この記事は「会社設立の手続きの本は読んだが、定款や機関設計をなぜそう決めるのかを会社法の本で確かめたい」人に向けたものです
会社設立の手続きの本は「何をどの順番でするか」を教えてくれます。けれど、定款にどんな条項を入れるか、取締役会を置くかといった判断の理由までは、紙幅の都合で書かれていないことがよくあります。そこを補うのが会社法の本です。
とはいえ会社法の本は、新書の入門書から1,000ページを超える体系書まで幅が広く、会社設立のためにどれを選べばよいかは分かりにくいものです。この記事では、会社設立に関わる範囲(定款・機関設計・設立手続)を読む目的に絞って、おすすめの本を比較します。
紹介する本は、すべて国立国会図書館サーチで書名・著者・出版者・発行年・版を確かめました。中身の評価は、書誌の要約・目次と出版社の紹介で確かめられる範囲だけにとどめ、価格や売上の順位は書きません。本サイトは広告およびアフィリエイトプログラムによる収益を得ていますが、紹介する本は提携とは関係ありません。
この記事は2026年10月時点で確認できた内容をもとにしています。金額や制度は変わることがあるため、実際の手続きの前に一次情報でご確認ください。
会社設立で会社法のどこを読むか|定款・機関設計・設立手続の3つ

会社法は1,000条近い大きな法律ですが、会社設立の場面で関わるのはその一部です。読むところを先に決めておくと、どの本を選んでも迷わずに済みます。
この3つのうち、手続きの本が手厚く扱うのは設立手続です。定款と機関設計は「こう書けばよい」という例は載っていても、ほかの選び方との比較や理由まではあまり書かれていません。会社法の本を手に取る価値が大きいのは、この2つです。

条文そのものは、デジタル庁のe-Gov法令検索で誰でも読めます。ただ、条文だけでは読み方が分かりにくいので、この記事で紹介する本を手がかりにすると会社設立の準備がはかどります。手続きの本との比較は、会社設立の本ランキングで扱っています。
会社法の本を選ぶ物差し|入門書・概説書・体系書・実務書の違い

会社法の本は、厚さと目的でおおまかに4つの型に分けられます。会社設立のために読むなら、どの型を何に使うかを決めてから選ぶのがおすすめです。
| 型 | ページ数の目安 | 向く使い方 | この記事で紹介する本 |
|---|---|---|---|
| 入門書 | 170〜300ページ | 会社法の全体の地図をつかむ。最初の1冊 | 岩波新書『会社法入門』、『会社法超入門』、図解即戦力の本、伊藤真さんの本 |
| 概説書(教科書) | 500〜900ページ | 定款や機関の章を、理由まで含めて読む | LEGAL QUEST『会社法』、田中亘『会社法』、弘文堂『会社法』 |
| 体系書 | 1,000ページ超 | 特定の論点を深く調べる。辞書のように引く | 江頭憲治郎『株式会社法』 |
| 実務書 | 500〜800ページ | 定款の文例や登記の書き方を確かめる | 『会社法定款事例集』、『商業登記ハンドブック』 |

もうひとつの物差しは版と発行年です。会社法は令和元年に改正され、2021年3月に施行されました。令和元年改正より前の版は、会社設立に関わる部分でも記述が古いことがあるので、なるべく改正を取り入れた版を選んでください。この記事の本は、すべて2021年以降の発行です。
書誌の確かめ方は簡単です。国立国会図書館サーチで書名を入れると、出版者・発行年・版・ページ数が出てきます。同じ書名で複数の版が並ぶので、いちばん新しい版を選びます。会社設立の本全体の選び方は、会社設立の本の選び方の記事でも比較しています。
最初の1冊におすすめの会社法の入門書|4冊を比較

会社法を初めて読む人の最初の1冊として、国立国会図書館サーチで確かめた入門書を4冊挙げます。並びは発行の新しい順で、優劣ではありません。
| 書名 | 著者 | 出版者 | 発行 | ページ数 | 書誌で確かめられた特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| 『伊藤真の会社法入門 講義再現版 第2版』 | 伊藤真 | 日本評論社 | 2025年9月 | 213ページ | 内容紹介に、資格試験や会社で必要な会社法の全体像を解説した入門書とある。目次に「株式会社」「持分会社」 |
| 『会社法のしくみと要点がこれ1冊でしっかりわかる本(図解即戦力)』 | 大坪和敏 | 技術評論社 | 2025年2月 | 263ページ | 出版社の概要に、株式会社と持分会社、機関、会社設立、資金調達などを図解で説明とある |
| 『60分でわかる!会社法超入門』 | 松本真輔 編著 | 技術評論社 | 2024年3月 | 175ページ | 目次の最初が「Part1 会社法・会社形態・設立」。要約に企業実務に必要な知識に絞ったとある |
| 『会社法入門 第3版(岩波新書)』 | 神田秀樹 | 岩波書店 | 2023年4月 | 290ページ | 内容紹介に、第3版で令和元年改正やコーポレートガバナンス・コードの改訂を取り入れたとある |
会社設立とのつながりで見ると、図解即戦力の本は、出版社の紹介でスタートアップの経営者や法人成りする個人事業主を読者に挙げ、会社設立や株式会社と持分会社を扱うと案内しています。会社を作る立場で読む入門書を探している人には、いちばん目的に近い1冊です。
『会社法超入門』は175ページと薄く、目次の最初のPartが「会社法・会社形態・設立」です。短い時間で会社設立に関わる部分を読みたい人におすすめです。岩波新書の『会社法入門』は第3版で令和元年改正を取り入れたと紹介されていて、新書判で持ち歩きやすい本です。伊藤真さんの本は、目次に「株式会社」と並んで「持分会社」があり、合同会社の位置づけも確かめられます。

出典技術評論社「図解即戦力 会社法のしくみと要点がこれ1冊でしっかりわかる本」
定款や機関設計を理由まで読む|会社法の概説書・体系書の比較

入門書で全体をつかんだあと、定款の条項や機関設計を「なぜそうなっているか」まで知りたくなったら、概説書や体系書の出番です。どれも厚い本ですが、会社設立のためなら設立と機関の章だけ読めば足ります。
| 書名 | 著者 | 出版者 | 発行 | ページ数 | 書誌で確かめられた特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| 『会社法 第28版(法律学講座双書)』 | 神田秀樹 | 弘文堂 | 2026年3月 | 478ページ | 目次は「総論」から始まる |
| 『会社法 第6版(LEGAL QUEST)』 | 伊藤靖史・大杉謙一・田中亘・松井秀征 | 有斐閣 | 2025年3月 | 568ページ | 目次は「総論」「設立」「株式」「機関」の順。索引あり |
| 『会社法 第5版』 | 田中亘 | 東京大学出版会 | 2025年3月 | 878ページ | 要約に、初学者向けの基礎事項から実務家向けの最新論点までを扱う概説書とある |
| 『株式会社法 第9版』 | 江頭憲治郎 | 有斐閣 | 2024年4月 | 1068,32ページ | 要約に、理論的体系書で令和5年までの法改正に対応とある。目次は「総論」「設立」から |
4冊とも、目次は「総論」から始まります。LEGAL QUESTの『会社法』と江頭憲治郎さんの『株式会社法』は、総論の次がすぐ「設立」の章です。会社設立のために読むなら、総論を飛ばして設立の章から入っても差し支えありません。

弘文堂の『会社法』は法律学講座双書の1冊で、2024年に第26版、2025年に第27版、2026年に第28版と毎年改まっています。新しさで選ぶならおすすめの1冊です。田中亘さんの『会社法』は、要約に初学者向けの基礎事項から実務家向けの論点までを扱うとあり、878ページあります。江頭さんの『株式会社法』は書名のとおり株式会社が対象なので、合同会社を作る人には向きません。
機関設計を考えるときは、どの本でも「機関」の章を開いてください。取締役会を置くか、監査役を置くかといった選択肢が並べて説明されています。会社設立の手続きの本で見た「よくある形」と比べながら読むと、自分の会社に合う形が見えてきます。
出典国立国会図書館サーチ「会社法 第6版(LEGAL QUEST)(有斐閣・2025年3月)」
定款を自分で書くなら|会社法定款事例集で文例を比較する

会社設立の書類のうち、いちばん自由度が高いのが定款です。条項の書き方を複数の例で比べたいときは、文例集が役に立ちます。
| 書名 | 著者 | 出版者 | 発行 | ページ数 | 書誌で確かめられた特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| 『会社法定款事例集 第4版』 | 田村洋三 監修 | 日本加除出版 | 2021年3月 | 516ページ | 要約に、令和元年改正会社法対応、合同会社の編を新設、文例をダウンロードできる特典とある |
国立国会図書館サーチの要約によると、この本は定款の作成から認証手続、各種の機関設計に応じた文例と解説、定款変更の手続までを扱っています。第4版では合同会社の編が新しく設けられ、文例・記載例をWordや一太郎の形式でダウンロードできる購入者特典があるとされています。
目次を見ると、定款総説の中に「電子定款と電子公証」の項目があり、株式会社の定款は総則・株式・株主総会・取締役と取締役会・監査役……と条項の順に並んでいます。大会社でない株式会社の定款例も収録されているので、小さく会社設立をする人が自分の定款と見比べるのに向いています。

注意したいのは、第4版が2021年3月の発行で、2024年12月の定款認証の手数料改定より前だという点です。手数料の金額は本ではなく、日本公証人連合会のページで確かめてください。定款そのものの作り方は、電子定款を自分で作る手順の記事でも扱っています。
出典国立国会図書館サーチ「会社法定款事例集 第4版(日本加除出版・2021年3月)」
設立の登記を確かめるなら|商業登記ハンドブック

会社法の本が「会社のルール」を説明するのに対して、登記の実務書は「そのルールを登記所にどう届けるか」を説明します。会社設立の最後の工程である設立の登記を詳しく確かめたい人には、商業登記の実務書がおすすめです。
| 書名 | 著者 | 出版者 | 発行 | ページ数 | 書誌で確かめられた特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| 『商業登記ハンドブック 第5版』 | 松井信憲 | 商事法務 | 2025年1月 | 768ページ | 要約に、令和3年以降に施行された登記実務の変更に対応とある。第1章が株式会社の設立の登記 |
目次の第1章は「株式会社の設立の登記」で、「設立の手続の概要」「定款の記載例と留意点」「定款作成以後の手続」「設立登記申請の手続」と続きます。会社設立の流れを、登記の側から順に追える構成です。第5版は2025年1月の発行で、令和3年以降に施行された登記実務の変更に対応したと要約にあります。
768ページの実務書なので、会社設立のために全部を読む必要はありません。自分で登記を申請する人が、申請書の書き方や添付書面で迷ったときに該当の章を引く、という使い方が合っています。手続きの本や会社法の入門書と比べると専門的ですが、登記の根拠を確かめたいときには頼りになります。

株式会社の発起設立の手続きの流れは、法務省のページにもまとめられています。本を読む前にそのページで全体を見ておくと、実務書のどの章を読めばよいかがすぐに分かります。
出典国立国会図書館サーチ「商業登記ハンドブック 第5版(商事法務・2025年1月)」
合同会社を作る人は会社法のどこを読むか|持分会社の章

合同会社を作る人が会社法の本を開くときは、目次の「株式会社」ではなく「持分会社」の章を探してください。会社法では、合同会社は合名会社・合資会社と並ぶ持分会社のひとつとして、第3編に定められています。
法務省の「合同会社の設立手続について」によると、合同会社の定款は社員全員が署名または記名押印し、公証人の認証を受ける必要はありません。設立の登記の登録免許税は資本金の額の1000分の7で、6万円に満たないときは6万円です。株式会社の本で読んだ「定款の認証」「発起人」といった言葉は、合同会社には出てきません。
合同会社の会社設立で会社法の本が役に立つのは、業務執行社員や代表社員をどう定めるか、社員が増えたり退いたりするときにどうするか、といった決めごとです。一人で合同会社を作る場合は、ここまで読まなくても手続きは進められます。社員が複数になる予定があるときに、持分会社の章を読んでおくと安心です。
合同会社向けの手続きの本は、株式会社設立と合同会社設立の本を形態別に比較した記事で紹介しています。会社法の本と組み合わせて読むのがおすすめです。
まとめ|会社法の本は、会社設立に関わる章だけを比較して選ぶ

会社設立に関わる会社法の範囲を読むための本を、型ごとに比較してきました。
この記事で押さえたこと
- ✓会社設立で読むのは、定款・機関設計・設立手続の3か所。
- ✓最初の1冊は入門書。会社を作る立場なら、図解即戦力の本や『会社法超入門』が目的に近い。
- ✓定款や機関設計の理由を知りたいなら、概説書の設立と機関の章を読む。
- ✓定款の文例は『会社法定款事例集』、設立の登記は『商業登記ハンドブック』で確かめる。
- ✓合同会社を作る人は「持分会社」の章を読む。株式会社だけを扱う本は向かない。
- ✓手数料などの金額は本ではなく、一次情報で最新の表示を確かめる。
書誌は2026年10月に国立国会図書館サーチで確かめたものです。新しい版が出ていることがあるので、買う前や借りる前に版を確かめてください。ほかの会社設立の本の比較は、会社設立 おすすめ 本のカテゴリーにまとめています。
会社法の本は、知りたい章だけ読めば十分です
会社設立のために会社法の本を通読する必要はありません。定款の章、設立の章、機関の章。この3つを、自分の会社に関係するところだけ拾い読みするのが、いちばん無理のない使い方です。
最初の1冊は薄い入門書で全体の地図をつかみ、気になる論点が出てきたら概説書や実務書の該当ページを開く。図書館で借りて目次を見比べてから、手元に置く1冊を決めるのもよい方法です。
読んで分からないところが残ったら、条文はe-Gov法令検索で、手続きは法務局や公証役場の案内で確かめてください。会社法の理解が少し深まるだけで、会社設立の書類を見る目はずいぶん変わります。
他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください
この記事のキーワードに「会社設立 おすすめ 比較」を足して検索したときに実際に出てきたサイトです。掲載の順番は優劣を示すものではありません。内容は各サイトの公開時点のものなので、料金や条件は、リンク先で最新の表示をご確認ください。
- BUSINESS LAWYERS LIBRARY|伊藤真の会社法入門[第2版]
『伊藤真の会社法入門』第2版の書籍ページ(法律書の閲覧サービス)
businesslawyers.jp - ブクログ|会社法〔第5版〕(LEGAL QUEST)
LEGAL QUEST『会社法』第5版の書誌と読者の感想が並ぶページ
booklog.jp - BUSINESS LAWYERS LIBRARY|第3版 会社法定款事例集
『会社法定款事例集』第3版(2015年)の書籍ページ。版の違いを見比べるのに使える
businesslawyers.jp - BUSINESS LAWYERS LIBRARY|会社法入門 第三版
岩波新書の会社法入門(第3版)の書誌と紹介文が見られます。
businesslawyers.jp - 日経BOOKプラス|ビジュアル 図でわかる会社法<第2版>
日経BPの図解で会社法を学ぶ入門書の紹介ページ
bookplus.nikkei.com - ブクログ|図解 いちばんやさしく丁寧に書いた 会社法の本
会社法の入門書の書誌と読者の登録情報が見られるページです。
booklog.jp - BUSINESS LAWYERS|リーガルリサーチのためのおすすめ法律書籍一覧
弁護士3名が推薦する法律書の一覧です。会社法の参考書も含まれます。
businesslawyers.jp - BUSINESS LAWYERS LIBRARY|図解 会社法のしくみ
図解で会社法のしくみを説明する入門書の書籍ページ
businesslawyers.jp - 日経BOOKプラス|『公開会社法入門』はじめに
会社法の入門書の「はしがき」と目次を紹介しています。
bookplus.nikkei.com - BUSINESS LAWYERS LIBRARY|第4版 会社法定款事例集
定款の文例を集めた『会社法定款事例集』第4版の書籍ページ
businesslawyers.jp - ブクログ|会社法(LEGAL QUEST)
有斐閣LEGAL QUEST『会社法』の書誌と読者の感想が並ぶページ
booklog.jp - BUSINESS LAWYERS LIBRARY|新会社法〔第6版〕
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businesslawyers.jp - 契約ウォッチ|法務初心者におすすめの書籍とは?
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keiyaku-watch.jp - 国立国会図書館サーチ(NDLサーチ)
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ndlsearch.ndl.go.jp - 技術評論社|60分でわかる!会社法 超入門(電子書籍)
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gihyo.jp - BUSINESS LAWYERS LIBRARY|一人でできる定款作成から会社設立登記まで 第2版
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