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利益が出やすい業種は?|中小企業庁の統計で業種別の利益率を比較(令和6年度決算)

起業で儲かる業種のランキングを、印象ではなく中小企業庁「中小企業実態基本調査」の売上高経常利益率で比較しました。従業者5人以下の会社の数字や年ごとの変化まで見て、会社設立のおすすめの考え方をまとめています。

  • 公開 2026年10月17日
  • 更新 2026年10月17日
  • 読了めやす 約13分
  • 本文 約8,503字

本サイトは広告およびアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。掲載している料金・条件は各社の公式サイトで確認できた範囲のものです。順位・評価は当サイトの調査基準によるもので、最新の内容は公式サイトでご確認ください。

この記事は「儲かる業種のランキングを見たが、根拠がよく分からない」人に向けたものです

「起業 儲かる ランキング」で検索すると、いろいろな順位が出てきます。ただ、その多くは書き手の経験や印象で並べたもので、どの統計の、どの数字で比べたのかが書かれていないことがほとんどです。

この記事では、中小企業庁の「中小企業実態基本調査」(令和7年確報、令和6年度決算実績)を使って、業種ごとの売上高経常利益率を比較します。売上のうち、どれだけが利益として残ったかを示す数字です。

会社設立を考えている人が「利益が出やすい業種は?」と聞かれたときに、数字で答えられるようにまとめました。数字の読み方の注意も添えているので、ランキングだけを持ち帰らずに最後まで読んでみてください。

この記事は2026年10月時点で確認できた内容をもとにしています。金額や制度は変わることがあるため、実際の手続きの前に一次情報でご確認ください。

利益が出やすい業種は? 一次統計で比較する

利益が出やすい業種を一次統計で比較するイラスト

利益が出やすい業種を比べるには、まず物差しを決めます。この記事で使うのは、中小企業庁の「中小企業実態基本調査」令和7年確報(令和6年度決算実績)です。2026年6月29日に政府統計の総合窓口(e-Stat)で公開されました。

調査の対象
中小企業基本法に定める中小企業。母集団は3,090,702企業。建設業・製造業・情報通信業など11の産業が対象です。
使う数字
売上高経常利益率(経常利益÷売上高×100)。本業と財務の損益を合わせた、ふだんの稼ぐ力を示します。
対象の範囲
法人企業の数字(集計表第10-1表・第10-3表)。個人事業は含みません。
含まれない業種
医療・福祉、教育・学習支援業、金融・保険業などは調査の対象外です。

売上高経常利益率を選んだのは、売上の規模が違う会社どうしでも比べやすいからです。同じ1,000万円の利益でも、売上1億円の会社と売上10億円の会社では、稼ぐ力がまったく違います。会社設立の前に事業計画を作るときも、この比率で考えると他社と比べやすくなります。

この調査では、令和6年度の法人企業全体の売上高経常利益率は4.44%で、前年度より0.07ポイント高くなっています。中小企業の平均で、売上の約4〜5%が経常利益として残っているということです。これを基準にして、業種ごとの差を見ていきます。

なお、日本政策金融公庫の新規開業実態調査では開業が2番目に多い「医療・福祉」が、この調査には入っていません。医療・福祉で起業を考えている人は、別の統計や所管の官庁の資料を当たる必要があります。

出典中小企業庁(政府統計の総合窓口 e-Stat)「中小企業実態基本調査 令和7年確報(令和6年度決算実績)」

業種別の利益率ランキング(令和6年度決算)

業種別の売上高経常利益率のランキングのイラスト

11の産業の売上高経常利益率を、高い順に並べます。1位は学術研究,専門・技術サービス業の12.97%、2位は不動産業,物品賃貸業の8.98%でした。

売上高経常利益率(中小企業・法人企業、令和6年度決算実績)
順位産業(大分類)売上高経常利益率会社設立で多い事業の例
1学術研究,専門・技術サービス業12.97%士業・デザイン・経営コンサルタント
2不動産業,物品賃貸業8.98%不動産仲介・管理・賃貸
3情報通信業6.28%ソフトウェア開発・Web制作
4建設業5.71%内装・リフォーム・設備工事
5サービス業(他に分類されないもの)5.56%人材派遣・ビルメンテナンス
6製造業5.02%食品製造・金属加工
7宿泊業,飲食サービス業4.26%飲食店・カフェ
8運輸業,郵便業4.06%軽貨物運送
9生活関連サービス業,娯楽業2.80%美容室・エステ・旅行業
10卸売業2.72%商社・卸
11小売業2.61%ネットショップ・小売店
業種別の売上高経常利益率
売上高経常利益率の比較(中小企業実態基本調査 令和7年確報、令和6年度決算実績)。

上位と下位の差は約5倍です。知識や技術を売る業種が上位、モノを仕入れて売る業種が下位という並びになっています。理由は後の章で付加価値比率を使って説明します。

ここで「学術研究・専門サービス業がおすすめ」と結論を急がないでください。この産業には士業のように資格がないと参入できない業種も含まれています。平均が高いのは、参入の壁があるからという面もあります。資格のない人がこの業種で会社設立をするなら、デザインやコンサルティングのように資格の要らない分野が中心になります。

出典中小企業庁(政府統計の総合窓口 e-Stat)「令和7年調査の概況(令和6年度決算実績)」

従業者5人以下の会社で比べると差が広がる

従業者5人以下の会社の利益率を比較したイラスト

会社設立をしたばかりの会社は、ほとんどが少人数です。そこで、同じ調査の第10-3表から、常用雇用者5人以下の会社だけの売上高経常利益率を取り出して比較します。中小企業庁の定義では、商業・サービス業で従業員5人以下が小規模企業者に当たります。

売上高経常利益率:全体と常用雇用者5人以下の比較(令和6年度決算実績)
産業全体5人以下差
学術研究,専門・技術サービス業12.97%16.19%5人以下のほうが高い
不動産業,物品賃貸業8.98%9.36%ほぼ同じ
建設業5.71%4.43%5人以下は低め
情報通信業6.28%4.08%5人以下は低め
運輸業,郵便業4.06%3.53%やや低め
サービス業(他に分類されないもの)5.56%3.05%5人以下は低め
製造業5.02%2.97%5人以下は低め
生活関連サービス業,娯楽業2.80%2.70%ほぼ同じ
卸売業2.72%2.01%やや低め
小売業2.61%1.88%やや低め
宿泊業,飲食サービス業4.26%1.46%5人以下は大きく低い

目立つのは2つです。ひとつは、学術研究・専門サービス業は、5人以下の会社のほうが利益率が高い(16.19%)こと。少人数の事務所でも、高い利益率を保てる業種だということです。

もうひとつは、宿泊業・飲食サービス業が全体の4.26%から、5人以下では1.46%まで下がることです。小さな飲食店は、家賃や人件費の比率が高くなりやすく、利益が残りにくいと読めます。法人全体の平均だけを見て飲食店の起業をおすすめするのは、少し危ういということです。

5人以下の会社の利益率
従業者5人以下の会社で利益率が高い業種と低い業種の比較(令和6年度決算実績)。

一人で会社設立をする場合は、全体の平均より、この5人以下の列のほうが自分の姿に近いはずです。業種を比較するときは、こちらの数字を基準にするのがおすすめです。

出典中小企業庁「中小企業・小規模企業者の定義」

利益率は年によって動く(3年分の比較)

業種別の利益率の3年間の推移を示したイラスト

利益率は景気や物価の影響を受けて、年ごとに動きます。同じ調査の第10-1表には、令和4年度から令和6年度までの3年分が載っているので、変化の大きい業種を比較してみます。

売上高経常利益率の3年比較(中小企業・法人企業)
産業令和4年度令和5年度令和6年度
学術研究,専門・技術サービス業9.52%10.30%12.97%
不動産業,物品賃貸業10.89%12.61%8.98%
情報通信業6.53%7.04%6.28%
建設業5.17%4.71%5.71%
宿泊業,飲食サービス業1.26%3.47%4.26%
運輸業,郵便業1.88%3.44%4.06%
小売業2.55%2.53%2.61%
法人企業合計4.29%4.37%4.44%

不動産業・物品賃貸業は、令和5年度の12.61%から令和6年度は8.98%へ下がりました。1年分だけを見ると1位にも2位にもなる業種だということです。反対に、宿泊業・飲食サービス業は1.26%から4.26%へ、3年続けて上がっています。

一方、小売業は3年とも2.5〜2.6%で、ほとんど動いていません。利益率は低いが安定している業種と、高いが振れ幅の大きい業種があると読めます。

起業 儲かる ランキングの記事を読むときは、その記事がどの年の数字を使っているかを確かめてください。1年分の順位を見て業種を決めると、翌年には事情が変わっていることがあります。会社設立の事業計画では、3年くらいの幅で見ておくのがおすすめです。

なお、中小企業実態基本調査は毎年行われています。速報は3月ごろ、確報は6〜7月ごろに公表されてきたなので、最新の数字はe-Statで確認できます。

出典中小企業庁(政府統計の総合窓口 e-Stat)「中小企業実態基本調査 令和7年確報(令和6年度決算実績)」

利益率が高い業種の共通点は付加価値の大きさ

付加価値比率と利益率の関係を示したイラスト

なぜ業種で利益率がこれほど違うのか。手がかりになるのが付加価値比率です。売上のうち、仕入れ以外の部分(人件費・家賃・減価償却費・利益など)がどれだけあるかを示す数字で、同じ調査の第10-1表に載っています。

付加価値比率と売上高経常利益率(令和6年度決算実績)
産業付加価値比率売上高経常利益率
サービス業(他に分類されないもの)56.12%5.56%
学術研究,専門・技術サービス業52.41%12.97%
宿泊業,飲食サービス業46.01%4.26%
情報通信業44.46%6.28%
小売業19.65%2.61%
卸売業10.31%2.72%

卸売業の付加価値比率は10.31%で、売上の約9割が仕入れなどの外から買ったものです。売上は大きくても、自分の手元に残る部分が小さいので、利益率も低くなります。小売業も19.65%で、同じ傾向です。ネットショップで会社設立をする場合も、仕入れ値と販売価格の差をどこまで広げられるかが利益を左右します。

一方、学術研究・専門サービス業や情報通信業は、売上の半分前後が付加価値です。仕入れがほとんどなく、人の知識や技術がそのまま売上になる業種です。開業におすすめとされる「在庫を持たない業種」と、ほぼ重なっています。

ただし、付加価値比率が高くても利益率が高いとは限りません。宿泊業・飲食サービス業は付加価値比率46.01%と高いものの、利益率は4.26%です。付加価値の多くが人件費と家賃に回っているためと考えられます。

始めやすさの観点からの業種の比較は、開業におすすめの業種の記事で、初期費用・許認可・在庫・資格の4条件にまとめています。

出典中小企業庁(政府統計の総合窓口 e-Stat)「令和7年調査の概況(令和6年度決算実績)」

開業したばかりの会社の黒字の割合

開業直後の会社の採算状況を示したイラスト

中小企業実態基本調査は、すでに事業を続けている会社の平均です。会社設立をしたばかりの時期はどうか。日本政策金融公庫の「2025年度新規開業実態調査」を見ます。対象は、開業後1年以内に公庫の融資を受けた企業で、調査時点で開業から平均15.5か月たっていました。

黒字基調67.0%赤字基調は33.0%
売上が増加傾向60.1%調査時点
月商100万円未満39.5%100万〜500万円未満は44.2%
収入に満足28.3%やりがいの満足は84.4%

開業から1年あまりで、3社に2社は黒字基調です。一方で、事業からの収入に「満足」している人は28.3%にとどまります。黒字でも、経営者本人が十分な収入を得られているとは限らないということです。

この調査の業種別の採算は、公表資料では示されていません。業種ごとの黒字の割合を数字で比較することは、ここではできないので、利益率の高い業種なら開業直後から黒字になりやすい、と言い切ることは避けます。

開業時に苦労したことは「資金繰り、資金調達」が56.9%で最も多くなっています。利益率の高い業種を選んでも、最初の数か月の資金繰りは別の問題です。会社設立のときの資金計画は、資金計画の立て方の記事で比較しています。

出典日本政策金融公庫 総合研究所「「2025年度新規開業実態調査」~アンケート結果の概要~」

「起業 儲かる ランキング」を読むときの注意

儲かるランキングを読むときの注意点のイラスト

最後に、儲かる業種のランキングを読むときの注意をまとめます。数字の選び方しだいで、順位は簡単に入れ替わります。会社設立の業種選びに使うなら、ひとつの数字だけで決めないことです。

同じ業種でも、物差しを変えると順位が変わる(令和6年度決算実績)
産業売上高経常利益率総資本回転率自己資本当期純利益率(ROE)
学術研究,専門・技術サービス業12.97%0.43回8.41%
不動産業,物品賃貸業8.98%0.36回9.75%
卸売業2.72%1.87回12.76%
小売業2.61%1.79回11.22%
法人企業合計4.44%1.07回10.92%

売上高経常利益率では下位の卸売業と小売業が、自己資本当期純利益率(ROE)では学術研究・専門サービス業や不動産業を上回っています。利益率は低くても、資本を速く回して稼ぐ業種があるということです。不動産業は利益率が高い一方、総資本回転率は0.36回で、大きな資産を持たないと稼げない業種だと読めます。

ランキングを読むときに確かめること

  • どの統計の、何年の数字か(出典が書かれていないランキングは参考程度に)
  • 比べているのは利益率か、利益の額か、自己資本利益率か
  • 大企業を含む数字か、中小企業や小規模企業の数字か
  • 参入に資格や許可、大きな資金が要る業種ではないか
  • 生き残った会社だけの平均ではないか(廃業した会社は統計に残りにくい)

特に最後の点は見落とされがちです。統計に出てくるのは、調査の時点で事業を続けている会社です。参入が多く撤退も多い業種では、平均の数字が実際より良く見えることがあります。

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出典中小企業庁(政府統計の総合窓口 e-Stat)「中小企業実態基本調査 令和7年確報(令和6年度決算実績)」

まとめ|利益が出やすい業種は「何で比べるか」で変わる

利益が出やすい業種のまとめイラスト

利益が出やすい業種を、中小企業庁の一次統計で比較してきました。押さえておきたいのは次の点です。

この記事で押さえたこと

  • 中小企業実態基本調査(令和6年度決算実績)では、売上高経常利益率は学術研究・専門サービス業12.97%、不動産業・物品賃貸業8.98%、情報通信業6.28%の順。小売業2.61%、卸売業2.72%は低め。
  • 従業者5人以下の会社では、学術研究・専門サービス業が16.19%に上がり、宿泊業・飲食サービス業は1.46%に下がる。
  • 利益率は年で動く。不動産業は3年で10.89%→12.61%→8.98%と振れた。
  • 利益率の差の手がかりは付加価値比率。仕入れの多い卸売業・小売業は利益率が低い。
  • ROEで比べると卸売業・小売業が上位に来る。物差しを変えると、おすすめの業種は入れ替わる。

業種選びの全体像は会社設立 おすすめ 業種のまとめに、業種ごとの許認可は会社設立の業種一覧の記事にあります。数字は2026年10月時点でe-Statに公開されていた令和7年確報によるものです。利益に対する税金の扱いは、法人と個人で異なるので、会社設立の前に税理士にご確認ください。

出典国税庁「No.5759 法人税の税率」

利益率の高い業種より、あなたが利益を出せる業種を

統計で見ると、学術研究・専門・技術サービス業や不動産業の利益率は高く、小売業や卸売業は低めです。ただし、これは業種全体の平均で、あなたの会社の利益を約束するものではありません。

利益率が低い業種でも、資本の回転が速く、自己資本利益率では上位に来ることがあります。どの数字で比べるかによって、おすすめの業種は入れ替わります。

業種を決めたら、その業種で利益を出している会社が何をしているかを調べてみてください。会社設立の前にその作業をしておくと、事業計画の数字が現実に近づきます。

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この記事の編集体制 合同会社FIELDの関連会社である会計事務所および税理士法人と内容を確認しながら編集しています。各サービスの料金・条件は、公式サイトの表示を確認できた範囲のみ掲載しています。
記載している金額・期間・制度は2026年10月時点で確認できたものです。制度は変わることがあるため、手続きの前に法務局・公証役場・税務署などの一次情報をあわせてご確認ください。判断に迷う点は、税理士・司法書士・行政書士などの専門家や所管の官庁にご相談ください。

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