一人でできる定款作成から会社設立登記まで 第2版』 | 日本加除出版 | 2021年2月(第2版) | 2007年の初版から改訂 |
毎年の版がある本は、その年の制度に合わせて手直しされている可能性が高いと考えられます。ただし、どこが直されたかは本ごとに違います。「最新版だから全部正しい」とは言い切れないので、金額だけは一次情報で照らし合わせてください。

反対に、古い版を中古で買うときは注意が必要です。2024年12月より前に発行された本は、定款認証の手数料の改定前に作られています。会社設立の流れをつかむには十分役立ちますが、費用の表はそのまま使わないことをおすすめします。
出典国立国会図書館サーチ「よくわかる 株式会社のつくり方と運営 '26~'27年版(成美堂出版・2026年8月)」
法改正への対応を確かめる|2024年12月の定款認証手数料改定

会社設立の本の新しさを見分けるいちばん分かりやすい目印が、株式会社の定款認証の手数料です。日本公証人連合会によると、2024年12月1日から、一定の要件を満たす場合の手数料が1万5,000円になりました。
一人社長で資本金を少なめにして株式会社を作る場合、この1万5,000円の条件に当てはまることがあります。改定前の本だと3万円と書かれているはずの場面なので、本を読むときに意識しておくと、新旧の見分けがつきます。

本に載っている金額と、日本公証人連合会のページの金額が違っていたら、公式のページを優先してください。会社設立の費用は、本の発行後に変わることがあるからです。
なお、登録免許税は株式会社なら資本金の0.7%で、15万円に満たないときは15万円、合同会社なら6万円に満たないときは6万円です。この部分は長く変わっていませんが、市区町村の特定創業支援等事業を受けると軽減される制度があり、本によっては触れていないこともあります。比較のときに、軽減の記載があるかも見ておくとおすすめです。
株式会社か合同会社かで、選ぶ本は変わります

会社設立の本は、書名で対象の会社形態が分かるものがほとんどです。書名に「株式会社」とある本は株式会社が中心、「合同会社」「LLC」とある本は合同会社が中心です。両方を扱う本は、目次に両方の章があります。

まだ形態を決めていない人には、両方を1冊で比べられる本がおすすめです。たとえば『図解でやさしい!会社設立の手続きがすべてわかる本』は、目次に「株式会社設立の基本」と「合同会社設立の基本」が並んでいます。『すぐに役立つ 入門図解 最新 株式会社・合同会社・一般社団法人設立の手続きと書式』は、株式会社・合同会社に加えて一般社団法人の手続きと書式まで扱っています。
合同会社で会社設立をすると決めているなら、合同会社に絞った本のほうが無駄がありません。合同会社は定款認証が不要なので、株式会社の本の数十ページ分が要らなくなります。その分、業務執行社員の決め方や、社員が複数いる場合の定め方を厚く扱う本が出てきます。
会社形態ごとの本の比較は、別の記事で詳しくまとめています。株式会社設立と合同会社設立の本を形態別に比較した記事もあわせて読んでみてください。
出典日本公証人連合会「Q3. 定款の認証に要する費用、株式会社設立の費用等はいくらですか。」
電子定款とオンライン申請の扱いで比べる

会社設立の費用を抑えたい人にとって、電子定款は大きな論点です。紙の定款には収入印紙4万円が必要ですが、電子定款なら貼る必要がありません。国税庁の印紙税の一覧表でも、定款は第6号文書として4万円とされています。
ただ、電子定款を自分で作るには、マイナンバーカードと電子署名の環境が要ります。本によって、この部分を詳しく書いているものと、専門家に任せる前提で軽く触れるだけのものがあります。電子定款を自分で作りたい人は、目次や注記で電子定款に触れているかを比較してください。
国立国会図書館サーチで確かめられた範囲では、『合同会社の設立手続きがよくわかる本(図解ポケット)』の一般注記に「電子定款・オンライン申請にも対応!」とあります。『合同会社の設立・運営ができる本 増補改訂版』は、内容紹介に法人設立ワンストップサービスの情報を充実させた改訂版とあります。
登記のオンライン申請にも変化がありました。法務省によると、オンラインで設立登記を申請する場合、登記所への印鑑の提出は任意です。会社の実印を作らずに会社設立を済ませる選択肢が生まれたことになります。古い本では、印鑑の届出を前提に説明していることがあります。

電子化への対応は、本の古さを見分ける目印にもなります。会社設立の本を比較するとき、紙の定款だけを前提にしているか、電子定款を中心に説明しているかを見るだけでも、おおよその年代が分かります。
出典法務省「商業登記規則が改正され,オンライン申請がより便利になりました(令和3年2月15日から)」
目的別のおすすめ|実在を確かめた会社設立の本

ここまでの物差しを使って、目的別に本を挙げます。どれも国立国会図書館サーチで書誌を確認した本です。内容の説明は、目次と出版社の紹介文で確かめられた範囲にとどめています。順番は優劣ではありません。

売れている順や人気の順で並べた本ランキングは、根拠が示せないのでこのサイトでは作りません。かわりに、発行年や対象、ページ数といった事実で並べた比較表を会社設立の本ランキング(当サイトの観点で並べたもの)にまとめています。
ほかの会社設立の本も含めて一覧で見たい場合は、会社設立 おすすめ 本のカテゴリーから探せます。
本だけでは足りないところを一次情報で補う

どんなに新しい本でも、発行したあとに変わった制度は載っていません。会社設立の本は「流れをつかむ道具」、金額と様式は「一次情報で確かめるもの」と役割を分けて使うのがおすすめです。
たとえば2024年10月1日に始まった代表取締役等住所非表示措置は、それより前の本には出てきません。法務省によると、一定の要件を満たす株式会社は、代表取締役などの住所を登記事項証明書で市区町村までの表示にできます。申出は、住所が登記される登記申請と同時に行う必要があります。会社設立のあとから申し出るのでは、設立登記には間に合いません。
本と一次情報の使い分け
- 全体の流れ、決めること、書類の種類 → 本で読む
- 定款認証の手数料 → 日本公証人連合会のページで確認
- 登録免許税と申請書の様式 → 法務局・国税庁のページで確認
- 代表者住所の非表示措置 → 法務省のページで確認
- 設立後の届出の期限 → 国税庁・日本年金機構のページで確認
このやり方なら、少し前の版の本でも十分に使えます。新しい版が手に入らないときや、図書館で借りた本を使うときも、数字だけを一次情報で入れ替えれば会社設立の準備は進められます。
反対に、本の内容と一次情報が食い違っていて、どちらが正しいか判断できない場合は、窓口に確認してください。定款のことなら公証役場、登記のことなら法務局の相談窓口が使えます。迷ったまま進めないことが、会社設立のやり直しを防ぐいちばんの近道です。
まとめ|会社設立の本は「新しい版」と「自分の形態」で比較して選ぶ

会社設立の本を選ぶときの物差しを、もう一度並べておきます。
この記事で押さえたこと
- 本を選ぶ前に、会社形態・自分でやる範囲・設立後まで要るかを決める。
- 奥付の発行年と版を見る。改訂が続いている本は制度の変更に追いつきやすい。
- 2024年12月の定款認証手数料改定より前の本は、費用の表をそのまま使わない。
- 株式会社か合同会社かで、選ぶ本の中心が変わる。迷うなら両方を比較できる本を選ぶ。
- 電子定款・オンライン申請に触れているかで、本の新しさが分かる。
- 金額と様式は、一次情報で最新を確かめる。
この記事の書誌情報と制度の内容は、2026年10月時点で国立国会図書館サーチ・法務省・日本公証人連合会・国税庁のページで確認したものです。本の版は今後も新しくなります。購入の前に、出版社のページや国立国会図書館サーチで最新の版を確かめてください。
1冊目は「新しい版」と「自分の会社形態」で選んでみてください
会社設立の本選びで迷ったら、まず奥付の発行年と版を見て、次に株式会社と合同会社のどちらを扱う本かを確かめてください。この2点だけでも、選ぶ候補はかなり絞れます。
そのうえで、金額や様式は日本公証人連合会や法務局のページで最新の表示を確認する。本で流れをつかみ、一次情報で数字を合わせる。この組み合わせが、会社設立を自分で進めるときのいちばん堅い進め方です。
本を読んでみて、自分でやるより任せたほうがよいと感じたら、それもひとつの判断です。会社設立の代行サービスとの比較は、サイト内の別の記事で扱っています。
他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください
この記事のキーワードに「会社設立 おすすめ 比較」を足して検索したときに実際に出てきたサイトです。掲載の順番は優劣を示すものではありません。内容は各サイトの公開時点のものなので、料金や条件は、リンク先で最新の表示をご確認ください。
- 国立国会図書館サーチ(NDLサーチ)
本の書名・著者・出版年・版を調べられる国立国会図書館の検索サービスです。
ndlsearch.ndl.go.jp - 技術評論社|株式会社の設立と運営が1冊でわかる本
株式会社の設立から変更登記までを扱う本の出版社ページ。目次が見られます。
gihyo.jp - マネーフォワード クラウド会社設立|合同会社・株式会社の設立におすすめの本12選
株式会社と合同会社の設立に使える本を12冊まとめて紹介しています。
biz.moneyforward.com - 会社設立のミチシルベ|会社設立は自分で行える?
自分で会社設立をするときの費用と手続きを説明しています。
soico.jp - 税理士紹介センタービスカス|会社設立で必要な書類や手続き
会社設立で必要な書類と手続きを、設立の流れに沿って説明しています。
all-senmonka.jp - 丸善ジュンク堂書店|株式会社のつくり方と運営 '26~'27年版
毎年改訂される株式会社の設立と運営の本の書店ページです。
maruzenjunkudo.co.jp - ベンチャーサポート|起業に役立つおすすめの本
起業の準備段階で読める本を、初心者向けの観点で紹介しています。
vs-group.jp - MONEYIZM|会社設立の流れを徹底解説
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all-senmonka.jp - freee会社設立|会社設立・起業のお役立ち資料
会社設立と起業に関する資料をまとめて配布しているページです。
freee.co.jp - BUSINESS LAWYERS LIBRARY|一人でできる定款作成から会社設立登記まで 第2版
定款作成から設立登記までをQ&Aで扱う本の書誌と紹介文が見られます。
businesslawyers.jp - ゴールドオンライン|定款の作成から登記までの手順
定款の作成から登記までの流れを司法書士が解説した記事です。
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